2015-05-01

奈良公園周辺の『ナラノヤエザクラ』探して歩いてみました

奈良公園周辺の『ナラノヤエザクラ』探して歩いてみました

奈良県の県花「ナラノヤエザクラ」。平安時代の女流歌人・伊勢大輔の歌「いにしヘの 奈良のみやこの 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」でも知られた可憐な花です。開花時期は「4月下旬~5月上旬」ごろ、一気に咲いて盛りが短いため、あまり花姿を観るチャンスは多くありません。今回は、奈良県庁駐車場の脇・東大寺境内・奈良公園などでナラノヤエザクラを探しながら歩いてみました。


奈良のみやこの「知足院ナラノヤエザクラ」

古くから美しい姿が歌に歌われ、奈良県の県花となっている「ナラノヤエザクラ(奈良の八重桜)」(Wikipedia)。

平安時代の女流歌人・伊勢大輔の和歌に詠まれたことでも知られています。

いにしヘの 奈良のみやこの 八重桜
けふ九重に にほひぬるかな
伊勢大輔 百人一首 61
昔に栄えた奈良の都に咲いていた八重桜が今は宮中で咲き誇っている

奈良から献上された八重桜にこの歌を添えて、一条天皇の中宮・藤原彰子の御前に捧げました。『源平盛衰記』によると、興福寺東金堂の辺りに霊木の八重桜が咲いており、一条天皇の時代にその桜をめぐって騒動になり、興福寺が天皇にひと枝を献じました。この時に詠んだ歌とされます。

ナラノヤエザクラは繁殖力が弱く、殖やすのが難しいとされており、とても儚い植物です。

近代になって再発見された、東大寺・知足院の「知足院ナラノヤエザクラ」も、1923年に天然記念物に指定された樹は、もうすでに枯れてしまってありません。現在、奈良公園周辺に多数植えられていますが、知足院の樹から殖やされたものです。

開花時期は「4月下旬~5月上旬」ごろ。他の桜が散ったころに咲き始めるため、目にする機会は多くありません。どこへ見に行っていいのかすら分かりづらいのです。

今回はいつもお世話になっている『小さなホテル 奈良倶楽部』さんのブログ記事「奈良倶楽部通信 part:II: 興福寺境内に咲くナラノヤエザクラ」を参考に、奈良公園周辺のナラノヤエザクラを見て歩きました。


奈良県庁の駐車場脇に植わっています

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-01
奈良県庁の東、「奈良登大路北観光自動車駐車場」の南側に1本だけ植えられている「ナラノヤエザクラ」。車通りの多い交差点に植わっていますが、普段はなかなか気づかないでしょう。他の桜よりも開花時期が遅いため見逃しがちです

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-03
ナラノヤエザクラの姿。2015年はやや開花が早めで、4月27日時点でややピークを過ぎた感もありました。ソメイヨシノなどとは違って、葉と花が同時に見られるため、桜色が強くなりすぎず清楚な印象です。言い換えれば、派手さにかけるためやや見つけづらいですね

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-04
勘違いなさっている方も多いようですが、奈良に咲く八重桜の総称ではなく、ナラノヤエザクラという独立した品種です

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-05
ナラノヤエザクラは、花が開き始めると一気に咲き、盛りは短め。蕾は濃い桃色、開花すると白くなってきて、散り際にまた紅色が強くなるそうです。八重桜としては花は小ぶりで、とても可憐ですね

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-02
昭和60年に建てられた碑。伊勢大輔(いせのたいふ)の歌に詠まれた花であること、その後忘れ去られていたこと、1923年に天然記念物に指定されたのを機会に、純正種の若木をここに移植したこと、散り際に再び紅色に変色する珍しい種であることなどが説明されています


転害門の周辺でも若い樹が観られます

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-06
転害門と正倉院の間、鼓阪小学校前でたくさんのナラノヤエザクラが観られます。遠目だと分かりづらいですが、ピンクの花らしきものが咲いています。正倉院の敷地のフェンス沿いにも何本も植えられています

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-07
小ぶりながら美しい八重桜ですね。ピンク→白→ピンクと、花の色が移り変わっていくため、ひとつの枝にも色の変化があって楽しいです

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-08

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-09

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-10


再発見の舞台となった東大寺・知足院は

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-11
天然記念物に指定された「知足院ナラノヤエザクラ」が発見された、東大寺・知足院の石段。東大寺の境内の北側、新若草山ドライブウェーの入口近くにあります。観光客が多い日でしたが、この辺りはひっそりと静かでした

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-12
知足院の本堂。ここにあった原木も一度は枯死してしまいましたが、同じ遺伝子を持つものを改めて植えてあるそうです。場所が分からなかったので、詳しくは『小さなホテル 奈良倶楽部』さんのブログ記事「奈良倶楽部通信 part:II: 東大寺 知足院のナラノヤエザクラ」をご覧ください!


東大寺・奈良公園・興福寺で見つかります

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-14
情報をもとに、東大寺から奈良公園のエリアを歩いてみました。この時期は他の花はあまり咲いていないため、意外と見つけやすいです。この写真は東大寺・指図堂前のもの。ここのソメイヨシノや秋の紅葉も見事ですが、ナラノヤエザクラも植わっていたんですね!

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-16
東大寺・戒壇堂の前のナラノヤエザクラ

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-17
紅白ピンク。3色の八重桜が入り混じって咲いています。ふわふわですね!

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-18
奈良県庁の東側、奈良県知事公舎の辺りにも。普段はまったく気づかずに通りすぎていました

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-19
奈良県庁と道路を挟んで向かい側、興福寺国宝館の裏手あたりのナラノヤエザクラ


落花した八重桜の花は鹿の好物です

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-21
なお、この時期は他の花の姿はあまり見られませんが、「普賢象桜」という八重桜が咲いていたりします。ナラノヤエザクラとは色も形も違いますから、見慣れてしまえば間違えたりしないと思いますが、最初はちょっとややこしいですね

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-24
転害門の近くにもこの八重桜が咲いていました

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-22
興福寺の南円堂と北円堂の間。ここのものはほとんどが普賢象桜です

ナラノヤエザクラを探して@奈良公園周辺-23
この八重桜、花が丸ごとぽろっと落ちるのが特徴です(ナラノヤエザクラはこういう落ち方はしません)。これが鹿たちの大好物のようで、こんな光景が見られます!

散った八重桜をムシャムシャ食べる鹿

Nara Nakaさん(@nara_naka)が投稿した動画 -

※実際に歩いたのは「2015年4月27日」でした。


■参考にさせていただきました

ナラノヤエザクラ - Wikipedia
奈良倶楽部通信 part:II: 興福寺境内に咲くナラノヤエザクラ
奈良県と奈良市の花、国の天然記念物、学名「奈良の八重桜」のこと
【Facebookページ】奈良八重桜の会






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