奈良を愉しむ

『すごいぞ!レプリカ~文化財を未来に伝える~』@なら歴史芸術文化村(天理市)

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奈良の文化財をユニークな視点から紹介してくれる「なら歴史芸術文化村」で開催中の企画展『すごいぞ!レプリカ~文化財を未来に伝える~』(~10/15)を拝見しました。お子様向けの夏休み企画かと思いきや、レプリカだからこそできる「触って楽しむ」体験が楽しくて、妄想が膨らみまくりました!

レプリカだからこその分かりやすい展示

2022年3月、天理市にオープンした「なら歴史芸術文化村」InstagramFacebookTwitter)。文化財4分野(仏像等彫刻、絵画・書跡等、建造物、考古遺物)の修復作業現場が通年公開されるなど、文化振興の拠点となるべくユニークな活動が行われています。

私たちも取材で何度も訪れていますが、展示内容も面白いですし、地元産の農産物や伝統工芸品がずらりと並んでいたり、道の駅としても個性的で楽しいスポットです。

この日は、「文化財修復・展示棟」の展示室で開催中の、企画展『すごいぞ!レプリカ~文化財を未来に伝える~』(2023/7/15~10/15)を拝見してきました。

お子さんでも楽しめるような、とてもわかりやすい内容の夏休み企画ですが、大人も十分に楽しめます。レプリカだからこそ、本物の文化財では不可能な「触って楽しむ」ことができるのが新鮮です!

▲今回の企画展では、奈良県を代表する仏像や絵画、考古遺物などのレプリカを一堂に展示し、文化財を保存し未来に伝えていくために大切な役割を果たしているレプリカについてあらためて見直す内容となっています。
▲会場入ってすぐの光景。「文化財レプリカ」というやや地味めなテーマですが、とても分かりやすく楽しい内容でした。ほとんどの展示品が撮影OKなのも嬉しいところです。
▲こちらの「聖林寺 十一面観音菩薩立像 工程模型(頭部)」は、聖林寺(桜井市)さんの国宝仏を模したもの。木心乾漆像のため、木の上に麻布を貼り、その上から木屎漆(こくそうるし)を塗って成形していきます。11の顔を持つ複雑な造形が、どうやって形作られていくのかが分かりやすいです。
▲こちらは「長岳寺 阿弥陀三尊像 復元模型(手)」。長岳寺(天理市)の御本尊の手だけを見るのも不思議な感じです。こちらは銅像なので、木像とはまた作り方が違ってきます。会場に分かりやすい解説もあるので、ぜひご覧ください。
▲また、絵巻物などのレプリカも何点か展示してあります。こちらは「春日若宮御祭祭礼絵巻物 複製」。おん祭の行事が丁寧に描かれた絵巻で、(おそらく)本物と見分けがつかないほどのクオリティでしょう。
▲こちらは「長谷寺縁起 複製」です。長谷寺(桜井市)の大きな観音像が完成したシーン。会場内では、同じ像を立体的に復元したレプリカも展示されていますので、ぜひ見比べてみてください。

壁画も仏像も!「触れる」って楽しい!

▲今回の企画展でとくに楽しかったポイントは、触れるレプリカが何点かあったことです。当然のことですが、貴重な本物の文化財に手を触れることはできません。こうして手で触れてみることで、目で見るのともまた違ったリアルさが感じられます。
▲こちらは、いわゆる “飛鳥美人” が描かれた「高松塚古墳壁画(西壁女子群像)複製陶板」です。表面が欠けた部分などがリアルに体感できて、「壁画をはがす作業は大変だったろうな」だとか「石室内だったらもっとひんやりしているんだろうな」だとか、いろんな想像が膨らみます。
▲大仏殿の前にある「東大寺 八角燈籠 音声菩薩(部分)複製」なども触れます。恐れ多い!
▲先ほど絵巻で拝見した「長谷寺 十一面観音菩薩立像 縮尺模型」も、本物の特別公開の際と同様に、そのお御足の部分を触ることができます。これで実物の20分の1のサイズだとか。足元に小さなフィギュアが置かれていることで、この観音像の大きさが際立ってますね。
▲さらに、長谷寺・十一面観音菩薩立像のお御足の部分を、3Dデータから作った原寸大「仏足跡」も触れます。実際の仏像とは逆に、足跡の立体化なので凹んでいます。足の甲に触れるつもりで手を伸ばしたら窪んでいたので、ちょっと脳がバグる感じでした 笑
▲銅鐸を復元した「石上2号銅鐸 鋳造復元品」など、古代の文化財にもレプリカなら触れます。お隣には黒塚古墳(天理市)三角縁神獣鏡のレプリカも展示されています。古代のシャーマンになった気分で撫で回しましょう!
▲また、ちょっと変わったところでは「玉置神社 境内ジオラマ」なども展示してありました(※触れません)。そのお隣では、玉置神社の境内を3次元計測して、超精密画像化した映像も見られます。単なる復元品という従来のイメージを超えた、最新のレプリカの活用方法も見られて楽しかったです。

本物の文化財の修復現場も見られます

「文化財修復・展示棟」では、実際の文化財の修復作業を見ることができます(※1階のみ撮影可)。残念ながらこの日は週末で作業はお休みでしたが、黙々とスタッフの方が土器の分類作業などをしていたり、貴重な絵画や仏像の修復をしている様子が観察できるので、本当に楽しいです!

この日、展示してあったのは瓢箪山古墳(三宅古墳群)出土の、日本初の文様が描かれた「犬形埴輪」と、まだ数例しか見つかっていない見返り型の「鹿形埴輪」でした。どちらも貴重!

企画展「すごいぞ!レプリカ~文化財を未来に伝える~」

HP※企画展 詳細ページはこちら
会期2023年7月15日(土曜日)~10月15日(日曜日)
会場なら歴史芸術文化村 文化財修復・展示棟 地下1階展示室
料金無料

なら歴史芸術文化村

HP【公式】なら歴史芸術文化村
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住所奈良県天理市杣之内町437-3
電話0743-86-4420
休館日月曜、年末年始
※月曜が休日の場合は翌平日が休館(ショップ・レストランは営業)
営業時間文化財修復・展示棟 – 9:00~17:00
芸術文化体験棟 – 9:00~20:00
交流にぎわい棟 – 9:00~18:00(レストランは20:00まで)
駐車場無料
※実際にお邪魔したのは「2023年8月19日」でした。

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