2014-11-27

百人一首で有名な『竜田川の紅葉』は見事!@斑鳩町

百人一首で有名な『竜田川の紅葉』は見事!@斑鳩町

「千早ふる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」(在原業平)
「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」(能因法師)

百人一首にも2首も収められているほど、紅葉の名所として名高い、斑鳩町の「竜田川」。念願だった美しい紅葉を観てきました!小さな神奈備山「三室山」にも登れます。一帯が竜田公園として整備されていて、楽しく散策できました。


在原業平、能因法師が歌った紅葉の名所

古くから紅葉の名所として知られていた、斑鳩町の「竜田川」(または龍田川)。竜田川の紅葉を詠んだ歌は、百人一首にも2首も収められています。

ちはやぶる 神世も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは
在原業平 百人一首 17番
神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が散った紅葉で水を紅色のしぼり染めにするなんて。

在原業平は、平城天皇の皇子・阿保親王の息子で、稀代の色男として知られる人物。実際に竜田川へ行ったのではなく、清和天皇の側室となった「二条の后」(藤原高子)のところにあった屏風に、見事な紅葉が描かれているのを見て詠んだ歌です。

在原業平と藤原高子は、以前に身分違いの恋仲だったとされ、二人だけの秘めた思いも込められているかもしれません。

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり
能因法師 百人一首 69番
激しい山嵐が吹き、三室の山の紅葉の葉が散って、竜田川の川面はまるで錦織りのような美しさだ。

能因法師は、二十代半ばで出家し、全国を旅した漂泊の歌人です。各地の歌枕(名所を詠み込んだご当地ソングのようなもの)を収集したことでも知られており、のちの時代の西行法師・松尾芭蕉などにも大きな影響を与えたとされています。

これ以降、「紅葉といえば竜田」というほど、有名な地名となりました。しかし、「この当時の竜田川は現在のものではなく、大和川本流を指している」という考えもあるのだそうです(Wikipedia)。

その正否はともかく、現在でも毎年秋になると、竜田川沿いの奈良県立竜田公園では、「紅葉祭り」なども行われています。


竜田川の紅葉@斑鳩町-01

竜田川沿いに広がる「奈良県立竜田公園」のマップ。総延長2kmほどの範囲です。駐車場は、三室山に近い「竜田公園南駐車場」が便利。この日は、竜田公園の北端、平群町との境に近い駐車場から川沿いを歩いてみました。駐車場は狭いので、紅葉や桜の季節は停めづらいので注意が必要です

竜田川の紅葉@斑鳩町-02
川沿いに真っ赤な紅葉!この日は15時くらいに到着しましたが、早めに日が陰ってしまうため、午前中やお昼ごろの方が綺麗に見られるでしょう

竜田川の紅葉@斑鳩町-04
前日が雨だったこともあり、足元には色とりどりの紅葉した葉っぱ。この日は11月27日、紅葉のピークの終盤くらいでした

竜田川の紅葉@斑鳩町-03
竜田川の紅葉についての説明。第10代・崇神天皇が龍田明神に行幸され、五穀豊穣を祈り、上流から流れてきた八葉の楓葉を龍田の神さまに献上されました。のちに文武天皇も紅葉を見て感動されたとか。江戸時代には、地元の国学者・藤門周齋が中心となって、増殖・保護に務めてきたそうです


両端に紅葉。赤い欄干の風情ある「紅葉橋」

竜田川の紅葉@斑鳩町-05
竜田川沿いを歩いていると、次々に紅葉した木々が見えてきます。全体が真っ赤ということはありませんが、色とりどりでとても美しいものでした。桜の木も多いので、もう少し早い時期であればそれもきれいだったと思います

竜田川の紅葉@斑鳩町-06
交通量の多い「竜田大橋」から200mほど西側にかかる、その名も「紅葉橋」!欄干が赤く塗ってあって、風情がありますね

竜田川の紅葉@斑鳩町-07

竜田川の紅葉@斑鳩町-08
紅葉橋は、歩行者専用の橋です。橋の両端に真っ赤な紅葉があり、見事な眺めでした。川沿いは歩きやすい遊歩道になっていて、散策していて気持ちいいエリアです

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水面に映る竜田川の紅葉

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この日は風も無かったので、水面もきれいに見えます。百人一首の歌では、散った葉が水面を埋め尽くして「からくれなゐ」に染まったり、「竜田の川の錦」となった光景を歌っていますが、現在では川幅も広く整備されていて、そんな姿を見るのは難しいかもしれません


標高82m。有名な「三室山」にも登れます

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竜田大橋から700mくらい西に見える、小さな丘のような山が、有名な「三室山(みむろやま)」(Wikipedia)です。標高はわずか82m。古くから神がおわす神奈備山として崇められてきました

竜田川の紅葉@斑鳩町-12
三室山の登り口。ちょっとした丘ですから、すぐに頂上まで登れます

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壁面には「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」(能因法師)、「千早ふる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」(在原業平)の歌の碑があります

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下からはあまりよく見えませんでしたが、三室山は紅葉と桜が多く植えられていて、紅葉も見事でした。春の桜の時期もきれいでしょうね

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三室山の途中からの眺め。それほど景色がいいわけではありません

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三室山の山頂には東屋が建っています。新しいものなんですが、白壁に丸窓があってなかなか風情がありますね

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三室山山頂の五輪塔は、「竜田の川の錦なりけり」と詠んだ能因法師の供養塔と伝えられるもの。能因法師は、平安時代中期の歌人で、中古三十六歌仙の一人に挙げられます。26歳の時に出家し、甲斐・陸奥・伊予など各地を旅しました。下の神南集落の三室堂に住んだことがあり、三室山にもしばしば遊びに来ていたのだとか。供養塔は、公園整備の際にここへ移されたのだそうです


さすが竜田川の紅葉は見事でした

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■竜田公園

HP: http://www.pref.nara.jp/31085.htm
住所: 奈良県生駒郡斑鳩町龍田
駐車場: 無料(約20台)
アクセス: JR王寺駅から、奈良交通バスで法隆寺方面行(約10分)、竜田大橋停留所下車。徒歩すぐ


■参考にさせていただきました

竜田川 - Wikipedia
紅葉祭り-斑鳩町観光協会
Facebook: 斑鳩(Ikaruga Nara)


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