
美しい近代建築の駅舎『宇治山田駅』@三重県伊勢市
伊勢旅行へ行った際に、国の登録有形文化財『宇治山田駅』の美しい駅舎を見てきました。1931年に建てられた近代建築で、外壁はクリーム色のテラコッタタイルで装飾され、天井の高いコンコースは雰囲気バツグンです。拝見することは出来ませんが、2階には貴賓室も設けられているそうです。伊勢参拝の気分を静かに盛り上げてくれる、素晴らしい建築ですね。
昭和初期の近代駅舎建築の傑作です
近鉄山田線・鳥羽線の駅「宇治山田駅」(Wikipedia)は、2001年には国の登録有形文化財に登録された、とても美しい近代建築です。
私たちは伊勢へは何度も行っていますが、普段は車を使用するので、宇治山田駅へ行くのはこの日が初めてでした。短い時間で外観とコンコースを観ただけでしたが、雰囲気があって素晴らしいですね!
宇治山田駅は、1931年に参宮急行電鉄(現在の近鉄)の終着駅として誕生しました。
当時から鉄筋コンクリート3階建てで、伊勢神宮参拝の窓口となっていたため、天皇陛下などの貴賓客も多く訪れ、2階部分には「貴賓室」が設けられています。見晴らしの良さを活かして、建物南端の塔屋は火の見櫓を兼ね、戦後にはここに伊勢市の消防本部が置かれたこともあったとか。
設計は、同時期に東武鉄道・浅草駅や、南海電鉄・難波駅の「南海ビルディング」なども手がけた「久野節(くのみさお)」Wikipedia)。元は鉄道省の建築課長だったという経歴を活かし、数多くの駅舎建築を手がけた方です。
今調べてみて初めて知ったのですが、東京・上野のアメ横入り口脇にあった細長い建物「じゅらくビル」(2006年に解体。現在はヨドバシカメラに)もこの久野節の設計だったとか。かなり変わった建物で記憶に残っていただけに、意外な繋がりが見つかって個人的に嬉しいです(笑)
近鉄「宇治山田駅」を正面から。1931年に建てられた、久野節設計の近代建築です。壁面の色合いや庇のちょっとした装飾金具など、いい味を出してますね。2階部分の窓が中央に折り曲げられて風を入れるところも素敵です!
高い天井に八角形の窓。雰囲気あります!
宇治山田駅の駅舎は、その幅が120mもある堂々たるもので、近くからでは全体が収められないほどです。外部の壁面はクリーム色のテラコッタタイルで装飾されています。西南側にある塔屋は5階建てで、火の見櫓として使用された当時の様子を偲ばせます。
コンコースへ入ると、天井が高く、美しい白壁がまばゆく見えます。八角形の明かり採りの窓も見事ですね!証明も緩やかな曲線が美しいデザインでした。
この日もたくさんの観光客や地元の方が利用していましたが、国の登録有形文化財た美しい建物を日常的に利用できるなんて幸せなことだと思います。ぜひたくさんの方にその魅力に気づいて欲しいですね。
別アングルから。駅名の下に八角形の窓が並んでいるのですが、ちょうど庇とかぶってしまいました……。駅前の歩道橋からだときれいに見えるそうですから、機会があればぜひ注目してみてください
駅舎の西南側にある「塔屋」。この部分だけ5階建てで、今でも見晴らしが良さそうです
壁面の装飾も見事。装飾過多にならず、実用性と重厚さを兼ね備えた印象です
入り口ドア周辺。たくさんの観光客が通り過ぎる頭上には、こんな凝ったデザインがあるんですね!
コンコース内。天井が高くて、とても雰囲気があります。たくさんの方が行き交う駅舎で、ちょっと上を見上げるとこんな光景が広がっているんですから、贅沢な気分ですね
壁面には八角形の窓が。コンコース内は全体的に直線が多くソリッドな印象ですが、照明の曲線がいいアクセントになっていますね
宇治山田駅前に「度会府庁跡(わたらいふちょうあと)」の説明書きがありました。1867年の大政奉還の年、現在の三重県は度会県・安濃津県に二分され、その翌年に度会県の府庁がここに置かれたのだとか。この両県が合併して三重県となるのは、9年後の1876年のこと。そんな歴史があったんですね!
■近鉄 宇治山田駅
HP: 参考サイト(Wikipedia)
住所: 三重県伊勢市岩渕2-1-43
※実際に現地へ行ったのは「2013年7月7日」でした
■参考にさせていただきました