明治2年創業の風格ある酒蔵『太田酒造』さんで、日本酒「初時雨（はつしぐれ）のにごり酒と、自家製の「奈良漬」を購入して味わってみました。爽やかで華やかなお酒に、どっしりとしながら濃すぎない奈良漬。どちらも絶品でした！街歩きにも渋くて楽しい場所ですので、ぜひ出かけてみてください。

「猫坂」交差点すぐの堂々たる酒蔵

2020年に聖徳太子のムック本『たずねる・わかる 聖徳太子』（※詳細はこちら）を執筆したり、その後に「やまとびとツアーズ」さんのオンライントークイベントに出演させていただいたり（※詳細はこちら）した関係で、ここのところ斑鳩町を歩き回る機会がぐっと増えました。

中でもとくに雰囲気が好きなのが、「猫坂」の交差点から国道25号線と並行して走る旧道です。その入口部分に位置する『太田酒造』さんも、風格漂う建物といい、お酒や奈良漬けのお味といい、とても素敵でしたのでご紹介します。

国道25号線にある「猫坂」交差点。竜田川に沿って走る国道168号線と交わる「竜田大橋」から東へ200mほどの距離です。猫坂という地名の由来はわかりませんが、ここを左へ入るとほんのわずかな高低差があり、どことなく猫坂っぽいです（笑）

猫坂から入ってすぐ、『太田酒造』さんの店舗があります。創業は1869年（明治2年）で、銘柄は「初時雨（はつしぐれ）」のみ。江戸時代後期に建てられた主屋・茶室・内蔵などは登録有形文化財の指定を受けているそうです

店内へ入ったところ。この日はふらりと立ち寄っただけでしたが、「酒蔵見学」や「奈良漬けづくり体験」（※20日前までに要予約）なども可能だとか。コロナ禍が終息したらぜひ体験してみたいです！

店頭にずらりと並ぶ、日本酒「初時雨」と、自慢の奈良漬けたち。純米酒から大吟醸、原酒など、さまざまなタイプの初時雨がラインナップされています

ちょっとしたお土産にもちょうどいい「ちび缶」（220円）があったり、酒粕があったり。
また、店頭で接客してくださったおばあちゃん（御年90歳オーバーだとか！）もニコニコと可愛らしくて素敵でした。ちょっと会話が聞き取りづらいところもあったのですが、お釣りはしっかり間違えません。さすがです！

この日はとりあえず「初時雨 にごり酒」を購入してみました（720ml入でお値段1,800円ほど）。ラベルの製造元は大阪府岸和田市の井坂酒造さんになっていたので、これは外部で醸しているもののようです

おちょこの中で白く濁っています。軽やかな酸味があって、まぁ美味しいこと！ふわっと華やかな旨味が広がってとても飲みやすく、どんなお料理とでも合います。日本酒があまり得意じゃない……という方にもお勧めしたいですね

そしてこちらが太田酒造さんの奈良漬です。「初時雨」の吟醸粕で地元野菜を漬け込んだもので、保存料・人口甘味料・着色料などは一切不使用。昔ながらの手法にこだわっていらっしゃいます

「うり・胡瓜・大根」の3種セットです。酒粕を洗い流して、カットしました。真っ黒ですし、酒粕がべっとりと付いているところを見てしまうと、とても塩辛そうな印象ですが、意外なほどまろやかです。ご飯のお供や日本酒のアテにぴったりなのはもちろん、クリームチーズやポテトサラダに混ぜたりすると最高ですよ！

歴史ある街並みの散策も楽しいです

太田酒造さんのある旧道を、龍田神社や法隆寺方面へ歩くと、歴史ある建物がいくつも見られます。観光客の方はあまり通らないと思いますが、ぜひのんびりと散策してみてください

通りにはこんな昭和な雰囲気の建物（安本石鹸店さん）があったり、

かつてはスーパーとして営業していたであろう建物（サンフラワー・チェーン 小松さん）があったり。この画像では分かりづらいですが、この屋根部分が道路を覆っている“ひとりアーケード”という状態になっています。こうした構造物も今となってはとても貴重です

黒地に白と黄色の文字色で描かれた、いわゆる「キリスト教看板」のシールタイプがあったり（おそらく新しいもの。最近は奈良県内でも増えてますね）。ぶらぶら楽しいお散歩でした！

■太田酒造

HP:　http://otashouten.com/
住所:　奈良県生駒郡斑鳩町龍田3丁目3-5
電話:　0745-75-2015
営業時間:　8:00～18:00
駐車場:　なし
アクセス:　JR法隆寺駅から約2.3km（徒歩で約30分・車で約6分）

※実際にお邪魔したのは「2021年2月22日」でした。

■参考にさせていただきました

日本酒発祥の地「斑鳩」を代表する酒蔵、太田酒造で奈良漬け体験 | HISTRIP（ヒストリップ）｜歴史旅専門サイト