幻の大寺院跡に咲く美しい桜『内山永久寺跡』@天理市
山の辺の道沿いにある、天理市杣之内町の『内山永久寺跡』。かつては「西の日光」と呼ばれるほどの大寺院でしたが、現在は本堂池が残るのみで、普段はひっそりとしています。この池の周りには桜が植わっていて、春には華やかな姿が見られます。若い頃の松尾芭蕉が「うち山や とざましらずの 花ざかり」と詠んだ桜を愛でながら、過去の栄華に思いを馳せてみてください!
松尾芭蕉の歌にも読まれた桜です
かつて天理市杣之内町に存在していた大寺院「内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)」(Wikipedia)。
500メートル四方の寺域に40以上の堂塔が立ち並び、「西の日光」とまで呼ばれるほどの規模でしたが、明治維新後の廃仏毀釈によって徹底的に破壊されて廃寺となり、その跡地となる『内山永久寺跡』には、現在は池が残るのみです。
ここは古道「山の辺の道」沿いにあり、たくさんのハイカーが行き交いますが、池(本堂池)と説明の看板があるだけですから、足を止める方は多くありません。しかし、春には若いころの松尾芭蕉がその美しさをたたえた桜が咲き誇り、とても趣きのある光景が見られます。
かつては広大な寺域を誇った「内山永久寺」の跡地。石上神宮から徒歩10分ほどです。春には桜が咲き誇ります
句碑「うち山や とざましらずの 花ざかり」宗房。まだ松尾芭蕉が伊賀上野に暮らしていたころの作品で、「今、内山永久寺に参詣してみると、見事なまでに満開の桜でうめつくされている。土地の人はこの桜の花盛りをよく知っているのであろうが、外様(よその土地の人々)は知るよしもないのである」という意味になります。当時の華やかさが偲ばれますね
内山永久寺の説明など。昔の名所図会から写したものが見られますが、このあたりに40もの堂塔が立ち並んでいたというのですから、ものすごい規模です。ぜひ図を見ながら想像してみてください
本堂池の周囲を桜が囲みます
『内山永久寺跡』の桜。池の規模はそれほど大きくありませんが、周囲を桜が囲い、とても美しい光景が見られます
ここの桜は、水面ギリギリまで枝を伸ばしていて、今にも水没しそうなほど。かつての賑わいを思い浮かべながら見てみてください
近くの休憩スポットからの眺めも
内山永久寺跡の池の東側に、ちょっとした休憩スポットのような場所が整備されていました。以前からありましたっけ?
ちょっと高くなっていて、本堂池が見下ろせます。ただ、目の前のビニールハウスの存在感が大きすぎますね(笑)
ここにも「廃仏毀釈の嵐にのみ込まれた幻の大寺」として、内山永久寺の説明があります。的確で分かりやすいですね。「目を閉じてみてください。通り過ぎる風のささやいが栄華の儚さをそっと語っているようです。」
■内山永久寺跡
HP: 参考(天理市ホームページ)
住所: 奈良県天理市杣之内町
駐車場: なし(路肩に停めるスペースはあります)
アクセス: 石上神宮から徒歩10分ほど
■参考にさせていただきました
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