世界遺産・小辺路沿い。美しい天空の郷『果無集落』@十津川村桑畑
十津川村桑畑の『果無(はてなし)集落』は、世界遺産に登録された熊野参詣道「小辺路(こへち)」沿いにある小さな集落です。果無山脈を見渡せるの高地のため「天空の郷」と呼ばれ、にほんの里100選にも選ばれています。十津川村の観光ポスターに登場したことで有名になりました。のどかで美しく、昔ながらの日本の風景が凝縮したような美しい里でした!
十津川村の観光ポスターで有名な果無集落
高野山と熊野本宮大社を結ぶ、全長72kmに及ぶ熊野参詣道「小辺路(こへち)」。2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録されています。石畳が残る山深い道で、日本一広い村・十津川村をほぼ一直線に縦断しています。
そんな小辺路沿いにある『果無集落』は、昔ながらの日本の風情を伝える集落がのこり、果無山脈を見渡せる山間の高地にあるため「天空の郷(てんくうのさと)」と呼ばれています。
「にほんの里100選」に選ばれている他、奈良県の美しい風景を認定する「奈良県景観資産」にも登録されています。
果無集落は、十津川村の観光ポスターで取り上げられたことで有名です(画像は「十津川村観光協会」さんより)。集落に暮らす岩本のおばあちゃんが笑顔で写った素敵な写真が使用されています
Google Mapsで見た果無集落。山の中の高いところにあるのが分かります。参詣道ですから歩いて行くのはもちろん、車でもすぐ近くまで行けますし、バス(月曜日のみ運行。祝日運休)も出ています。住所としては「十津川村桑畑」になります
細い林道を登ると途中に「めん滝」が
十津川村平谷に架かる赤い橋をわたってわたってすぐ右手に折れると、果無集落の方面へ向かいます。
(※2015年8月現在、新宮方面へ抜ける国道168号線(赤い橋を渡って直進)は土砂崩れのため通行止めになっていますが、果無集落方面は通行できます。橋の入口のところで警備員さんがいる場合は、「果無集落へ行く」と告げると問題なく渡れます)
橋を渡ってすぐにある、「小辺路ウォーキングマップ」。世界遺産の古道を約4時間かけて歩くコースになっています。いつか歩いてみたいですね。なお、果無集落の行き方などを詳しく説明した「果無マップ」という印刷物も配布されています。事前に道の駅などで入手しておくと便利です
マップの隣には、松尾芭蕉の弟子・向井去来の「つづくりも はてなし坂や 五月雨」の句碑があります。「つづくり」とは参詣道の修繕(または参詣人から徴収した通行料)のことだとか
果無集落へは、麓の「十津川温泉 ホテル昴」から車で30分ほど。細い道が続きますので、運転にはご注意を
つづら折りの林道の途中に、「めん滝」という美しい滝があります。夏の雨があまり降っていない時期でしたが、かなり水量も豊富でした。道路からすぐですし、脇に車が停められるスペースもありますので、ぜひ立ち寄ってみてください
有名な世界遺産の石碑。まさに天空の郷!
果無集落の入口部分に、しっかり駐車場が整備されています(4台分)。すぐ近くにきれいなトイレも設置されています
駐車場から舗装道路を数分歩くと、十津川村の観光ポスターにも使用された世界遺産の碑が見えてきます!害獣避けのネットなどもあって全体に青々していますが、十津川観光協会さんのページで紹介されているしだれ桜や水仙が咲き誇る「春」、干し柿などが吊るされる「秋」も素晴らしいようです
別の角度から。山の一部を人が住めるように開墾したのでしょう。背後の山並みと同じような標高ですから、まさに「天空の郷」ですね!
石碑のあたりはコンクリート舗装でしたが、集落側へ下っていくとすぐに石畳が現れます。熊野三山への参詣は、平安時代末期ころから盛んに行われ「蟻の熊野詣」と呼ばれたほどでした。この道も、そのころからずっと修繕を繰り返しながら使用されているのでしょう
石垣を築いて平らな土地を作っています。地面に敷設したものもふくめて、よくこれだけの石が集められたものだと感心してしまいますね
風情ある日本家屋、美しい石垣と石畳
果無集落に入って少し進むと、岩本さん宅があります。風情ある日本家屋で、集落の雰囲気にぴったりですね!縁側には写真集やスタンプが置いてあり、参詣者が休憩できるようになっています。ここにご家族とお住いなのが、ポスターにも登場しているおばあちゃん。家の敷地の間を通る道が世界遺産になったなんて、きっと驚かれたことでしょう!
鹿の角が、わらじや唐傘をかけておくフックとして使われていました。すごい!
母屋と作業場らしき建物の間には、湧き水がいただけるところも。小辺路を歩いてきた参詣者にとって、何より嬉しいご接待になりますね
岩本さん宅からさらに下ろうとすると、石垣の間から青々した田んぼが!
天空の郷の美しい稲田。これだけの標高でも、こんな見事な田んぼができるんですね!
石垣、石畳、竹製の樋、苔むした石鉢、日本家屋
その脇に小さな水をためておくスペースには、驚くほど大きな鯉が。観賞用なのか、食用なのか?
美しい石畳が続きます
石垣の中に、大きな紫陽花(あじさい)が。梅雨の頃にきたら見事でしょうね
さらに進むと、数軒しかない果無集落はすぐに終わります。道に設置してあるゲートは害獣よけ。野生の鹿や猪などが侵入しないためですので、通行後はしっかり閉めておきましょう。また、集落の途中から脇道へ入ると、西国三十三観音の石仏にお詣りできます。道がやや険しいのでお気をつけください
小辺路は熊野本宮大社まで続いています
世界遺産の石碑の上にも、1軒のお宅があります。こちらも家の敷地の真ん中を世界遺産・小辺路が通っています。お邪魔にならないように通行しましょう
ほんの少し上ると、風情ある参詣道が現れます。この先には難所として知られる「果無峠」が、さらにその先は熊野本宮大社へと通じています
西国三十三観音の石仏は、ここにも祀られています(第三十番の方)。石仏めぐりのルートは小辺路から少しそれる部分もあるようですが、いつか巡ってみたいですね
夏の終わりの十津川村では、そこら中に野生のユリが咲いていました。これだけ優美でゴージャスな花が何気ない道端に咲いているのもいいものですね
■十津川村 果無集落
HP: 参考サイト:【十津川村観光協会】世界遺産「小辺路」
住所: 奈良県吉野郡十津川村桑畑
駐車場: あり(4台分)
アクセス: 「十津川温泉 ホテル昴」から車で30分ほど
■参考にさせていただきました
奈良県景観資産―熊野古道小辺路と周辺の山々が眺望できる果無集落―/奈良県公式ホームページ
小辺路-果無越え|熊野本宮観光協会
奈良県十津川村 果無(はてなし)集落 - 愛しきものたち