2014-05-14

真柱と瓦屋根のみ。不思議な一本足建築『傘堂』@葛城市染野

真柱と瓦屋根のみ。不思議な一本足建築『傘堂』@葛城市染野

葛城市の古刹・當麻寺の北西に、一辺約40cmの真柱と宝形造りの瓦屋根のみ、まるで「からかさ小僧」のようなユニークな形の『傘堂(かさどう)』があります。安楽往生を願う庶民信仰の対象にもなり、5月14日の當麻レンゾの日には祈願できます。他では見られない変わった形、ぜひじっくりご覧ください!


君主の菩提を弔う「位牌堂」です

一本足の不思議な建物『傘堂(かさどう)』(奈良県指定 有形民俗文化財)。古刹・當麻寺の北西、二上山の登り口に鎮座する「當麻山口神社」の近くの急坂の途中にあります。

傘堂の高さは約5m。総欅(けやき)造りで、宝形造りの瓦屋根を持ちます。これを支えているのは、一辺約40cmの四角い一本の柱と、すぐ脇の柱のみ。唐傘に一本足の「からかさ小僧(傘お化け)」のような、とてもユニークな見た目です。

この傘堂は、江戸時代前期にこの地の郡奉行を務めていた吉弘統家(よしひろのりいえ)が、郡山藩主の本多政勝の没後、菩提を弔うために1674年に建てた「位牌堂」なのだそうです。この付近の新在家・今在家・染野の三地区の人々によって、三百年以上も大切に守られてきました。

なぜこんな不思議な形にしたのかは不明です。屋根もかなり重いはずですが、この姿でずっと立ち続けてきたのですからすごいですね。

なお、説明書きには、『もとここに吊り下げられていた梵鐘には、「恋王の私情に勝(た)えず」「一恩永伝」等の言葉が刻み込まれ、独特の君臣関係にあったことが推測されます。』とありました。恋王という表現も変わっていて、まさに「独特の君臣関係」と言うしかありませんね(笑)

また、この梵鐘には水飢饉に苦しむ農民たちのために、近くの溜池「大池」を造ったことも記されているとか。この願主となった藩主、そして工事に尽力した人々の菩提を弔う供養塔として、傘堂はずっと大切に守られてきたのだそうです。


傘堂@葛城市染野-01

葛城市染野に建つ『傘堂(かさどう)』。地面に接しているのは中央の柱1本と、横の支えのみ。こんな形の建築物は他ではほぼ見られないでしょう。二上山の麓にひっそりと建っていて、いつも人の気配もないような場所ですが、見るたびに不思議な気分になります

傘堂@葛城市染野-02
傘堂の軒の部分。中央の約40cm四方の真柱から十字に支えを広げて屋根を支えています

傘堂@葛城市染野-03
現地にある説明看板。だいぶ文字が見えづらくなってしまいました

傘堂@葛城市染野-04
その看板の下の手提げ袋に、傘堂の説明を印刷した紙が入っていることがあります。これを制作してくださったのは「山里を愛する者の集い」という会の方たち。すべて持ち帰られて1枚も入っていないこともありますので、手に入るかは運次第です

傘堂@葛城市染野-05
傘堂の見取り図。以前にいただいたものを大切に保管してあります(笑)


5月14日には安楽往生を願う法要も

普段は静かな傘堂ですが、毎年5月14日、『當麻寺』で行われる「練供養会式」(紹介記事)と同じ日に、ちょっとした法要が行われます。

●このブログが詳しいです
葛城市 傘堂祈願 - 大和の祭り日記 - Yahoo!ブログ

吉弘統家が主君・本多政勝の菩提を弔うために建てたものが、「傘堂に三度祈願すれば、長い病による下(しも)の世話を人にかけず、自分も苦しむことなく、又、命終わるときは雨が降らず、これまた人に迷惑をかけることもない」と、いつしかぽっくり往生を願う風習が生まれたのだそうです。

普段は周りに柵があるため、真柱には触れませんが、この日だけはそれが開けられます。真柱に身体を接しながら周囲を巡ることで願いが叶うそうですから、ぜひお詣りしてみてください。


傘堂@葛城市染野-06

5月14日の「當麻連座(たいまれんぞ)」の日。傘堂には五色の幕がかけられ、いつもとはちょっと違った風情になります

傘堂@葛城市染野-07
普段は囲いが閉じられていますが、この日だけは東側が開かれます。中央の真柱に触れながら3周するとぽっくり往生の願いが叶うのだとか

傘堂@葛城市染野-08
傘堂の真柱。いつもはあまりじっくりと見られませんが、この日だけは間近で観察できます。主君の菩提を弔う位牌堂といいますが、なぜこんな不思議な形にしたんでしょうか?

傘堂@葛城市染野-09
真柱の東面の軒裏には、小さな阿弥陀さまが祀られていました!傘堂が建てられた当初からのものかは分かりませんが、この日しか拝見できないお姿です

傘堂@葛城市染野-10
阿弥陀さまをアップで。この小さなお厨子には、大和郡山城主であった本多正勝の位牌が納められていたそうです

傘堂@葛城市染野-12
傘堂の近くに並んで建つ墓碑。向かって右が、傘堂を建てた「吉弘統家」のもの。左は「藤懸玄達」という方のものだとか

傘堂@葛城市染野-11
「傘堂祈願の押印は石光寺までお越し下さい。祈願の前・後、いずれでも結構です。※布は用意してあります」傘堂の法要は『石光寺』がなさっています。「布」とは真柱を回る際に腰から下げるためのもの。これが正式ですので、先に石光寺へお詣りして確認しておくといいでしょう

傘堂@葛城市染野-15
石光寺でいただいた傘堂の御朱印。「傘堂祈願の押印」とは別のものだと思います

傘堂@葛城市染野-13
この日は當麻寺参道で春だけ営業する『春木春陽堂』さんの「姫餅」(紹介記事)をいただきました

傘堂@葛城市染野-14
「姫餅」は、風味の強いよもぎ餅にあんこを乗せたもの。当麻寺駅前の老舗『中将堂本舗』さんの「中将餅」もこれと同種のもので、こちらは一年中いただけます。當麻寺へお詣りの際にはぜひお試しあれ!



■傘堂

HP: 参考サイト(葛城市HP)
所在地: 葛城市新在家
アクセス: 近鉄南大阪線「当麻寺駅」より徒歩30分ほど


■参考にさせていただきました

葛城市 傘堂祈願 - 大和の祭り日記 - Yahoo!ブログ
傘堂のセガキ - 葛城市


■関連する記事










  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ