2012-02-20

万葉集に詠まれた和歌浦に建つ『万葉館』@和歌山市

万葉集に詠まれた和歌浦に建つ『万葉館』@和歌山市

和歌山県の片男波公園内にある万葉集関連の施設『万葉館』へ行ってきました。持統天皇・聖武天皇なども訪れた、風光明媚な「和歌浦」にあり、マニアックな映像や展示で、とても楽しめました。


万葉歌に詠まれた若の浦・玉津島など

和歌山市の「片男波公園」内に建つ『万葉館』は、万葉歌人ゆかりの地である和歌浦の歴史を伝える無料施設です。

万葉集には和歌山の詠んだ歌が107首もあり、古くから風光明媚な土地として万葉の歌人に詠まれた和歌の浦は、斉明天皇・持統天皇らの紀温湯(牟婁温湯。現在の白浜)行幸の際に立ち寄られただけではなく、後に聖武天皇が和歌の浦・玉津島を目的地として行幸したほど、万葉人にとっては馴染みの深い景勝地だったそうです。

和歌の浦や玉津島とその周辺については、山部赤人の歌など13首が万葉集に収められているのだとか。最も有名なのは、やはり山部赤人の以下の歌でしょうか。

若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ
葦辺をさして 鶴(たづ)鳴き渡る
山部赤人 万葉集 巻第6-919
若の浦に塩が満ちて来ると、干潟がなくなるので、葦の生えている岸辺をさして、鶴がしきりに鳴き渡って行く

聖武天皇がこの地に行幸した際に詠まれた、長歌一首・反歌二首の一つです。夏場は海水浴客が押し寄せる場所ですが、こんなところに鶴の姿が見られたんですね。そう考えながら見渡すと、海辺の景色もまた違って見えてきます。


万葉館@和歌山市-01

和歌山県和歌山市の景勝地・片男波公園内にある『万葉館』。お天気の悪い冬の夕方のため、かなり薄暗く写っていますが、目の前はすぐ目の前に海が広がり、夏は海水浴客で大混雑になる、とても美しい場所です


里中満智子先生のイラストの映像作品も

万葉館では、資料・映像などを使って、万葉集と和歌山の関わりを分かりやすく展示しています。

●資料展示 万葉集の研究や万葉集と和歌山の関係について、さらに万葉集の時代や歌人について、実物や複製、解説パネル、タッチパネルなどを使い、さまざまな視点から万葉集を多角的に見せる展示を行います。

●万葉シアター
ビデオプロジェクターとマルチスライドを組み合わせた映像と音響・照明効果、スモークを使った多彩な演出などで劇場空間に現れる万葉の世界を物語にして見せます。

●ギャラリー展示
ときに歌に詠まれ、ときに絵画の題材となってきた和歌浦の風景は訪れる人々を魅了してきました。パノラマのガラス窓から見える景観を取り入れた展示室は見る目を休め、和歌浦の風景を楽しめる場となります。


この日は時間が遅くなったため一部しか観られませんでしたが、里中満智子先生のイラストを使用した「万葉シアター」など、無料で拝見できるとは思えないほど豪華な内容となっています。有間皇子の悲劇などがテーマになっているようですので、ファンの方はぜひ!

また、資料展示も渋くて面白かったです。特に、万葉集の写本(手書きで写したもの)の複製品がずらりと並んでいるコーナーは、他ではなかなか見られないマニアックさでした。奈良県明日香村の「万葉文化館」などとはまた違ったタイプの見せ方ですね。


万葉館@和歌山市-04

万葉館の内部では、万葉集の時代や歌人に関する資料が多数展示してあります。万葉歌が好きな方であればかなり楽しめますし、興味がなかった方でも、この土地が古い時代から高貴な方たちに愛されてきた特別な場所だということが分かるような内容になっています

万葉館@和歌山市-03
有名歌人を紹介したパネルなども

万葉館@和歌山市-07
里中満智子先生のイラストを使用して、万葉集の世界を伝える「万葉シアター」。この日は時間がなくて一部しか見られませんでしたが、有間皇子が登場していました。映像はマルチスライドで、スモークを使った演出なども行われるようです!

万葉館@和歌山市-08
紀伊半島の万葉地名を示したマップ。万葉集には和歌山を旅した歌が107首も収められているため、歌に詠まれた地名も数多く存在します

万葉館@和歌山市-09
「万葉館パノラマ窓展望案内図」と名付けられたパネル。聖武天皇が御幸したこともある景勝地が一望できます。万葉歌に詠まれた、和歌浦・玉津島・名草山・妹背山などが広がりますが、この日は生憎のお天気でした

万葉館@和歌山市-05
第7位という下級武官の像が立っていました。誰のイメージなんでしょうか(笑)

万葉館@和歌山市-06
顔出しパネルもあります。女性は「万葉ちゃん」、男性は「あかひと君」。歌に詠まれた鶴は「たづ君」と名付けられているようです

万葉館@和歌山市-02
入館してすぐのところには、「万葉かるた」のコーナーがありました。百人一首の万葉集版のようなものですね。少しだけ遊んでみたのですが、上の句と下の句をつなげるパズルのようで楽しかったです!

万葉館@和歌山市-10
個人的に興味深かったのが、万葉集の様々な時代の写本を集めたコーナーです。万葉集はの原本は存在せず、各時代に写されたもののみが伝わっています。そのさらに複製品ですが、色んなタイプのものがズラリと揃っていて圧巻でした!

万葉館@和歌山市-11
手前が、現在知られている最も古い写本「桂本(かつらぼん)」の複製品。平安時代中期のもので、巻4の一部が残るのみ。貴重なんです

万葉館@和歌山市-13
鎌倉時代後期に写された、最古の全巻揃い「西本願寺本」。万葉集の原本は見つかっていないため、現在刊行されている万葉集の基本本文になっているそうです

万葉館@和歌山市-12
代々、地元の紀州徳川家に伝わってきたという写本「紀州本」。全20巻が揃った、鎌倉・室町期のもの(の複製)だそうです

万葉館@和歌山市-15
江戸時代の国学者で、門下生に本居宣長などがいる賀茂真淵が著した「万葉考」なども。この他、桂本に続く古さを誇る名筆で知られる藤原伊房の書「藍紙本」(本物は国宝)なども見られて、面白かったです!

万葉館@和歌山市-17
和歌山の万葉集に関する著作も多い村瀬憲夫さんの著作『万葉 和歌の浦』(1,200円)。和歌浦周辺が詠まれた万葉歌などが分かりやすく紹介されています。奈良の都からここへ向かう道すがらにある真土山、妹山・背山などの歌も紹介され、その旅を追体験できるのもいいですね。ネットではなかなか手に入りづらいようですので、ぜひ現地のお土産に購入してみてください


和歌浦湾に沈む夕日も見られました

帰り際には、和歌浦湾に沈む夕日も見られました。実は、この土地がどんな場所なのか全く知らなかった数年前、長く砂浜が伸びる片男波を歩いたことがありました。なかなか面白い体験でしたので、ぜひこの方面へお出かけの際にはチャレンジしてみてください。

万葉館@和歌山市-16
帰り際に海岸に出てみたら、一瞬だけ夕日が見えました。和歌浦湾に沈む夕日は美しいですね



大きな地図で見る


■万葉館

HP: http://www.wacaf.or.jp/kataonami/m_index.html
住所: 和歌山県和歌山市和歌浦南3丁目1700-2
電話: 073-446-5553
定休日: 年末年始、点検日
開館時間: 9:00 - 17:00
入館料金: 無料
駐車場: 400円(7-8月は 1,000円)
アクセス: 和歌山バス、新和歌浦行きで25分「不老橋」下車、徒歩10分

※実際に伺ったのは「2011年12月26日」でした。


■参考にさせていただきました!

片男波公園のご案内 || wacaf || 財団法人 和歌山県文化振興財団
和歌山市観光協会 公式HP|和歌山の歴史 万葉館










  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ