注文殺到!手づくりランドセル『鞄工房山本』@橿原市
香久山の麓に位置する、全国から注文が殺到するランドセル工房『鞄工房山本』さん。銀座と表参道にもショールームを構え、昨年度はわずか3時間でウェブサイトでの販売分が完売となってしまったほどの人気ぶりでした。奈良本店ではランドセルを選び、工房も見学させてもらえます。ご購入予定の方は要チェックですよ!
飽きないデザイン。壊れない高品質
大和三山のひとつ「香久山」の麓に、全国から注文が殺到する「ランドセル工房」があることをご存知でしょうか?
それは『鞄工房山本』さん(Facebook)。奈良本店だけではなく、銀座と表参道にもショールームを構えています。
奈良のランドセル工房が、銀座や表参道にショールームを構えるというだけでもすごいことですが、昨年(2017年度)は来店客と注文が殺到しすぎて大変な騒ぎとなり、ウェブサイトでの販売分がわずか3時間(!)で完売になったほど!
2015年に完成したばかりの奈良本店ですが、すでに春の販売シーズンの週末ともなるとキャパ不足になってしまうほどで、今年度から週末と祝日は別会場を借りて展示を行うようにしたそうです(詳しくは後述します)。
橿原市の香久山の麓にある『鞄工房山本』さんの奈良本店。明日香村との境にあり、ソフトクリームが美味しい「みるく工房飛鳥」さんのお隣と言ったほうがわかりやすいかもしれません
鞄工房山本さんの「奈良本店」の門構え。同社の創業は1949年。1969年からランドセル専業となり、百貨店などへの卸販売をしていました。2009年に初めて東京・池袋での展示会を開催し、2013年には常設の銀座店が、翌2014年には表参道店がオープン。2015年には工房近くに奈良本店が完成するなど、快進撃が続いています
奈良本店の店内。天井が高くて広々としています。壁一面にランドセルが吊るしてあり、好きな色を選んで実際に背負ったりしながら選べます。なお、鞄工房山本さんのランドセルは、革の裁断からすべて自社で一貫製造しています。ここまで徹底しているメーカーはあまりないのだとか
男の子向けのランドセルのラインナップ(詳しくはこちら)。この日はまだ2018年度の新作が店頭に並ぶ直前でしたが、基本的な商品構成は昨年と変わらないとのこと。全体的にシックで、落ち着いた雰囲気です
こちらは女の子向けのランドセルのラインナップ(詳しくはこちら)。こちらも意外と落ち着いたカラーバリエーションですね。ステッチなども入っていますが、どれもとても品が良く、6年間飽きずに使えるシンプルデザインとなっています
落ち着いたステッチがあったり……
花柄をほどこしてあったり。昔のランドセルのイメージというと、男の子は黒、女の子は赤のみでしたが、最近では色んなバリエーションが登場しているというニュースを目にします。しかし、このくらいのデザインであれば、まったく華美な印象もなく、親としても安心かもしれませんね
専業メーカーのこだわりが随所に
ランドセルを締める金具部分は、同社オリジナルのワンタッチ・オートロック機能付き。このページに動画が掲載されていますが、自動で締まるんですよ!昔のことを思うと驚くような進歩ですね
後ろのポケット部分。ファスナーがサイドまで大きく開き、マチ付き。手前に8cmも開くため、出し入れしやすいのだそうです
肩ベルトは、一般的に裏革が二枚つなぎになっているものが多いのですが、同社では裏も表も1枚革を使用(※裏革はソフト牛革や人工皮革)。より丈夫で背負いやすくしてあります。また、ランドセルの背当て部分には、硬さの異なる2種類のウレタンフォームで作った深い凹凸があり、通気性に優れ、背負いやすい工夫も。肩ベルト部分の金具は、防犯ブザーをつけるため
サイドについているナスカンは、約15~18kgの負荷がかかると外れるようになっているそうです。ここに袋物などをぶら下げて、万が一、どこかに巻き込まれてしまってもお子さんが引きずられないようにするためだとか。細部にまで気遣いが詰まってますね!
6年間毎日使うから、良いものを
鞄工房山本さんのランドセルは、「牛革」「コードバン」「人工皮革」と3種類の素材を使用しています。それぞれ一長一短あり、価格帯なども違っていきます。
もっともお手頃なのは55,000円(税込)。もっとも高級なものになると「夢こうろ染め」という染色技法を使った179,000円(!)のものまで!
量販店さんなどと比べると、全体的に価格帯は上になりますが、すべて職人さんの手づくりであり、6年間毎日使っても壊れない品質だと考えると、決してお高いものではないのでしょう。
左が女の子の一番人気の牛革製「ラフィーネ(ワイン)」(69,000円)。右がより希少なコードバン(馬のお尻の革)を使った「オールコードバン」(119,000円)。どちらも見るだけで素材がいいのが伝わってきますが、実物に触ってみると、手に吸い付くようです!
こちらは、社長の娘さんが実際に6年間使用したコードバンのランドセルです。傷もほとんど目立たないほどきれいでした!私などの世代の感覚だと「最初はきれいでも6年間でボロボロになるんじゃないの?」なんて思いがちですが、とんでもないですね
6年間も使用したとは思えないほどきれいな、背当てと肩ベルト。コードバンは革にハリがあるそうで、革が割れたりしていませんし、固くなったり、どこか一点が弱くなっている様子もありません。素材を選んで丁寧に仕事をしてあるものは、何十年でも使えるんでしょうね
鞄工房山本さんのランドセルを、170cm弱の私が背負ってみました。全然いけますね。以前に「海外のセレブの間でランドセルをファッションとして取り入れるのが流行っている」なんてニュースがありましたが、いけないことはないかもしれません(笑)
なお、奈良本店には大人用の革製の鞄なども展示してあります。まだ他社の製品を仕入れたものが中心ですが、今後は自社で開発・製作したものをメインにしていくそうです
2017年秋に販売が始まる予定のオリジナルの革製品たち。文庫本カバーと革財布で、どちらも宇陀市にある日本最古の鹿革のタンナーでなめされたものを使った「鹿革」を使っています。しっとりとした手触りが素晴らしかったです!
お子さんも工房見学できます
鞄工房山本さんの工房の建物。奈良本社から歩いてすぐのところに建っていて、内部を自由に見学できるようになっています(10:30-17:00。お昼休みなどあり)
工房では、約30人のスタッフさんたちが働いていらっしゃいます。場所によっては機械が熱くなっていたりするので注意が必要ですが、スタッフの皆さんは見学者の対応にも慣れていて、とても親切に接してくれます
革からパーツを抜いていく大きなマシン。かっこいい!
背のポケット部分のマチを貼り付けているところ。やわらかな曲線に沿って、浮かせるように貼っていくので、見た目以上に難しいんでしょう
縫う作業も専用のミシンを使って手作業です。直線部分は勢いよく、アールの部分は繊細に、強弱をつけるように縫い上げていきます。すごい!
鞄工房山本さんのこだわりでもある「コバ塗り」の作業。革の裁断面を「コバ」といい、ここにニスを塗り込んでいきます。それも1度だけではなく、裁断面を磨いてニスを塗る工程を繰り返し、3回目の仕上げ塗りでようやく完成となるとか!高級鞄などと同等の手間をかけて仕上げているそうです
もうひとつの大きなこだわりが、角の部分の「キザミ」という処理です。角の部分の革を均一に寄せて、扇型のひだを作っていきます
キザミ処理された角部分。きれいに揃っています!鞄工房山本さんでは、こうした作業工程が300以上もあり、それをすべてマスターしているのは、この道30年以上の社長さんのみなのだとか。この工房では1日60個ほどのランドセルが作られていくそうです
工房を見学することで、大人はその品質の高さが理解できるでしょうし、お子さんも「ランドセルを大事に使おう」という意識が芽生えるでしょう。素晴らしいですね!
2018年度からウェブ注文のみに変更に
「奈良本店」についてご紹介してきましたが、昨年度(2017年度)はたくさんのお客さんと注文が殺到しすぎて大騒ぎとなってしまった反省から、今年(2018年度)から販売システムが大幅に変わります。
●奈良も東京も、店舗では受注はせず「ウェブからの注文のみ」に一本化。販売日は「6月10日・11日(土日)」の2日間のみ。先着順。アクセスが集中することは間違いないと思われますが、頑張りましょう!
●奈良本店は、「4月22日以降の土日祝」は休業とし(平日は営業)、別会場での展示会が行われます。昨年のような大混雑を避けるための措置だとか。
・奈良カエデの郷 ひらら(宇陀市菟田野古市場135-2)
4月22日(土)~ 5月7日(日)の土日祝
・橿原市昆虫館(橿原市南山町624)
5月13日(土)~ 6月4日(日)の土日・祝日
詳しくは以下のページをご覧ください
・別会場でのランドセル展示会(奈良)について|ランドセルの鞄工房山本
大事なお子さんが6年間使うランドセルですから、やはり良いものをじっくり選びたいでしょう。奈良の方は、ぜひ週末の展示会場へ出かけるか、平日に奈良本店へお出かけください!
■鞄工房山本
HP: http://www.kabankobo.com/
Facebook: https://www.facebook.com/yamamoto.randoseru/
●奈良本店
住所: 奈良県橿原市南浦町899
電話: 0744-20-1771
定休日: 水曜日(祝日除く)、年末年始
営業時間: 10:00-17:30
駐車場: あり
●東京銀座店
詳細: http://www.kabankobo.com/introduction/ginza/
住所: 東京都中央区銀座 2-4-18 アルボーレ銀座 B1F
電話: 03-6228-7451
定休日: 水曜日(祝日除く)、年末年始
営業時間: 平日 11:00-17:00(土日祝は10:00から)
●東京表参道店
詳細: http://www.kabankobo.com/introduction/omotesando/
住所: 東京都渋谷区神宮前5丁目9-15 B1F
電話: 03-5485-1005
定休日: 水曜日(祝日除く)、年末年始
営業時間: 平日 11:00-17:00(土日祝は10:00から)
※取材に伺ったのは「2017年4月14日」でした