2008-05-27

住みたくなる復元町家『ならまち格子の家』

ならまち格子の家

奈良町を南側に歩いていくと『ならまち格子の家』があります。市の施設で、奈良町の伝統的な、明治期の町家を復元したものなんですが、雰囲気がいいんですよ!

特にこの日はいいお天気でしたので、日本家屋に差し込む日差しの陰影がキレイで、どれだけ眺めていても飽きないくらい、穏やかな時間を過ごすことができました。


レトロでモダン。居心地のいい町家

『ならまち格子の家』は、休憩所も兼ねた市の施設のため、拝観料なども無料。誰でも気軽に見学できます。そんな建物にしては見どころも沢山あって、本当に雰囲気のいい建物でした。

この手の町家はかなりの数を見てきていますが、さすがにどれも古いため、「ここに住みたい」と心から思えるようなものはそれほど多くありません(住んだら大変な思いをするのが想像できますから)。でも、ここは新たに復元した建物ですから、本当に住んでみたくなるような、レトロでモダンな風情があります。

建築会社さんが古民家の雰囲気を再現したような設計をした家などもありますが、その本格的なもの、といった感じでしょうか?あとは水周りさえ現代風に改良してもらえれば、そのまま現代デザインの住居に転用できそうです。

「みせの間」「中の間」「奥の間」と続く和室には、気持ちいい風が吹き抜けてきます。格子越しに差し込む日差しが影を作り、中庭の緑も穏やか。板張りになった「離れ」からは裏庭と白壁の「蔵」が見えて、本当に和の居心地の良さが感じられるんですよね。京都の庭園を眺めながらボケーッとしているのも気持ちいいものですが、ここもそれと同じような落ち着いた心持になれます。

・・・と、本当にいい時間を過ごさせてもらった私ですが、相方の話によると、実はここへ来るのは2回目なんだとか。前回のことは全く記憶にありませんので、ひょっとしたらこんないい季節の晴れた日じゃないと、今回ほど感動できないのかもしれませんね(笑)

いずれにしても、無料で拝観できる施設ですので、奈良町へ行った際にはぜひ立ち寄ってみてください。オススメです!


ならまち格子の家-01

奈良町の外れにある『ならまち格子の家』。伝統的な町家を再現したものですから、建物自体は新しいのですが、内部は驚くほど美しく、ここに住みたくなるほどでした!

ならまち格子の家-02
入口すぐにあった貼り紙。休憩スペースは「元ミシン屋さん」で、復元した町家は、タバコ・薬・化粧品などを販売していたのだそうです。のんびり見える奈良町も、色々なお店が出ては消えていったようですね

ならまち格子の家-03
入ってすぐ、休憩スペース前にある「月日の彫刻」。基本はシンプルなんですが、お天気でこんな陰影が出ると、特に美しく感じられます。こんなスペースが自宅に欲しい・・・

ならまち格子の家-04
表に面した格子ごしに入ってくる光で、美しいコントラストが生まれていました。外からは見えにくく、中からはクリアに見える、町家造りのメリットの一つです

ならまち格子の家-05
通り庭部分。土間になっていて、このかまどで煮炊きするため、天井は高め。頭上には「煙抜き」があります。高い位置に明りとりがあり、暗くなりがちな日本家屋らしい工夫が見られます

ならまち格子の家-06
道路に面している「みせの間」の様子。鹿が描かれた屏風もすごいですが、行灯や火鉢もいいですね。明治時代の雰囲気を再現しているそうですが、かなり魅力的です

ならまち格子の家-07
みせの間の隣「中の間」には、2階へ上がれる「箱階段」があります。この雰囲気もかなりいいですね

ならまち格子の家-08
中の間から道路側を振り返ったところ。この陰影が町家の魅力ですね。本当にこんなところに住みたくなってきます

ならまち格子の家-09
簡素な「奥の間」の隣にある「中庭」。小さなお庭なんですが、よく作られていて本当にキレイですね。細部の細部まで、どこを見ても美しいです

ならまち格子の家-10
中庭にあったつくばい。スクエアな形がモダンな雰囲気を感じさせてくれます。葉っぱを浮かべたのは私たちではなく、誰かの演出だと思います(笑)

ならまち格子の家-11
「離れ(パネルが展示してあります)」から、中庭ごしに振り返ってみた図。左手の渡り廊下に面してお風呂やトイレが並んでいます

ならまち格子の家-12
ならまち格子の家の2階部分。この時代の町家だと、2階部分はもっと低くて狭いものが多いように思いますが、ここは明るく広々。ここになら喜んで住めますね!

ならまち格子の家-13
2階から階下を見下ろしたところ。箱階段は横から眺める分にはとてもいい仕組みなんですが、いざ上り下りしようと思ったら、急で狭くて大変でえすね


国の重要文化財『藤岡家住宅』

「ならまち格子の家」の向かいには、重要文化財に指定されている『藤岡家住宅』があります。コチラは江戸時代の建物で、現在も家主さんが普通に住んでいらっしゃいます。

2003年11月までは、ここで「かまど飯と大和茶の店 てんぽ」というお店を営業していたそうですが、現在は閉店。不定期で内部を公開しているという情報もあるのですが、正確なところは不明です。

今井町などでも見かけたことがありましたが、建物の壁の仕掛けによって、すぐに店の陳列棚に変身する「揚床机」というシステムで、ここまで本格的なものは初めて見たと思います。その上げ下げの様子など、ぜひ一度は見てみたいものですね。いつか機会があれば、ぜひ内部も拝観させていただきたいと思います。


奈良町「藤岡家住宅」-01

「ならまち格子の家」の真向かいにある、国指定の重要文化財『藤岡家住宅』。江戸時代のもので、築300年ほど。昔は鬢付け油などを販売する化粧品店のようなものだったとか。昔はここで食事もさせてくれたそうですが、今はもう止めてしまったんだそうです

奈良町「藤岡家住宅」-02
壁に収納されている台を下ろし、上の部分を開放すると、すぐにお店の陳列棚に早替わり(揚床机というそうです)。古い町家ならではのアイディアが詰まっているんですね



大きな地図で見る


ならまち格子の家

住所: 奈良県奈良市元興寺町44
電話: 0742-23-4820
定休日: 月曜日(祝日の場合は翌日)・祝日の翌平日
営業時間: 9:00 - 17:00
拝観料: 無料
駐車場: なし
アクセス: 「近鉄奈良駅」から徒歩20分






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