
真っ白い凝灰岩が波打つ奇勝『どんづる峯』@香芝市
香芝市にある『屯鶴峯(どんづるぼう)』へ行って来ました。二上山の噴火によって生み出された真っ白な凝灰岩の層が、奇妙に波打って見える奇勝です。この日はいいお天気でしたので、白い岩と青い空の見事なコントラストが見られました!なお、「どんづる峯=心霊スポット」としている方もいらっしゃいますが、特に怖いことはありませんのでご安心ください(笑)
無料の駐車場や公衆トイレもできました
奈良県香芝市にある、県指定の天然記念物『どんづる峯(屯鶴峯。どんづるぼう)』(Wikipedia)。雄岳と雌岳が連なる「二上山」の北西の、標高150メートルの丘ですが、真っ白な「白色凝灰岩」の層が見られる奇勝として知られています。
今から1500万年前~2000万年前ごろ(新生代第三紀中新世後期)、二上山の噴火によってふもとの湖に火山灰が降り積もり、それが地殻変動によって隆起。風雨にさらされて浸食され、現在の地形になったものです。
この地層は、二上層群・ドンズルボー累層などと呼ばれ、古来からここの石を加工して石棺や石仏として使用されてきましたので、知らない間にここから切りだされた石を目にしている機会もあったかもしれませんね。
国道165号線を「穴虫」交差点から折れ、703号線を穴虫峠方面へ進んだ場所に入口があります。自宅から近いこともあり今まで何度も来ていますが、いつの間にか無料の駐車スペース(5台分ほど)と公衆トイレが出来ていました。だいぶ整備された印象ですが、採石場がすぐ近くにあり、大型トラックが行き来するやや荒っぽい場所であることは変わりありませんね。
金剛生駒紀泉国定公園にある、奈良県指定の天然記念物の奇勝『屯鶴峯(どんづるぼう)』。国道165号線「穴虫」交差点から600メートルほど入った通り沿いにあります。私は数年ぶりで来てみましたが、以前と比べるときれいに整備されました
「天然記念物 どんづる峯 昭和26年11月1日指定
どんづる峯は二上山火山群の雄峯で、瀝青岩の噴出をもってはじまった二上山の火山岩屑が推定に沈積して凝灰岩層となり、その隆起と風化水蝕により奇岩・奇勝となったものである。
凝灰岩層の傾斜は、その下部では走向ほぼ北東を示し、北西に50度の傾斜をなしている。なお、どんづる峯層は更に北東へ広く、また南西へも延長し、その凝灰岩の層理が非常に正しく、あたかも大畳を斜めに限りなく重ねたような景観が更に風化水蝕により峡谷が刻まれ、また直立した谷壁の地肌には地層の切口が小波のような美しい襞を現し、学術上貴重な資料であるばかりでなく、周囲は樹木に覆われた山々に囲まれて特異な別天地を感じさせ、奇勝の名にふさわしいところである。」
道路の脇には、5台分ほどの駐車スペースと公衆トイレが設けられています
現地の警告。地図上では、どんづる峯を横断すると近鉄関屋駅の方面へ抜けられそうに見えますが、通じていませんのでお気をつけください
風雨に侵食された凝灰岩の真っ白い世界です
入口の階段からほんの数分歩くと、真っ白い岩肌が連なる「どんづる峯」の不思議な光景が目に入ります。この日はいいお天気でしたので、白い岩と青い空、そして新緑の緑が美しい対比を見せていました。
どんづる峯は、真っ白い岩の上を歩いてまわれます。この凝灰岩の地形はかなり広い範囲に及んでいますので、どこまででも歩いていけそうですが、崖状になっていて危険な場所もありますので、ほどほどのところで引き返してきましょう。軽く歩くだけなら30分や1時間もみておけば十分でしょう。
なお「どんづる峯」という名前は、松林に鶴が屯(たむろ)しているように見えることから名付けられたのだそうです。色んな場所から鶴に見える角度を探してみてください!
入口から数十メートル歩くと、少しだけその先の広がりが感じられます
目の前に白い岩肌が!これがどんづる峯です。真っ白い凝灰岩が、風雨に侵食されて奇妙な風景を形作っています
晴天の日に来ると、青と白の対比が美しいですね
下に小さく採石場が見えます。岩の上を歩いても特に危険はありませんが、少なくとも動きやすいスニーカーなどを履いてきましょう。表面に砂が散らばっていると滑りやすいので注意が必要です
こんな東屋などもありますが、こんな景色の中だと気味が悪い感じ……
西側の大阪府太子町方面へ向かったところ
太子町側を眺めたところ。向こうの山に白く見えるのは、ビニールハウスです
縞々になった層がはっきりと見えます
人間が入るとこんなスケール感です
白と青の不思議な景色の中を歩けます
北側を向いたエリア。写真では大きさが実感しづらいと思いますが……
このスケールです!
近づいてみると、段差の大きさが分かりますね
立っていた位置から下を眺めたところ。凝灰岩の白い地形はまだまだ先まで続いています。ずっと行けないことも無さそうですが、採石場などがあるため近づき過ぎない方が安全かもしれません
崖状になった地形もあります。ロープなどはありませんし、足を滑らせたら大怪我をするような場所もありますので、どんづる峯へ訪れる方はくれぐれもお気をつけください!
地下防空壕が作られ、まだ現存しています
なお、ネット上では「屯鶴峯=心霊スポット」として扱っている情報も少なくありません。戦時中にはここに巨大な地下防空壕が築かれたこともあり、そんなところからの連想なのでしょう。
第二次世界大戦中に造られた複雑な防空壕があることでも知られる。本土決戦を目前にした陸軍が航空部隊・航空総軍の戦闘司令所として建設されたもので、二つの壕に分かれている。 現在、防空壕の一部は京都大学防災研究所附属地震予知研究センター屯鶴峯観測所として使用されており、地震予知研究計画の一環として地殻変動の連続観測が実施されている。
(※こんな情報もありました。「屯鶴峯地下壕 - 廃墟検索地図」。年に一度くらいのペースで、地下防空壕の中を歩くツアーを開催している方もいらっしゃるそうです)
とはいえ、地下壕の入口はどこにあるか分かりませんし、普通に訪れるぶんには怖いこともありません。遠足でやってきた地元の小学生たちがお弁当を広げているような場所ですので、気軽に来てみてください!
より大きな地図で 屯鶴峯(どんづるぼう) を表示
■屯鶴峯(どんづるぼう)
HP: 参考サイト(Wikipedia)
住所: 奈良県香芝市穴虫
拝観料: 無料
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄南大阪線「二上山駅」より徒歩約30分
■参考にさせていただきました