
奈良・町家の芸術祭『HANARART 2013』@奈良きたまちエリア
奈良県内各地の町家・町並みにアート作品を展示するイベント『奈良・町家の芸術祭 HANARART(はならぁと)2013』。会場はいよいよ奈良市内へ。『奈良きたまちエリア』(~11月10日まで)の展示を拝見してきました。エリアが広いのでほんの一部しか見られませんでしたが、とにかく楽しかったです!
奈良県内8箇所の町家・町並みで順番に開催中
歴史的な町家・町並みを活用してアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 HANARART(はならぁと)2013』。「2013年9月7日~11月26日」の会期中、時期ごとに奈良県内各地へ会場が移り、展示作品も一新されています。
●五條新町(9月7日~9月16日) ●御所市名柄(9月14日~9月16日) ●八木札の辻(9月20日~9月29日) ●今井町(9月27日~10月6日) ●郡山城下町(10月12日~10月20日) ●宇陀松山(10月20日~10月27日) ●奈良きたまち(11月1日~11月10日) ●桜井本町(11月16日~11月26日)
11月2日~10日までは、「歴史と文化のモザイクに出会える町。」こと『奈良きたまち』エリアで開催中です。このエリアは最近よくうろうろと歩いていますから、そんな場所がどんな風に変わっているのか楽しみに、開催初日に歩いてきました。
とにかく会場が広くて(きたまちだけではなく奈良町の辺りも会場に含まれます)、すべてを見て回ることは難しかったため、「この期間しか入れない古い民家」が会場になっているところを選んで入ってみました。それぞれ簡単にご紹介しておきます。
奈良きたまちの顔となっている「きたまち案内所(旧鍋屋交番)」。ここも『HANARART 2013』の会場です
そのお向かいの「奈良女子大学」は学園祭の真っ最中でした。需要文化財の建物「記念館」の一般公開なども行われていたため(11月4日まで)、かなりの賑わいっぷりでした
きたまちは猫がいっぱい。みんなのんびりしています
渋い虫籠窓のバックにした猫
えあ作品 向井亜夢さん @北袋町路地入り口
奈良きたまちの細い路地を使った、向井亜夢さんの作品。ここは奥まで長屋が伸びる細い路地ですが、その足元に不思議な花びらのようなものが敷かれ、奥へと導いているようでした
不思議な形と色。素材は布のようでした
この路地の一角では、「ii畳画廊」という展示も。まち研究家・しみずしげとしさんの自宅の2畳分を使った「旅で出会った手しごと展」という内容とのこと。飄々としたお兄さんが面白かったです(笑)
もあ作品 古川守一さんなど @苻阪家A会場
きたまちの昭和な民家もアートスーペースに!「苻阪家A」会場(B会場もあります)です、。おそらく現在は空き家になっているのでしょう
玄関前の人形からしてすごいことになってます!
ここでは、立体的な造形物を作る古川守一さんの作品と、伊東恭子さん&藤原かなさんというアーティストさんが活動なさってました
押入の奥にポップな大仏さまが!モノクロの線画を描く方とキャラクターイラストの方がコラボしているとか。まだ初日だったため、壁面は白い部分が多いですが、時間が経っていくとすごい書き込みになっていそうですね!
古川守一さんの作品。パンフレットには「誰も知らないところで、見えなくなっていくものたちと架空の儀式に立ち会おう。」とありました。普段は入れない古い民家に入れるのもはならぁとの楽しさです。ここの建具など、何気なくて昭和っぽくて素敵ですね
こちらも古川さんの作品。違和感がすごい!
もあ作品 上瀬留衣さん @苻阪家B会場
その近くの「苻阪家B」会場。ここは上瀬留衣さんというアーティストさんの作品が展示されています。外観は普通の民家ですね
一歩中へ入ると、部屋の中央に巨大な階段状のオブジェが!この異物感はすごいですね。実際に観てみると何事かと思います
奥の和室では不思議な投影も。作品全体について、パンフレットには『「ありもしなかった過去」と「通り過ぎた記憶の中の過去」が1つの状況として提示される場』とありました
昭和な民家が好きなので、知らない家の中を覗き見できるのも楽しいです。和室から台所の境目に、今では考えられないような30センチ以上の段差があって、今見るとちょっと新鮮でした!
昭和な炊事場に、ちょっとポップなホース。使いやすいかどうかは別として、いいですね
もあ作品 上村恭子&tani*kisako @koharu cafe 2F
奈良きたまちの「旅とくらしの玉手箱 フルコト」さんの手前にある『koharu cafe』さん(しょっちゅう行ってるので外観を写すのを忘れました!)。その2階でも素敵な展示があります
白い階段を上がって右手の部屋は「tani*kisako」さんによる「It's a small world」の展示が。私もいつもお世話になっている『小さなホテル 奈良倶楽部』のオーナーの谷さんによる作品で、パステルの色彩が美しいですね。大きな作品で迫力ありました!
こんな作品も。解説には「ieの集合体がmachiとなり、その集合体がやがて小さな世界を形成していく。形ある世界で失われたieやmachiを意識の中で再生したいと願いつつ表現した作品世界です。」とありました
一方のお部屋では、フルコト主でもあるイラストレーター上村恭子さんの「あおによしならたびえまき」という作品展です。この落ち着ける雰囲気!通常の期間はここは貸しスペースになっていますので、作品展やワークショップなど開催したい方は『koharu cafe』さんへお問い合わせください
窓に張ってあったのが『奈良旅手帖2014』の表紙になったもの。寧楽の雰囲気があふれ出てますね!
上村さんの絵を使用した、寧楽モチーフのオリジナル花札『大和寧楽花札』の絵なども。個人的にこの世界観とプロダクトの大ファンなので、改めて惚れぼれとしてしまいました(笑)。こっそりとこれらの作品の原画も展示されていますので、ファンは必見です!
えあ作品 BPlaigeさん @藤井家
きたまちエリアの中でもかなり北の端にある、古くは薬屋、その後は煙草屋さんだったという「藤井家」会場。般若寺などからも程近い場所になります。こんなお宅へ入れていただける機会なんてなかなかありませんね
入ってすぐのスペースは、ガラス戸で仕切られていて店舗だったころの名残が見られます。こんな古い薬の看板があったり、古いホーロー看板があったりします
土間部分。古い竈、高い天井、明かり採りの窓、いくつもある神棚、荒神さんの御札など、現代風に手直しを加えながら、古い民家を大事に使ってきたことが伝わってくるようでした
夕闇が近づいて薄暗くなってきた室内。この会場では、パリ在住の現代美術家「BPlaige(ベプレージュ)」さんのインスタレーション作品があります。谷崎潤一郎が「陰影礼讚」の中で、日本建築の「陰」の部分に注目したことにもインスピレーションを受けているとか
アーティストさんはフランス人女性(とても日本語がお上手でした)で、和紙・銀箔・写真などの素材を使用した作品を発表なさっています。これは和紙に銀箔を施したもの。暗くて伝わりづらいですが、わずかな光を反射したり吸収したり、同じ場所を見ても色んな表情があります
中庭側はまだ明るいのですが、室内はかなりの暗さ。これが日本建築らしさですね。この部屋には、元から黒くて大きな仏壇とピアノが置かれていて、それも不思議な雰囲気を醸し出していました
フラッシュを灯した一枚。中央には、緊急時に体に巻いて暖を取るエマージェンシーシートの上に、大きな音符のようなオブジェがあります。これはガラス製で、薬を製造するために使用されていた道具なのだとか。使用当時のすすなども残っているのですが、奇妙なほど現実感に乏しい印象でした
■奈良・町家の芸術祭 HANARART 2013
HP: http://hanarart.main.jp/
期間: 2013年9月7日 ~ 11月26日
会場: 時期ごとに会場が移っていきます
●五條新町(9月7日~9月16日)
●御所市名柄(9月14日~9月16日)
●八木札の辻(9月20日~9月29日)
●今井町(9月27日~10月6日)
●郡山城下町(10月12日~10月20日)
●宇陀松山(10月20日~10月27日)
●奈良きたまち(11月1日~11月10日)
●桜井本町(11月16日~11月26日)
Twitter: @HANARART
Facebook: https://www.facebook.com/hanarart
■関連する記事