南都八景の一つ『南円堂藤』が満開に!@興福寺(奈良市)
奈良の名所を集めた「南都八景」にも選ばれた、興福寺南円堂前の『南円堂藤』が見頃を迎えています。藤原氏の紋「下り藤」にも描かれた藤は、奈良公園や東大寺境内など、いたるところで見られますので、ぜひ探しながら歩いてみてください。また、花弁が1m以上も伸びる、春日大社の有名な「砂ずりの藤」も満開となっているそうですので、合わせてぜひ!
南円堂前の藤棚に、紫の艶やかな藤の花
『興福寺』境内の「南円堂(なんえんどう)」は、藤原冬嗣が813年、父・内麻呂の冥福を願って建立した八角円堂です。西国三十三所観音巡礼の第九番札所であり、いつもたくさんの参拝客で賑わっています。
ご本尊「不空羂索観音菩薩坐像」(国宝)は、大仏師・運慶の父である康慶の作。その周りを「四天王像」(国宝)」が囲み、素晴らしい空間になっています。しかし、年に一度10月17日の「大般若経転読会」に御開扉が行われるのみで、通常は拝観できません(関連記事「力強い鎌倉仏!『南円堂』年に一度の特別開扉@興福寺」)
興福寺は、藤原氏の氏寺として栄えてきた寺院で、南円堂の前には、藤原氏の紋「下り藤」にも描かれている「藤」が植えられています。
ここは奈良の名所「南都八景」(Wikipedia)の一つとしてとして名前が挙げられています。室町時代に僧・蔭涼軒主が記したものがもとになっいて、「佐保川蛍・東大寺鐘・三笠山雪・春日野鹿・南円堂藤・猿沢池月・雲居坂雨・轟橋旅人」が選ばれ、人々に親しまれてきました。
今年もこの藤が見事に花を咲かせ、目を楽しませてくれています。
猿沢池ごしに眺めた興福寺五重塔。2015年春は、天候不良の日が続いていましたが、4月中旬から快晴の日が続いていますね
興福寺南円堂の前には藤棚があり、4月下旬に満開となります。室町時代に「南円堂藤」として南都八景のひとつに挙げられて以来、名所図会などにも何度も描かれるなど、長く親しまれてきました
藤は蔓を伸ばして広がり、花弁が長く垂れ下がります。この姿は、藤原氏の家紋「下がり藤」にも使用され、貴族たちから特に大切にされてきました
満開の南円堂藤
南円堂の左右に藤棚が設置されています
藤の花と、興福寺五重塔と東金堂。なお、ゴールデンウィーク期間中は、興福寺北円堂が特別開扉されています。こちらも素晴らしい仏さまがおわしますので、ぜひお詣りください!(詳細)
春日大社の「砂ずりの藤」もGWごろ満開に!
また、藤原氏の氏神をまつった『春日大社』にも、有名な「砂ずりの藤」という藤が咲きます。
こちらは「樹齢800年」とされ、花弁が1m以上も伸びて地面に届きそうになります。
この日は拝見できませんでしたが、こちらもゴールデンウィークごろが見頃になりますので、ぜひ合わせてどうぞ!(参考記事→「【奈良新聞WEB】風にゆらり、式年造替の春 - 春日大社フジ見頃」)
春日大社の有名な「砂ずりの藤」。鎌倉時代の絵巻物「春日権現記」にも描かれています。1mを超えるほどまで伸び、とても優雅で美しいんですよね(※画像は以前撮影したものです)
「砂ずりの藤」は、本殿を取り囲む回廊内の「慶賀門」の前にあります。2015年春は、20年に1度の「式年造替」にともない、通常非公開の御本殿(国宝)の特別公開なども行われていますので、合わせてぜひ!(紹介記事「式年造替『国宝御本殿特別公開と御仮殿特別参拝』@春日大社」)
東大寺の参道脇、奈良公園などにも藤棚が
奈良公園を歩いていると、いたるところで藤の花を見かけます。この日もたくさんの観光客で賑わっていた東大寺参道では、鹿たちがお腹いっぱいで眠そうでした。ここを少しそれると……
立派な藤棚があり、見事な花を咲かせていました!他の季節だと何気なく見過ごしてしまいますが、やはり美しいですね
鹿の毛の生え変わり時期のため、春はやや毛並みが悪いですが、いつの季節でも人気者です
奈良県知事公舎からも藤の花が見えました
奈良県庁の建物のすぐ近くに、白壁に囲まれた歴史ある建物「奈良県知事公舎」があります。立派なお屋敷ですが、お庭から外の道路側へ藤の花が顔をのぞかせていました。県知事が住まう建物に藤の花が咲いているなんて、どことなく奈良っぽいかもしれませんね!
■参考にさせていただきました
南都八景 - Wikipedia
興福寺南円堂の藤 of 南都八景 - tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」
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