
大和三山に登ろう!<その3>『畝傍山』@橿原市
藤原宮跡を囲むように立つ「大和三山」を自転車で巡り、全ての山を登頂してきました。天香久山・耳成山ときて、雨だったため同じ日に登れなかった『畝傍山(うねびやま)』にも行ってきました。標高は大和三山で最も高い199.2mですが、20分ほどで登頂できました。
神武天皇の「畝傍橿原宮」があった場所
大和三山の一つ「畝傍山(うねびやま)」は死火山で、その形はややいびつ。「火がうねる」という意味から名付けられたと考えられています。また、初代天皇である神武天皇の宮「畝傍橿原宮」が畝傍山の麓にあったとされており、古くから神聖な場所として扱われてきたため、周囲には天皇陵が見られます。
ここは歴史的にも有名な大和三山の一つで、標高199.2m、面積41ヘクタールの死火山です。東部裾野に神武天皇陵、北西部に綏靖(すいぜい)塚、南西部に安寧(あんねい)陵、南部に懿徳(いとく)天皇稜、南東部に橿原神宮があります香久山は 畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき神代より
かくにあるらし 古昔(いにしえ)も 然(しか)にあれこそ
うつせみも 嬬(つま)を争ふらしき「万葉集」中大兄皇子
説明看板より
畝傍山への登山口は2箇所あり、今回は橿原神宮の北側の参道から入りました(もう一つは、西側の畝火山口神社から)。橿原神宮には何度もお参りにきてますが、こんなところに登山口があったとは全く気づきませんでした。ちょっと意外な感じですね。
橿原市の『畝傍山』に鎮座する「橿原神宮」。畝傍山への登山口が分からなかったので警備の方に聞いてみたところ、正面の参道ではなく、北側にある参道(県立橿原公苑第1体育館の前)の途中にある、と教えていただきました。ここには駐車スペースはありませんので、メインの駐車場を利用しましょう
参道の右手にある「畝傍山登山口」の文字。ここは何度も通っていたはずですが、初めて気づきました
参道から外れて、横目に桜(まだ咲きかけでした)を眺めながら進むと、すぐに登山口が見えてきます
畝傍山の登山口。その入口部分には「東大谷日女命神社」(ひがしおおたにひめみことじんじゃ)が鎮座しています。御祭神は「姫蹈鞴五十鈴姫」(ひめたららいすずひめのみこと)。厳しい道のりではありませんが、登山の無事を祈り、神聖な山へ立ち入ることをご報告しておきましょう
畝傍山への登山口は、この橿原神宮側からのものと、西側の「畝火山口神社」側からのものがあります。どちらのルートも歩きましたが、それほど難易度は変わらないようでした
畝傍山の説明看板。前半は大和三山で共通です。「畝傍山は大和三山の中で最も高い山で、瀬戸内火山帯に属する死火山が、二次的な新色をうけたことにより、現在の形となったものです。記紀によると、畝傍山の麓は初代天皇と伝えられる神武天皇が宮をひらいたところとされ、万葉集にもそのような歌が残っています」
万葉歌「玉だすき 畝傍の山の 橿原の…」
万葉集に残された畝傍山の歌とは、「近江の荒れたる都を過ぐる時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌」という題詞がついた長歌です。
ひじりの御代ゆ 生れましし 神のことごと
栂の木の いや継ぎ継ぎに 天の下
知らしめししを そらにみつ 大和を置きて
あおによし 奈良山を越え いかさまに
思ほしめせか 天離(あまざか)る
鄙(ひな)にはあれど 石走(いはばし)る
近江の国の 楽浪(さきなみ)の 大津の宮に
天の下 知らしめしけむ...
これは、壬申の乱で荒れ果ててしまった、天智天皇の近江大津の宮に立って、柿本人麻呂が詠んだとされる歌です。初代天皇とされる神武天皇から、代々、橿原の畝傍山の麓で世を治めていたのになぜ近江の国へ・・・という内容ですね。伝承が含まれるとはいえ、まさに畝傍山の麓から日本の国家が始まったことが記されています。
この歌自体より、その反歌として詠まれた以下の二首が有名です。
大宮人(おおみやひと)の 舟待ちかねつ
昔の人に またも逢はめやも
登山道は整備されていて20分ほどで山頂へ
畝傍山の山頂へは、きれいに整備された登山道が続いていますので、お子さんでもそれほど難しいルートではありません。途中で獣道のようなところも見られましたが、メインのルートを進んでいけばほぼ間違いなく山頂へ到達できます。写真を撮りながら歩きましたが、私の足で20分ほどでした。
山頂は眺望が拓けています。ベンチなども置いてありますので、休憩もできますね。他には、現在は西麓に遷座している「畝火山口神社」の旧社殿跡が見られます。
畝傍山の山頂への道のりはきれいに整備されています。小さなお子さんが登っている姿も見られましたから、全く危険はありません。ただし、途中で何箇所か別れ道がありますので、そこだけ注意が必要です
ややこしい分岐はここくらいです。帰り道に間違えて畝火山口神社の方向へ降りなければ問題ないでしょう。全行程でこんな感じの歩きやすい道が続きます
畝傍山の山頂。大和三山の中では最も標高が高いため(199.2m)、他の山よりは時間がかかりましたが、それでも写真を撮りながら20分程度で到着しました。頂上のスペースは一番広めです
畝傍山の山頂からの眺め。この少し右側に二上山が見えるはずです。曇っていたこともありますが、それほど美しいものでは・・・
山頂には「畝火山口神社」の社殿跡があります。古くは、畝傍山の山中に70以上の寺院があったのだとか。すごい密度ですね
畝傍山の西麓「畝火山口神社」にもお参りを
帰り道は、ルート途中にある分岐から「畝火山口神社」側に下りてみました。
御祭神は、気長足姫命(神功皇后)・豊受比売命・表筒男命。安産の神として信仰されています。延喜式神名帳にも記された古社で、以前は畝傍山の山頂にありましたが、1940年に橿原神宮が整備された際、梶原神宮や神武天皇陵を見下ろすのは良くないとして、現在の畝傍山西麓へ遷座したそうです(畝火山口神社 - Wikipedia)。
この日は桜がほぼ満開。寄り道をしただけの甲斐がありました!
「畝火山口神社」側にも降りてみました。登山道が分岐してから登りで5分程度の距離なので、こちらもお参りしておくといいでしょう
畝火山口神社方面へ降りる途中にいらっしゃった、傘を差したお地蔵さま
もちろん、橿原神宮にもお参りしました。この日は「4月2日」でしたが、まだ兎の巨大絵馬が飾られていました。これはいつまであるものなんでしょうね?
橿原神宮とは逆側から見た畝傍山。やや凹凸が目立つ形をしています
より大きな地図で 大和三山 を表示
■参考にさせていただきました!
畝傍山 - Wikipedia
大和三山 - Wikipedia
橿原神宮 - Wikipedia
畝火山口神社 - Wikipedia
※畝傍山に登ったのは「2011年4月2日」でした。天香久山・耳成山は「2011年3月6日」で、雨のためここだけ別の日です
※画像は全てiPhoneで行っています。曇りだったこともあり、全て暗く写っていますがご容赦ください
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