楽しい歴史系ワークショップが開催された『フルコト学校』
奈良の「旅とくらしの玉手箱 フルコト」さんが中心となって、1月31日(土)に歴史系ワークショップなどのイベント『フルコト学校』が開催されました。三角縁神獣鏡チョコレートを作ったり、陀羅尼経のミニ巻物を作ったり、ユニークで楽しい企画が盛りだくさんでした。すでにイベントは終了していますが、簡単にレポートしておきます。
楽しく歴史で遊ぶ「フルコト学校」開校!
天平時代にちなんだ食を楽しむ「天平バー」など、次々と古代系のユニークな企画を実現してきた、奈良のお店『旅とくらしの玉手箱 フルコト』さん。オリジナルの商品を開発したり、編集チームとして活動したり、2号店「奈良の雑貨とカフェBAR ことのまあかり」を展開したり、奈良では目が離せない存在です。
そのフルコトの主さんたち(女性5名のチームです)が、2016年1月31日(土)には『フルコト学校』と題し、ワークショップなどを中心としたイベントを開催しました。
●【図工】御朱印帳(編集者のトークと御朱印帳作りワークショップ)
●【理科】三角縁神獣鏡(三角縁神獣鏡チョコレートを作ろう!ワークショップ)
●【歴史】百万塔陀羅尼経(マイ百万塔陀羅尼を作ろうワークショップ)
●【社会】神様・神社(現役の宮司さんによる、神様・神社についての講演)
●【家庭】デコ巻き寿司(お寿司で美豆良坊やと古墳を作ろう!ワークショップ)
●【給食】天平Bar(「穀雨~koku~」さんとコラボした天平バー)
●【美術】仏像コスプレ&散華づくり in フルコト学校 など
※当日のまとめはこちら
歴史に学び 歴史に遊べ フルコト学校開校!(2016年1月30日) - Togetterまとめ
いずれも他ではまず体験できないようなユニークな授業が並んでいます。基本的に事前申し込み制だったため、私たちは数箇所しか参加できませんでしたが、簡単にその様子をレポートしておきます。
2016年1月30日、一日だけ開校された『フルコト学校』の入学案内のパンフレット。キャッチコピーの「歴史に学び 歴史に遊べ」がいいですね!
大人気の「三角縁神獣鏡チョコレート」
「ことのまあかり」では、福井市立郷土歴史博物館学芸員であり、朝日観音福通寺のご住職であり、私たちの友人でもある藤川明宏さん(@asahiji_myoko )による「三角縁神獣鏡チョコレートを作ろう!ワークショップ」(授業料 2,000円)が開催されました。
開催のたびにあっという間に満員となる人気企画で、私たちは傍から様子を眺めていただけでしたが、カフェでは三角縁神獣鏡チョコを味わえるメニューもあるなど、楽しませていただきました!
会場となった「ことのまあかり」さんでは、狭き門だったワークショップに当選した方たちが三角縁神獣鏡チョコ作りに励んでいました。完成したチョコはもちろん各自持ち帰ることができます!
参加者のお一人。天平衣装(もちろん自前です)の上から、割烹着を着て作業なさってました。普段から古代好きな方が集まっているお店なので、こんな衣装やアクセサリーを身に着けている方たちを見てももうそれほど驚きません。すごい世界です(笑)
カフェで寛いでいたら、ちょうどこれから仕上げる三角縁神獣鏡チョコがあるというので、目の前で作業してもらいました。リアルな造形のチョコに、表面に金粉(もちろん食べられるもの)を撒き、ブラシで表面をならしていきます
きれいに完成したら木槌で割ります!(※特別に割る作業も体験させていただきました)
このチョコが味わえるセットが、この日限定メニュー「三角縁神獣鏡チョコレートセット(古墳珈琲中期付き)」(@700円)。歴史の教科書などでお馴染みの古代の器「須恵器」に盛られて登場するなど、凝りまくってます(笑)
三角縁神獣鏡チョコの断面。リアル!お味も美味しかったです!
楽しい「仏像コスプレ」体験 by 仏像お姉さん
そして、きたまちの「東向北コミュニティ会館」の会場では、【美術】の授業として「仏像コスプレ&散華づくり in フルコト学校」(無料)が開催に。
2015年11月に滋賀県立近代美術館で開催された「美の糸口─アートにどぼん!2015」で好評だった企画です。仏像好きな「仏像お姉さん」たちとともに、身につけたい衣装を選び、白毫アクセサリーや宝冠など相応しいものを合わせて記念撮影できる、という内容です。参加者さんもふくめて、みんな楽しそうでした!
「仏像コスプレ&散華づくり」の会場。仏像お姉さんたちの指導で、仏像のコスチュームを着られたり、散華作りができたりします
コスプレ用の宝冠や持物。錫杖があったり羂索があったり、お子さんも楽しめるようなキャッチーな造形ですが、仏像好きが作ったものなのでなかなかマニアックですね!
手順の説明からして、こんな感じ。お子さんや若い女性には入りやすいですよね
友人がコスプレした姿。衣装と持物がそろうと、ちゃんとそれっぽく見えるものですね。私も試してみましたが、とても人様にはお見せできません(笑)
仏像お姉さんたち。こんなフレームを持って記念撮影できるようになっています!お疲れさまでした!
陀羅尼経の豆巻物が作れるワークショップ!
そして、【歴史】の授業として開催された「百万塔陀羅尼を知り、マイ陀羅尼経を作ろうワークショップ」(授業料 2,000円)では、前日にキャンセルが発生したということで、運良くうちの奥さんが参加させていただけました!
「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」(Wikipedia)とは、764年に藤原仲麻呂の乱を平定した称徳天皇が、陀羅尼100万巻を印刷し、小型の塔に納めて奈良の10大寺に奉納したもの。「現存する世界最古の印刷物」とする説もあるほどです。
●奈良時代の衣食住をリバイバルするブランド『いちくら「肆」』を主宰する、フルコト・金田あおいさん(Twitter)
●細密な消しゴム版画を彫り、豆本や雑貨などを制作している『つまびきや』(Facebook・Twitter)として活動する作家・なかのさちえさん
このお二人を講師として、百万塔陀羅尼の歴史を知り、そして自分たちで作ってしまおう!というワークショップなのです。
きたまち「文化創造アルカ」さんを会場としてワークショップが行われました。手前にあるのがお手本となる「陀羅尼経」の豆巻物。その後ろにそびえているのが、この日が初登場となった「百万塔テープカッター」。マスキングテープを収納してカッターになるというすごいもの!
陀羅尼経の豆巻物はこんな感じ。サンプルは紺色の紙に金字(紺紙金泥)ですが、この日に作るのは白い紙に黒文字です
前半は金田さんによる「百万塔陀羅尼ってなに?」という講座。歴史や特徴、内部構造など、分かりやすいレジュメを用いて解説していただきました
後半は、陀羅尼経の豆巻物の制作ワークショップ。準備されていた素材一式を広げたところ。ちなみに、封筒にある「仏足石」も、つまびきやさんが作成した消しゴム版画の作品です。すごい!
お経の部分は事前に彫ってある判を押していきますが、この細かさです!漢字を掘る(しかもお経に使われる画数の多い漢字)なんて、どれだけ細かい作業なんだか想像もつきません
陀羅尼経のはんこは3つ。順番に押していくと完成します。巻物のタイトル部分もはんこで押します
糊を使ったり、ちょっと折ったり巻いたり。参加者のみなさん、楽しそうに作業なさってました
ミニ巻物の軸を作る作業。この工程がもっとも難しかったようです。私は撮影係でしたが、不器用なのでこんな細かい作業は無理だったかもしれません(笑)
陀羅尼経のミニ巻物たち。完成したみんなの作品を集めて記念撮影しました。表紙用の紙やひもの色なども各自で好きなものを選んで使用したため、とても華やかですね!
完成したミニ巻物と、ワークショップ参加者へのプレゼント、この日に新発売された「陀羅尼経マスキングテープ」など。作ろうと思えば巻物もできちゃうものなんですね。この回の参加者にはお子さんなどはおらず、大人のみでしたが、難易度もちょうどいいくらいだったようです。「適度に難しくてやり甲斐があって、完成品が素敵なワークショップ」なんて、他にはなかなかありません!
会場では物販も。『つまびきや』さんのアイテムたちは、講師のなかのさんが制作した版画ポストカードや総版画豆本など
金田さんのブランド『いちくら「肆」』のアイテムたち。こだわりの職人さんが焼いている須恵器のシリーズなど、マニアックな本格派です。この日だけの限定販売品も多数ありましたが、「須恵器高坏」はことのまあかりさんで購入できますので、興味のある方はぜひ!
■フルコト学校
HP: http://www.furukoto.org/school2016/
開催日: 2016年1月31日(土)
■参考にさせていただきました
歴史に学び 歴史に遊べ フルコト学校開校!(2016年1月30日) - Togetterまとめ
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