2014-10-31

大和川に遺る沈下橋(沈み橋)『大城橋』@河合町・斑鳩町

大和川に遺る沈下橋(沈み橋)『大城橋』@河合町・斑鳩町

大和川に架かり、河合町と斑鳩町を結ぶ『大城橋』(だいじょうばし)は、奈良県内に唯一遺った「沈下橋」(沈み橋、潜水橋とも)です。橋の欄干などがなく、川が増水すると水面下に沈む橋で、高知県・四万十川のものが有名ですね。地元の方たちは車ですいすい通りますが、幅2mほどの細い橋ですから、なかなかの怖さでした。


地元では「沈み橋」。増水時には水面下に

奈良県内を東西に横切る「大和川」。河合町1丁目の辺りで「佐味田川」(さみだがわ)が合流したすぐ西側に、奈良県で唯一の「沈下橋(ちんかばし)」
Wikipedia)があります。

橋の名前は『大城橋』(だいじょうばし)。地元では「沈み橋」と呼ばれているとか。

沈下橋とは、橋の欄干や手すりがなく、川が増水すると水面下に沈んでしまう橋のこと。地域によって、潜水橋、沈み橋、潜り橋など、さまざまな呼び方があるのだとか。高知県・四万十川のものが有名ですが、数は少ないながらも、まだ全国各地に残っているそうです。


奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-01

奈良県で唯一の沈下橋『大城橋』(沈み橋・潜水橋)は、大和川に架かり、河合町と斑鳩町を結んでいます。近鉄田原本線「大輪田駅」から徒歩8分ほどの位置にあり、住所的には「奈良県北葛飾郡河合町大輪田2049」が近く、このすぐ北側になります

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-02
斑鳩町側の看板。「通行注意 潜水橋のため出水時は注意」とあります。増水したら橋の両端のゲートが閉じられ、通行止めになります(以下の画像はすべて斑鳩町側から)

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-03
堤防道路から、細い脇道を降りると、その先に沈み橋『大城橋』が見えてきます。橋の長さは約50m。幅は約2m。もちろん車ですれ違ったりできませんので、対向車が見えたら、かなり遠くで待つことになります

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-04
大城橋の間近に来てみると、あまりの無防備さに驚きます!細い道とはいっても、山道や旧道の多い奈良ですから、このくらいは珍しくありません。しかし、「脱輪したら川へ落ちる」というプレッシャーはひしひしと感じます!

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-05
斜めから。橋げたのところに出っ張りがあるため、車が来たら歩行者はそこへ避けることができます

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-06
真横から。シンプルな構造なのが分かります。水面からの高さは1mほど。大和川は増水することも珍しくありませんので、ちょっとした雨でも水没するんでしょうね


地元の方は車やバイクですいすい渡ります

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-07
ほんの数十分ここにいただけで、かなりの数の車やバイクが通って行きました。地元の方は馴れているので、まったく躊躇しません。自転車やバイクはすいすいと渡っています

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-08
普通車もバンバン通ります!

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-09
もちろん徐行運転ですが、まったく迷いがありません(笑)


車が来たら橋脚部分へ避難(これが怖い)

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-10
歩いて渡ってみました。水量が少ない日でも、手すりもない橋を渡るのはちょっとした怖さがあります。海の堤防を歩いているような感覚になりますが、水面が近く、橋の作りがシンプルだということを知っているため、慣れるまで気持ちいいものではありません

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-11
大城橋から大和川の東側を見たところ。増水した日にはかなり怖そう……

奈良の沈み橋『大城橋』@河合町・斑鳩町-12
車が来たら、この橋脚部分に逃げます。ここに降りるのもちょっと怖いですね


軽自動車で渡った動画をご覧ください

私たちも軽自動車で大城橋を渡ってみました。運転には馴れているので、怖い怖いと騒ぐほどではありませんが、やはりちょっとした緊張感と気味悪さはあります。




【YouTube】奈良県の沈下橋「大城橋」を車で渡る その1(河合町→斑鳩町)


【YouTube】奈良県の沈下橋「大城橋」を車で渡る その2(斑鳩町→河合町)


また、YouTubeに、大和川が増水して大城橋が完全に水没している動画がありましたので、合わせてどうぞ。


【YouTube】水没する潜水橋


通行はくれぐれも慎重に。事故も起きています

欄干もない沈下橋は、橋から落下する危険性も高くなりますし、増水した際には通行止めになります。現代の交通インフラとしては貧弱なのは間違いありません。しかし、沈下橋ならではのメリットも多いのだそうです。

●大きな橋は「堤防と堤防」の間をつなぐため、高い橋脚が必要。沈下橋は、川面に近い「河川敷と河川敷」をつなぐため、橋脚を低くできる。低コストで工事も簡単

●欄干や手すりがあると、川が増水した際にゴミなどが引っかかり、橋が流されやすくなる。あえてこれを作らず、川の流れをまともに受けないようなシンプルな形にしている

このような理由から、日本にもたくさんの沈下橋が架けられていましたが、今では数を減らしています。

今となってはなかなか珍しい光景ですが、手すりや欄干もなく、普段から危険であることは間違いありません。街灯もありませんから夜も怖いですし、ちょっと雨が降れば増水の危険もあります。実際に転落事故なども起こっていますから(ニュース記事:潜水橋を通行のクルマ、増水した川に流される | レスポンス)、通行の際にはくれぐれもお気をつけください!



■大城橋(沈み橋)

位置: 河合町大輪田~斑鳩町目安の間
アクセス: 近鉄「大輪田駅」から徒歩8分ほど

※住所的には「奈良県北葛城郡河合町大輪田2049」が近いようです
※大和川が増水した際には通行止めになります
※大型車輌は通行できません
※通行には危険がともないます。くれぐれもご注意ください


■参考にさせていただきました

なら再発見│沈下橋 ――河合、斑鳩両町結ぶ生活道│奈良まほろばソムリエ友の会
ええ古都なら|潜水橋(沈下橋)(せんすいきょう(ちんかばし))
大城橋(奈良県北葛城郡)の紹介 / はっちょんの旅行記
奈良・大和川の沈み橋(沈下橋)、「大城橋」|ないしょの「おもてて日記」






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