
目を見張る美しさ!『古代衣裳展』@犬養万葉記念館(明日香村)
明日香村の『犬養万葉記念館』で、万葉衣裳服飾家・山口千代子さんが再現した古代の服装を展示する企画展「古代衣裳展~飛鳥・奈良時代の服装と変遷~」を拝見しました(2017年1月3日~31日)。飛鳥美人から冠位十二階の時代、平城京の時代など、各時代ごとに美しく再現されていて感動しました!
万葉風土学の犬養孝さんの顕彰施設
明日香村岡にある『南都明日香ふれあいセンター 犬養万葉記念館』。「万葉風土学」を提唱し、万葉集研究の第一人者だった、故・犬養孝さん(Wikipedia)を顕彰する施設です。
以前は有料展示などが中心でしたが(過去記事)、2015年11月から無料化。地域の交流の施設として、また飛鳥散策の途中で気軽に休憩できる施設として生まれ変わっています。
明日香村の『南都明日香ふれあいセンター 犬養万葉記念館』の外観。建物は、旧南都銀行明日香支店のもので、とても雰囲気があります。館内では犬養孝先生の遺品や直筆原稿などが展示してあるだけではなく、「つばいちカフェ」も営業しています。入館も無料ですし、無料でお茶を飲みながら休憩できたりもします(※施設の詳しいご紹介はまた別の記事で書きます。 →書きました)
30着もの古代衣装が並ぶ迫力の展示
この日は、2017年の新春特別企画と銘打たれた「
「古代衣裳展~飛鳥・奈良時代の服装と変遷~」を拝見しました。
会期が「2017年1月3日~31日」で、私たちは最終日に滑り込みました。この記事をアップしている時点ですでに終了しているのが残念ですが、素晴らしく楽しい内容でしたので、まとめておきます。
万葉衣裳服飾家・山口千代子さんは、さまざまな資料をもとに、古代の服装の再現に挑んでいる方です。「平城京天平祭」の天平行列などの衣装もご担当なさってます。
奈良の情報誌『ならめがね』さんの最新号(2016年秋号)の中で、「なんと華麗な天平ファッション ~Fashion of The TENPYO~」という一大特集が組まれていて、その美しさに驚いたばかりでした(紹介記事)。
これがどこまで忠実に再現されているかはわかりませんが、間近で実物を拝見したら、より迫力がありました!服飾にそれほど興味のない私ですが、まじまじと見惚れてしまいました(笑)
犬養万葉記念館のホール部分(レンタル可)を使って、再現された古代衣装がずらりと並びます!すごい迫力!
まだまだあります。全部で30着が展示されていたとか。飛鳥時代・藤原京時代・奈良時代まで、時代別に並んでいました
「飛鳥時代・藤原京」の服
まずはシンプルな「貫頭衣(かんとうい)」から。貴族はともかく、庶民はだいぶ後の時代までこれを着ていたんでしょうね
こちらは「飛鳥時代・藤原京」の服たち。もちろん、高松塚古墳壁画の「飛鳥美人」などを参考に制作されています。朝鮮風から唐風への過渡期で、高句麗系のファンションの影響が見られるとか。また「冠は黒漆紗冠のみ」「前打ち合わせは、左衽(さじん)(※左前。右が上に来る)」「袴は白色。切り替えの欄は同じ布」なども特徴です
間近で見てみると、服のグラデーションがきれい!布もそれぞれ凝ったものが使ってあって、芸術的ですらあります
向かって右、首からカバンらしきものを下げているのは、高松塚古墳壁画の男子群像に描かれていた人物の再現です。偉い方のお付きの男性で、出先での休憩の際にはこのカバンに入っている簡易式の椅子をさっと出したのではないか、とのことでした
「飛鳥時代・推古朝」の服
お次は「飛鳥時代・推古朝」のもの。聖徳太子の没後に作られた「天寿国繍帳」に描かれた衣装を参考にし、日本最初の服制である「冠位十二階」に従って色が決まっています。「冠と服色は同じ」「前打ち合わせは左衽」「衿無しで、切り替えの欄は別布」など
会場には、斑鳩町・中宮寺に伝わる「天寿国繍帳」を大きく見られる画像も用意されていました。622年に作られたもので、注意してみると何人もその当時の衣服らしきものを身に着けている人の姿があります。普段はそういう視点はありませんので、新たな発見でした
冠位十二階(Wikipedia)の色は、上位から順に「濃紫・薄紫・濃青・薄青・濃赤・薄赤・濃黄・薄黄・濃白・薄白・濃黒・薄黒」と続きます。組み合わせによって華やかだったりシックだったり。凛として美しいですね
「奈良時代」の服
「奈良時代」の服たち。養老律令の中の服制に従っており、身分の違いなどによって公服を「礼服・朝服・制服」にわけて規定していたとか。また、前打ち合わせは「右衽(うじん)」(※右前。左が上に来る)と、このあたりで切り替わります。遣唐使が持ち帰った唐のファッションが取り入れられたようです
奈良時代の「礼服(らいふく)」。重要な祭祀などのときに着る儀礼服で、着用できたのは高級貴族の五位までだったとか。まぁ華やか!
奈良時代の「朝服(ちょうふく)」。官人が朝廷の公事に携わる際に着用する衣服で、文官・女官が日常的に着ていた宮廷服だったそうです。奈良時代を描いたドラマなどでもよく見かけますね。平城宮あたりでは、このスタイルの人たちがもっとも多かったんでしょうね
朝服の腰紐の部分から、こんなじゃらっとしたアクセサリー類が下がっていました。小刀や連珠など、おそらく正倉院に伝わる宝物などから再現されたのでしょう。帯の文様もいいですね!
細かい説明はありませんでしたが、こんな華やかな2着も。礼服でしょうか。色使いから高貴さが伝わってきます
美麗な服の数々に圧倒されました!
細部までじっくり見ていくと、使用されている布なども美しくて、気づいたら大量に撮影していました(笑)。簡単に何枚かご紹介しておきます
■南都明日香ふれあいセンター 犬養万葉記念館
HP: http://inukai.nara.jp/
住所: 奈良県高市郡明日香村岡1150
電話: 0744-54-9300
定休日: 水曜
営業時間: 10:00 - 17:00
入館料: 無料
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 奈良交通飛鳥周遊バスで「岡寺前バス停」下車、徒歩1分
■参考にさせていただきました
犬養万葉記念館 |村内施設情報
犬養孝 - Wikipedia
■関連する記事