2008-05-27

奈良町「庚申さん」信仰の本尊『庚申堂』

庚申堂(奈良町)

奈良町のガイドブックには必ず掲載されている『庚申堂』。かなり分かりにくい場所にある上、かなり小さなお堂なので、なかなか見つけづらいかもしれません。


奈良町に残る道教由来の民間信仰

この『庚申堂(こうじんどう)』とは、青面金剛を祀るお堂です。日本全国に庚申信仰は残されているのですが、元は中国の道教に由来したもので、それが日本に定着したのだそうです。

その歴史は古く、何と文武天皇(700年!)にまで遡ります。疫病が流行した際に、元興寺の高僧がご加護を祈っていると、青面金剛が現れて「汝の至誠に感じ悪病を払ってやる」と言って消え去ったのです。それが1月7日で、この日は「庚申の年・庚申の月・庚申の日」に当たっていたため、この地に青面金剛を祀り、悪病を持ってくるという「三戸(さんし)の虫」を退治することを願ったのだとか。

この「三尸(さんし)の虫」というのも、なかなか個性的な輩で、「コンニャク」と「猿」が大嫌いなのだとか(猿が仲間と毛づくろいする姿が「三尸の虫」退治しているように見えるため)。そこで悪病や災難を遠ざけるためのおまじないとして、家の軒先に「身代わり猿」を吊るすという風習が生まれたのだそうです。

ちなみに、この『庚申堂』自体は、特に何が見られるというワケでもありませんので、あっという間に見終わってしまうと思います。観光スポットに行くというよりも、奈良町に残る古い風習を理解するためにお祈りに来てみてください。


庚申堂(奈良町)-01

奈良町にヒッソリと建っている『庚申堂(こうじんどう)』。どのガイドブックにも載っているわりには、かなり小さなところですので、意外と見つけるのに苦労するかもしれません

庚申堂(奈良町)-02
庚申堂は「青面金剛」を祀るお堂です。その使いは「猿」ですので、もちろん重たい石を支える土台もお猿さん

庚申堂(奈良町)-03
日本全国に庚申信仰はあるそうですが、親しみを込めて「庚申さん」と呼ばれます。そのまま提灯に書いてあるのも珍しいのかもしれませんね

庚申堂(奈良町)-04
悪病などを持ってくる「三戸(さんし)の虫」は困ったヤツなんですが、何と「コンニャク」と「猿」が大嫌い。日本昔話的なのどかなキャラクター設定に驚きです(笑)

庚申堂(奈良町)-05
庚申さんの由来を書き記した看板。文武天皇の時代というのもすごいですが、祈りが通じたら青面金剛さんが出てきてくれたというストーリー展開もすごい!


「身代わり猿」の意味とは?

奈良町を歩いていると、町中のそこら中に軒先に吊るされた「身代わり猿」の姿が見られます。もちろん、災いから家族を守ってくれる大事な役割があるのですが、単純に悪役「三戸の虫」を寄せ付けない・・・というだけではないのだとか。

実は、庚申の日には、寝ている間に三尸の虫が体内から抜け出て、その人の悪行の数々を天帝(!)に知らせに行くのだとか!その結果、何と人間の寿命が決められてしまうのだそうです!

天帝が悪行を行った人間を罰するのは当然のように思いますが、その悪行に対する天罰を身代わりで受けてくれるのが「身代わり猿」なんだそうですから、人間ってワガママですよね(笑)

そう考えると、天帝や身代わり猿はもちろん、三戸の虫も決して悪いヤツではなく、一番悪いのは人間だという風に思える、ちょっと不思議な展開ですね。

ちなみに、身代わり猿のぶら下げ方にも色んなルールがあるそうです。


青面金剛の使いの猿を型どったお守りは、魔除けとして、町内の家々の軒先に吊るされている。大きいのが大人、小さいのが子どもとされ、家族構成に合わせて吊るされている。また、町内から転出した家族の分の猿は、庚申堂に預けられて、転出者と町との精神的な絆を保っている。町内の住民の災いを代わりに受けることから、「身代わり猿」と呼ばれ、また、背中に願い事を書いて吊るせば願いが叶うとされ、「願い猿」とも呼ばれ、岐阜県飛騨地方のさるぼぼが頭を垂れて体を屈曲させたような形状である。
Wikipedia「庚申堂」より引用


ただ単に可愛らしいだけではない身代わり猿、奈良町を歩いた時にはぜひじっくりと見てあげてください!


身代わり猿(奈良町)-01

この鈴なり状態になっているのが「身代わり猿」。願いを叶えてくれたり魔除けになったり、とにかく頼もしい存在なのだそうです。高山の「さるぼぼ」に似ていますよね

身代わり猿(奈良町)-02
奈良市観光センターに吊るされていた身代わり猿。「奈良の代表的なお土産物」という扱いなのかも?

身代わり猿(奈良町)-03
『菊岡漢方薬』さんの店頭にも身代わり猿が

身代わり猿(奈良町)-04
『砂糖傳 増尾商店』の店頭にも。もちろんお店だけではなく、一般家庭の軒先にもぶら下げられています

身代わり猿(奈良町)-05
『奈良町資料館』に吊るされてる、巨大な「身代わり猿」



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庚申堂

住所: 奈良県奈良市西新屋町39
電話: 0742-22-3900(奈良市観光センター)
定休日: なし
営業時間: なし
拝観料: 無料
駐車場: なし
アクセス: 「近鉄奈良駅」から徒歩15分

※毎年「3月の第2日曜」と「11月23日」は【庚申まつり】が行われて、大根とこんにゃくの田楽がふるまわれるそうです
※「身代わり猿」に関しては、以下のページが詳しいです
●身代わり猿とは
http://www.naramachi.org/what/migawari.html






 【奈良町「庚申さん」信仰の本尊『庚申堂』】へのコメント
真柄 隆  09-05-24 1:29

南米コロンビアに来て38年。過日日本の友人が送ってくれた「懐かしの大阪メロデイ」で、奈良町庚申様の事を見ました。

懐かしさに涙しました。

naka  09-05-25 19:14

>真柄さん

遥かコロンビアからのコメントですね!ありがとうございます!

私は元々は奈良の人間ではありませんので、庚申様の歌って聞いたことがないんですよね。その辺りは義母が詳しいと思いますので、こんど聞いてみたいと思います!

真柄 隆  10-09-21 19:51

われわれは、日本の中に或る美しさを忘れ、とかく外へ外へと目を向ける。美しい日本を見つめる心がほしいものです。海外生活40年。つくずく祖国日本の伝統美を感じてます。

naka  10-09-21 22:12

>真柄さん

コメントありがとうございます。
庚申さんや、周りでそれを守っている方たちの活動を見ていると、本当に日本古来の美しさと尊さを感じます。私もよそ者なんですが、奈良という古都に移り住んで、この土地がどんどん好きになっていきますね。日本人の心に残るしきたりや風景はいつまでも大事に続いていって欲しいと願ってます。

真柄 隆  11-05-23 4:28

皆様

いろいろコメントを頂き誠に有難うございました。このところ、長らくこのページ開けておらずで失礼致しました。

確かに、私は32歳で日本を離れ、南米コロンビアに来ました。アメリカ留学中に知り合ったコロンビアの女性の後を追っての離日でした。それから、40年。歳をとるにつれ、母国の土が私の心を呼びます。望郷の念が、日々に募ります。独り息子で私が唯一の後継ぎですので、今年、平成23年、8月、祖先の墓を当地へ持ってくる、いわゆる「改葬」をするために、帰国します。そうすれば、私の子供、まだいませんが孫の代々まで、墓参りをしてくれる人ができますし、祖先の墓を無縁仏にしないためです。そして、私も祖先のそばに眠れますので。


NHKのBSを買い、日本のプログラムを見ては、望郷の念をまぎらわせています。美しい祖国に眠れぬことはさびしいですが、「人間いたるところ青山あり。」という頼山陽の五言絶句を胸に決断いたしました。新渡戸稲造の「武士道 日本の心」を座右の書として暮しています。





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