「奈良オーベルジュ旅」の宿泊は、奈良最古の醤油蔵がオーベルジュに生まれ変わった『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』さんです。何よりも “醤油づくし” の夕食が素晴らしく、端正な和モダンに整えられた空間の中で、優しい静寂に包まれた心地よい時間を過ごせました。驚きと感動が連続する宿泊体験でした!
※協力:奈良県
“奈良最古の醤油蔵”に宿泊できます
「奈良オーベルジュ旅」では、奈良最古の醤油蔵をオーベルジュに生まれ変わらせた『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』さん(Instagram・Facebook)に宿泊させていただきました。
1689年に創業した「マルト醤油醸造所」は、地元産の原材料と天然醸造製法にこだわった丁寧な醤油づくりを続け、かつては皇室御用達でした。しかし、大戦後の食糧難により閉業してしまいます。
それから70年を経た今、18代目のご当主などの尽力により “泊まれる醤油蔵” として生まれ変わっています。



こちらはかつて最上級の客間だったお部屋で、床の間の天井が折り上げ式になっているなど、随所に格式の高さが見て取れます。宿泊者はこんな豪華な空間でお食事できるんです!


フィナンシェはチョコレートの焼き菓子ですが、ここにマルト醤油さんの「醤油もろみ」も使用されています。塩味は感じられるものの、角のないまろやかな味わいで、ふくよかな醤油の風味がぶわっと広がります。意外性のある嬉しいおもてなしでした。
原材料庫を客室に。伝統の美が感じられます

この日、私たちが宿泊したのは、1階は原材料庫(大豆・小麦・塩)、2階に醸造職人が寝泊まりをしていた蔵だった南棟の客室「初瀬(はせ)」でした。

新たにこういった装飾を加えたのではなく、原材料庫だった当時からのもの。大地からの実りに敬意を払ってのことなのだとか。



蔵の2階部分は、かつては職人さんの住居として使われており、その当時と同じ位置にベッドが置かれているとか。先人への敬意が伝わってきます。

搾った生醤油を味わえる「醤油しぼり体験」

頭上にあるのは作業に使用した滑車「阿弥陀ぐるま」。この下にはかつて竈門(かまど)が設置されていました。ここで7~8時間かけて大豆を煮続け、職人さんたちはその様子を上の休憩所から監視していたそうです。

ご当主の説明はとてもリアルでわかりやすく、家業への熱意がひしひしと伝わってきました。

さらにこの後、自分で搾った搾りたて生醤油を、炙った吉野葛にかけていただきました!こんな貴重な体験、他ではできません!
夕食は“醤油づくし”!驚きと感動の連続です




・オリーブ醤油(茶碗蒸し)
・醤油だれ(つくねと宇宙芋のチップスなど)
・泡醤油(ホタテや牡蠣など)
・もろみ柚子胡椒(サワラ焼き)
すべてのお料理にお醤油が使われていますが、その表情が一品ごとにまったく違っていて、驚きの連続でした!

その手前にあるのは醤油もろみのお塩。焼き塩にしてあり、お刺身につけて美味しいのはもちろん、少しずつ舐めているだけで日本酒の最高のアテになってくれました!


私は普段は夜にご飯ものはあまり食べないんですが、これは止まらなくなってしまって、夫婦でぺろりと平らげてしまいました。

お部屋の冷蔵庫には、無料でいただけるジュース・お水などとともに、奈良県産クラフトビール(※有料)が常備してあります。こちらはなら麦酒ならまち醸造所さんの「ならまちエール」。醸造の際に大和ほうじ茶の葉を入れた、まろやかな風味が特徴です。

客室にはテレビは置かれていませんし、部屋には近くに大きな道路や鉄道が走っていないので、本当に静かです。今の時代、この静けさはとても貴重ですね。
清々しい「朝参り」 朝食には卵かけご飯も

近隣に鎮座する「村屋神社」は、天上から稲作を伝えたとされる三穂津姫命、そして大物主命のご夫婦の神々をまつる古社で、“大神神社の別宮” と称されています。日中に参拝すると、美しい御朱印もいただけます。

大和青垣が見渡せるこのエリアは、中ツ道・長谷街道・大和川が交わる場所で、古くから栄えてきました。古墳が築かれた時代から、たくさんの荷を積んだ船が行き交っていた近代まで、歴史が立体的に浮かび上がってくるかのようです。気持ちのいい朝日を浴びながら、すがすがしい空気をたっぷり吸い込むことができました!

地元産ヒノヒカリの新米を自然卵の卵かけご飯で。大和高原鶏の醤油あんかけ、三輪そうめんの煮麺などといただきます。どれもはっとするほど美味しいんです!

マルト醤油さんの「大和一雫 生揚げ」はネットでも購入可能です。宿泊のお土産として購入もできますので、ぜひお買い求めください。

田原本町はまったく知らない土地ではないとはいえ、自分の脚で走ってみる景色は、自動車に乗って見るそれとはまったく違います。美しい大和青垣や歴史を感じる細い路地を、新鮮な気持ちで体感してきました。これも旅の楽しみですね!
調度品なども見事。最高のオーベルジュ!

投網をデザインした欄間なども見事に残されていますし、醤油樽の栓をルームキーとして使ったり。魅せ方も洗練されていてかっこいいんです。本当に素晴らしいお宿ですので、大いにご期待ください!
NIPPONIA 田原本 マルト醤油
HP | https://maruto-shoyu.co.jp/ |
SNS | Instagram Facebook |
住所 | 奈良県磯城郡田原本町伊与戸170 |
電話 | 0744-32-2064 |
定休日 | 無休(レストランのみ水曜日定休) |
料理ジャンル | 日本料理 |
レストラン | ※完全予約制 ランチ:11:30~14:00(L.O.12:30) ディナー:18:00~21:00(L.O.18:30) |
客室数 | 7室(定員 最大5名) |
宿泊単価 | 32,000円(税・サ込)~/名 ※1泊2食付・2名1室の場合の参考価格 |
アクセス | ・近鉄「田原本駅」から車で約10分。 ・名阪国道「天理東IC」より車で約20分 など。 |
※実際に利用させていただいのは「2022年10月24日~25日」でした。
※詳しくは公式HPをご覧ください。
歴史的なスポットが点在する奈良県は “食” の魅力も尽きません。
奈良の観光の際には、その土地の風土を活かしたお料理が味わえるオーベルジュをぜひご利用ください!