2018-07-26

糞虫の聖地・奈良に誕生した私設博物館『ならまち糞虫館』

糞虫の聖地・奈良に誕生した私設博物館『ならまち糞虫館』

奈良公園には鹿たちの糞を食べて分解してくれるコガネムシの仲間「糞虫(ふんちゅう)」が多数生息し、「糞虫の聖地」と呼ばれています。そんな奈良市内にオープンした『ならまち糞虫館』は、“フン虫王子”こと中村さんが個人で作った博物館です。青く輝くルリセンチコガネなど、美しい糞虫たちの世界が楽しめます!

(※虫の画像がたくさん出てきますので、苦手な方は閲覧ご遠慮ください。)


奈良市南城戸町の裏路地にオープン

2018年7月、奈良市南城戸町にオープンした『ならまち糞虫館(ならまちふんちゅうかん)』。奈良公園に多数生息し、鹿たちの糞を食べて分解してくれるコガネムシの仲間「糞虫」(いわゆるフンコロガシ)の標本などを展示する施設です。

館長は、“フン虫王子”こと中村圭一さん。2016年に長年勤めていた会社を早期退職。退職金などをもとに開設した私設博物館です。個人で「糞虫のミュージアムを作ろう」と思い立つなんて、その熱量に驚きます!


ならまち糞虫館@奈良市-01

ならまち糞虫館』は、奈良市南城戸町に位置します。奈良市鳴川町の「奈良市音声館」、または南城戸町の仏具店「水本生長堂」さんを目印にするといいでしょう。近鉄奈良駅からは徒歩12分ほどの距離です

ならまち糞虫館@奈良市-02
開館時間中であれば、水本生長堂さんの脇に小さな看板が出ています。とはいえ、ちょっと不安になるほどの細い路地ですが……

ならまち糞虫館@奈良市-03
これが入口部分です(※画像はまだオープン前の様子)。現在のところ、開館は「土日の13:00~18:00のみ」です。平日は閉まっていますのでお気をつけください

ならまち糞虫館@奈良市-04
『ならまち糞虫館』の館内の様子。白を基調とした一室で、壁3面は展示用の棚に、1面は動くフンコロガシたちの姿などが見られる映像が投影されています。展示方法も独特で、糞虫の施設とは思えません

ならまち糞虫館@奈良市-05
奥の部屋。ここは大きめの標本箱がいくつも並んでいました。館長の中村さんのお話によると、この部屋では生きた糞虫を飼育・観察できるようにする予定ですが、オープンに間に合わなかったのだとか。2階にももう一部屋あり、セミナールームとして写真展や発表会用に使用するそうです


ルリセンチコガネなど奈良公園の糞虫たち

普段は意識していませんが、奈良公園は「糞虫の聖地」なのだそうです。

奈良公園には、約1,200頭の鹿が生息し、草を食べ、大量のフンをしています。フンの量は、毎日1トン(!)にも及ぶのだとか。その大量のフンを食べ、きれいに掃除してくれているのが、食糞性のコガネムシ「糞虫」たちです。

奈良公園には、体が青く輝くオオセンチコガネ「ルリセンチコガネ」(参考記事:幸せの青い糞虫 - デイリーポータルZ)が生息することで知られており、昆虫好きの間では有名な存在です。

そればかりではなく、日本に生息する約160種類の糞虫の中で、奈良公園には約60種類もの種類が確認されており、「糞虫の聖地」と呼ばれているのだとか。鹿たちの楽園・奈良公園の地面で、そんなにたくさんの糞虫が働いていたなんて、ちょっと驚きですね。


ならまち糞虫館@奈良市-06

「糞虫の聖地」の説明文。

「日本には約160種類の糞虫が生息しており、奈良県ではそのうち60にも上る種類が確認されています。その多くが奈良公園に生息しているため、奈良公園は金華山(宮城県)や宮島(広島県)とともに、日本の3大「糞虫の聖地」と呼ばれています。
ご存知の通りいずれもシカをはじめとする多様な動物が棲む自然豊かな場所ですが、糞虫の種類を比べると、金華山は15種類、宮島は14種類。
奈良公園こそが日本を代表する「糞虫の聖地」なのです。」

ならまち糞虫館@奈良市-07
糞虫たちは、球体(※フンコロガシが転がすフンをイメージしたものでしょう)の上に浮かすように展示されています。クリアケースの中に入っていたり、ケースがなかったり様々。ペンライトも置いてあって、これで糞虫を照らすことで体色の美しさがわかりやすくなります。写真は京都市山科で採取されたもの

ならまち糞虫館@奈良市-08
こちらが奈良公園で採取された「ルリセンチコガネ」(体色が青味を帯びるオオセンチコガネの俗称)です。じっくりと観察すると、確かに青くて美しいです!

ならまち糞虫館@奈良市-09
こちらも糞虫の仲間「ネグロマグソコガネ」「チャグロマグソコガネ」など。いずれも奈良公園で採取されたものですが、とにかく小さい!体長数ミリという個体でもすでに成虫なのだそうです

ならまち糞虫館@奈良市-10
同じく奈良公園で採取された「クロツカマグソコガネ」や「オビマグソコガネ」「ウスイロマグソコガネ」など。このサイズの糞虫たちが頑張って鹿たちのフンを掃除してくれているのかと思うと、いじらしく思えてきます(笑)

ならまち糞虫館@奈良市-11
ちょっと大きめの個体たちや……

ならまち糞虫館@奈良市-12
じっくりと観察してみると、立派な角がはえているものも。色も形もいいですね!


世界の美しい糞虫の標本も多数!

ならまち糞虫館@奈良市-13
また、壁1面分を使って、海外の糞虫も展示されています。写真はアルゼンチンのもの。体が大きかったり、体色が鮮やかだったり。知らずに偶然見かけたらびっくりしそうな色ですね(笑)

ならまち糞虫館@奈良市-14
こちらはメキシコのもの。ライトを当てると美しく輝きます

ならまち糞虫館@奈良市-15
お隣の韓国のものなども。この他にも世界各国の糞虫が展示されていて、どれも美しかったです。糞虫はとくに海外の昆虫マニアに人気が高いと聞きましたが、わかるような気がします

ならまち糞虫館@奈良市-16
標本箱もたくさん展示されていました。大きめの種を集めたものから……

ならまち糞虫館@奈良市-17
小さな小さな糞虫を集めたものまで!

ならまち糞虫館@奈良市-18
なお、館内では糞虫をデザインしたオリジナルTシャツ(2,000円)も販売されています!他では決して手に入らないものですので、昆虫好きな方はぜひ!



■ならまち糞虫館

HP: http://naratour.blog.jp/archives/1071932946.html
ブログ: むしむしブログ
住所: 奈良県奈良市南城戸町28-13
開館日: 土日のみ
開館時間: 13:00~18:00
入館料: 300円
駐車場: なし
アクセス: 「近鉄奈良駅」から徒歩約12分。JR桜井線「京終駅」からは徒歩約10分です。


※実際にお邪魔したのは「2018年7月22日(日)」でした。


■参考にさせていただきました
1日1トンの糞を掃除 「糞虫」の美しさに魅せられた男:朝日新聞デジタル
ならまち糞虫館:生態に魅了された中村さんの夢 私設であす開館 奈良 /奈良 - 毎日新聞






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