2011-10-25

10周年の特別展『大飛鳥展』@万葉文化館(明日香村)

10周年の特別展『大飛鳥展』@万葉文化館(明日香村)

万葉集や飛鳥時代をテーマにした『奈良県立 万葉文化館』では、開館10周年記念特別展「大飛鳥展」が開催されています。さすがに力の入った展示内容で、仏像好き・古代史好きの両面から十分に楽しめました。


法隆寺「夢違観音」もいらっしゃる豪華企画

明日香村にある『奈良県立 万葉文化館』は、これまでにも何度も利用している、個人的に大好きな施設です。今回は「飛鳥池工房遺跡」の復元展示や、地下の「一般展示室」などについては省略していますので、合わせて下記の記事をご覧ください。


万葉文化館の10周年を記念して行われている特別展が、地元・飛鳥の貴重な宝物を集めた、その名も『大飛鳥展』です!法隆寺の「夢違(ゆめちがい)観音」という別称で知られる「観音菩薩立像(国宝)」など、国宝4点、重要文化財23点が展示される、とても大掛かりなものでした(会期は、2011年10月1日~ 11月13日)。



開館10周年記念特別展 「大飛鳥展」

このたび、奈良県立万葉文化館では、開館十周年を記念し、当館の活動の原点とも言うべき地元飛鳥(明日香)の文化と美術を顧みる「大飛鳥展」を開催いたします。

本展は序章「異文化への憧憬」、第一章「飛鳥時代の美術」、第二章「平城遷都後の飛鳥の美術」の三章で構成しています。序章では飛鳥時代以前の日本人が憧れたであろう美術を、中国の遺品を中心に取り上げます。中核をなす第一章は、仏教の受容、聖徳太子と斑鳩、仏教の伝播、飛鳥の終末期古墳と故人への追慕などの細節からなります。そして第二章は、ややもすると閑却視されがちな平城遷都後の飛鳥の仏教美術を紹介します。

こうした構成によって、国宝四点、重要文化財二十三点を含む六十六件の美術品を一堂に会し、古代から近世に至る飛鳥、及び法隆寺や近隣諸国へ伝播した飛鳥文化を総合的に捉え、日本の文化史上に果たした役割を改めて顧みようとするものです。

この展観を機に、より飛鳥の地に親しんでいただくことを願ってやみません。


「大飛鳥展」@万葉文化館-03

万葉文化館の館内。大きく「大飛鳥展」の表示があります。この日は古代史好きな友人など、計5名で観覧しましたが、それぞれ見方が違っていて、とても面白かったです。所要時間は、早足で1時間。常設展示なども楽しもうと思ったら、最低でも2時間は見ておくべきでしょう


時代ごとの分かりやすく深い内容でした

「大飛鳥展」の内容について、簡単に感想をメモしておきます。なお、展示内容は幅広いのですが、私は仏像好きのため、感想がその方面に偏ってしまいますがご容赦ください。

●万葉文化館は、あまり仏教系の展示のイメージがありませんが、さすがは10周年記念だけあって、他の博物館と比較しても遜色の無いボリュームでした。目新しいというものは多くありませんが、飛鳥の歴史が伝わってくる素晴らしい内容でした。

●飛鳥時代以前の海外美術、飛鳥時代の美術、平城京遷都後の飛鳥の美術という三部構成も良かったです。飛鳥時代の金銅仏などに注目が集まりがちですが、飛鳥にある平安期の仏像などにも美しい方はいらっしゃいますね。改めて注目するいい機会になりました。

●個人的に、飛鳥時代の小さな金銅仏が大好きなので、思わず声が上がるほどの豪華さでした。ポスターにも大きく写っている、法隆寺の夢違観音さまはもちろんですが、大阪・野中寺の銅造仏「弥勒菩薩半跏像(重文)」などもいらっしゃって、地味に豪華です!さらに、明日香村・向原寺で36年ぶりに盗難から戻った「金銅観音菩薩立像」も初めてお会いできました。

●平城京への遷都以降の展示では、明日香村・岡寺の「木造仏涅槃像」(鎌倉時代のいわゆる「寝仏」)や、川原寺の十二神将像など、なかなかお会いできない仏さまがいらっしゃいました。橘寺の「日羅立像」がすでに展示替えでいらっしゃらなかったのが残念!

●同時開催の「飛鳥にちなんだ万葉日本画展」も面白かったです!平山郁夫さんの「額田王」など、飛鳥にちなんだ22作品が展示されていました。万葉の女性を描いたら、額田王モチーフのものが多くなるのかと思ったら、大伯皇女・十市皇女・安見児など、色んな女性が画題になっていて興味深かったですね。


図書展示「恋と政争の飛鳥時代」も必見!

また、図書展示「恋と政争の飛鳥時代」と題した企画もなかなか面白かったので、念入りにご紹介しておきます。



図書展示「恋と政争の飛鳥時代」

万葉図書・情報室では図書展示「恋と政争の飛鳥時代」を開催いたします。今回の展示では、幅広い層の方に飛鳥時代の歴史・文化に興味を持っていただくための入口として、飛鳥時代をテーマにしたマンガを提案いたします。ご紹介する作品はいずれも、史料や歴史研究を基にして物語を描いており、作者の創作にかかるところはありながらも飛鳥時代を知る上で大変有意義なものです。 また、マンガだけでなく飛鳥時代を知ることのできる入門書・専門書もあわせて展示いたします。飛鳥時代の歴史のみでなく、仏教美術や万葉集などの文化、それに近年関心の高まりつつある女帝論について、当室蔵書の中から専門的かつ分かり易く書かれた本をご紹介します。


聖徳太子が主人公の「日出処の天子」、持統天皇が主人公の「天上の虹-持統天皇物語-」などを入り口として、飛鳥時代に親しんでもらおうというものですね。私もこの辺りの漫画は読んでいますが、この時代の人々に感情移入するためには最適な入門書になりました。

万葉図書・情報室は、駐車料・拝観料も完全に不要で利用できます。万葉集や古代史関連の書籍が充実しているだけではなく、関連のコミックスも置いてありますので、ぜひ気軽に利用してみてください。


「大飛鳥展」@万葉文化館-04

万葉図書・情報室では、図書展示「恋と政争の飛鳥時代」と題した企画展示も行なっています。大きく描かれているのは、里中満智子先生の「天上の虹」より、鵜野讚良(後の持統天皇)ですね。ここは入館料も不要で、誰でも利用できます

「大飛鳥展」@万葉文化館-05
中央の平台での企画展示です。聖徳太子が主人公の「日出処の天子」、持統天皇が主人公の「天上の虹-持統天皇物語-」などを中心に、分かりやすい関連書籍も集められています

「大飛鳥展」@万葉文化館-06
「聖徳太子 関連書籍 相関図」。コミックでは、魔性の聖徳太子を描いた「日出処の天子」、アンチテーゼの聖人君子の聖徳太子を描いた池田理代子さんの「聖徳太子」が。もちろん、漫画ばかりではなく、聖徳太子非実在説と、それを批判する書籍なども紹介されています

「大飛鳥展」@万葉文化館-07
裏側に回ると、里中満智子さんの「天上の虹」コーナーが!コミックスを中心に、各時代に対応する書籍が紹介されていて、とても興味深い内容でした。関連書の『長屋王残照記』『女帝の手記-孝謙・称徳天皇物語』などもありますので、ぜひここで一気読みしてください。飛鳥時代が大好きになると思います!

「大飛鳥展」@万葉文化館-09
万葉図書・情報室の様子。広々とした空間に、ソファーや閲覧スペースが設けられています

「大飛鳥展」@万葉文化館-08
スタッフの方に写真撮影の許可もいただきましたのでご紹介しますが、万葉文化館の図書情報室は、万葉集や古代史の蔵書がものすごいんです!関連の漫画もありますので、いくらでも時間が潰せますね。駐車場も無料ですし、図書室やショップなどは無料で利用できますので、ぜひ没頭してください!

「大飛鳥展」@万葉文化館-10
万葉文化館の館長、中西進さんのコーナーまであります。万葉集に関しては、ありとあらゆる書籍が集められていて圧巻です。古代史関係の蔵書も多数あります

「大飛鳥展」@万葉文化館-12
窓際にさり気なく展示してあった、甘樫坐神社で「盟神探湯」(くかたち。古代の占いのようなもの)に使われた熊笹と、飛鳥坐神社の奇祭「おんだ祭」で使われるササラ(これで参拝者のお尻を叩きます)。隅から隅まで、地味に楽しい展示がいっぱいです!


「飛鳥・藤原 ミュージアムネットワーク」始動

この秋から、飛鳥周辺にある3つの博物館が、企画などの面で連携する「飛鳥・藤原 ミュージアムネットワーク」という仕組みがスタートしました。万葉文化館の「大飛鳥展」と同時期に、以下のような展示が開催されています。

●【飛鳥資料館】平成23年度秋期特別展「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」 2011年10月14日~11月27日まで
●【奈良県立橿原考古学研究所附属博物館】秋季特別展「仏教伝来」 2011年10月1日~11月20日(日)まで

展示内容はそれぞれが連動しているため、3館を観て歩く楽しみが増えましたね。私もどの企画にも興味がありますので、この秋は全て観て回ろうと思っています。

また、料金の面でも優遇があります。ある博物館を観覧した半券を持参して、他の博物館でチケット購入の際に提示すると割引してもらえます。有効期間などもあるかと思いますので、まずは窓口で確認してみてください。


「大飛鳥展」@万葉文化館-01

向かって右から、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館「仏教伝来」、万葉文化館「大飛鳥展」、飛鳥資料館「飛鳥遺珍-のこされた至宝たち-」のポスター。飛鳥周辺にある3つの博物館は、これまでバラバラに企画展を行なっていましたが、この秋から連携を始めました。見終わったチケットの半券を提示すると、入場料金の割引などもあるそうです



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■奈良県立 万葉文化館

HP: http://www.manyo.jp/index.html
住所: 奈良県高市郡明日香村飛鳥10
電話: 0744-54-1850
休館日: 水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替日
開館時間: 10:00 - 17:30
観覧料: 大人 600円、学生 500円、中学生以下 300円
駐車場: 無料(2010年9月から無料になりました)
アクセス: 近鉄橿原線「橿原神宮前駅」から、奈良交通バス飛鳥駅行き「赤かめ」で20分、「万葉文化館西口」下車すぐ

※特別展「大飛鳥展」の会期は、「2011年10月1日(土)~ 11月13日(日)」です
※特別展「大飛鳥展」の期間中は、大人の観覧料金が変更になります(大人 1,000円、学生 500円、中学生以下 300円)


■参考にさせていただきました!

へっぽこ備忘録 万葉文化館「大飛鳥展」
立ち上がった飛鳥/藤原ミュージアムネットワークの実態


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