2012-01-11

栢森地区『綱掛神事(女綱)』を見てきました@明日香村

栢森地区『綱掛神事(女綱)』を見てきました@明日香村

奥飛鳥と呼ばれる明日香村の奥まった土地、栢森地区・稲渕地区には、毎年一度、飛鳥川に渡した勧請縄を掛け替える「綱掛神事」が行われます。1月11日に栢森で行われた女綱の綱掛神事を拝見してきました。


飛鳥川に勧請縄を渡して地域を守ります

のどかな風景が残る明日香村の中でも、特に奥まった地域とされるのが、棚田で有名な稲渕地区、そのさらに奥の栢森地区です。この両大字では、飛鳥川に勧請縄(かんじょうなわ)を渡しており、陰物・陽物の一対になっています。



栢森の綱掛神事(かやのもりのつなかけしんじ)

綱掛神事は、栢森と稲渕両大字に伝わる神事で、毎年正月11日に行われる。カンジョ掛神事ともいう。
子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などこの道と川を通って侵入するものを押し止め、住民を守護するための神事といわれている。
栢森大字の神事の特徴は、全体を仏式で行うことである。福石(陰物ともいう。)と呼ばれる医師の飢えに祭壇を設け、僧侶の法要の後、飛鳥川の上に陰物を形どった「女綱」を掛け渡す。一方、飛鳥川下流の稲渕大字の神事は神式で行うことが特徴で、「男綱」を飛鳥川に掛け渡しをする。

栢森大字の看板より


栢森では、毎年1月11日に掛け変えの儀式「綱掛神事」が行われますが、偶然その前日にここへ行き、1年間地域を守り続けた勧請縄を見ていましたので、まずはその姿からご紹介しておきます。


綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-02

1月11日の綱掛神事が行われる前日の女綱の様子。手前に見えるのが「福石(陰物)」です

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-03
中心に見えるのが、女性器を形どった「陰物」。1年間にわたって、大字を守ってきた女綱は、さすがにくたびれた感じになっています

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-01
「栢森の綱掛神事」の案内看板。栢森地区では神事でありながら、全て仏式で執り行われます。その理由は、行事を行う宮司が栢森にいないからだとか


女綱の掛け変えはのんびり進行します

この翌日、栢森地区で綱掛神事が行われました。私たちは16時頃に現地に到着したのですが、実際には15時半頃から、栢森の龍福寺のご住職によって法要が行われていたそうです。

この日は、知人の『仏像ワンダーランド』というブログの運営者さん(Twitter)とご一緒したのですが、女綱に取り付けるシンボルを作成するところなど、詳細にブログにレポートしていらっしゃいますので、ぜひご覧ください。

■参考サイト
仏像ワンダーランド 奥明日香栢森の綱掛神事【奈良】
仏像ワンダーランド 奥明日香の綱掛神事 女綱と男綱【奈良】


神事は17時頃には無事に終了しました。携帯電話も全く通じないような山中でしたが、たくさんの方に見守られて、のんびりと進められた印象でした。


綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-04

1月11日の、栢森地区の綱掛神事の様子。携帯電話の電波も届かない地域で行われる神事ですが、数十人の参拝客が集まっていました。神事は15時半くらいから始まっていたようです。私たちは16時頃に現地に到着したため、前半は見逃しました…

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-06
真新しい女綱を渡していきます。遠く離れた木に結ぶため、森の中にも何人もの方たちが入っています

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-05
女綱は、道路を挟んだ高い木に結ばれます。作業も大変ですね

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-07
女綱に陰物を取り付ける作業中。今回は何回も抜け落ちてしまって、ちょっと手間取っていらっしゃいました。見物人も間近まで降りられて、至近距離から拝見できます

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-08
無事に準備が整い、新しい女綱が空高く掲げられます!

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-09
神事の終わりに、福石に日本酒を振りまいて浄めていきます。参列者にはミカンが配られたりしました

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-10
新しくなった女綱。川の向こう岸では、1年の勤めを終えた古い女綱がすぐに燃やされます。山火事にならないかと心配になるほどのラフさでした(笑)

綱掛神事(女綱)@明日香村栢森-11
神事を終えると、いつもの静けさが戻ってきます。この女綱が、栢森地区の方々を1年間守って行きます


男綱は「成人の日」に掛け替えられます

下流の「稲渕(いなぶち)大字」でも同様の神事が執り行われており、こちらは毎年「成人の日」(1月の第2月曜日)に行われます。中央に陽物(男性器)を形どった、直径約30cm・長さ約1.5mのわらの束がかけられます。



稲渕の綱掛神事(いなぶちのつなかけしんじ)

綱掛神事とは、稲渕と栢森両大字に伝わる神事で、毎年1月に行われる。カンジョ掛神事ともいう。
子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などがこの道と川を通って侵入するものを押しとめ、住民を守護するため神事といわれている。
稲渕大字の神事の特徴は、全体を神式で行うことである。飛鳥川の飢えに陽物をかたどった「男綱(おづな)」を掛け渡し、神所橋(かんじょばし)と呼ばれる橋に祭壇を設け、神職が御祓いをする。一方、飛鳥川上流の栢森大字の神事は、仏式で行うことが特徴で、「女綱(めづな)」を飛鳥川に掛け渡しをする。

稲渕大字の看板より

まだこの神事は拝見したことはありませんが、いつか必ず参列させていただこうと思っています。


綱掛神事(雄綱)@明日香村稲渕-02

奥飛鳥の稲渕地区で、飛鳥川に渡された「男綱(おづな)」。毎年成人の日に掛け変えの神事「綱掛神事(つなかけしんじ)」が行われます。この写真は、数日前に掛け変えが終わっていて、真新しいものになったばかりの様子です

綱掛神事(雄綱)@明日香村稲渕-01
稲渕地区の綱掛神事の案内。こちらは神式で執り行われます



より大きな地図で 明日香村の男綱女綱 を表示


■女綱
住所: 奈良県高市郡明日香村大字栢森
アクセス: 石舞台古墳から車で約10分

■男綱
住所: 奈良県高市郡明日香村大字稲渕
アクセス: 石舞台古墳から車で約5分


■参考にさせていただきました!

仏像ワンダーランド 奥明日香栢森の綱掛神事【奈良】
仏像ワンダーランド 奥明日香の綱掛神事 女綱と男綱【奈良】






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ