2011-02-18

『長屋王邸跡』の痕跡探し@イトーヨーカドー奈良店

『長屋王邸跡』の痕跡探し@イトーヨーカドー奈良店

奈良時代の悲劇の権力者「長屋王(ながやおう)」の邸宅跡がある『イトーヨーカドー奈良店』へ行ってきました。この辺りにはあまり用事が無いので、入店するのは実はこの日が初めてです。長屋王との関連はほとんど見つけられませんでしたが、バブル期らしい豪奢な建物などを味わってきました。


奈良貴族の邸宅跡に建てられています

奈良市二条大路南にある「イトーヨーカドー奈良店」は、2000年に閉店した旧奈良そごう(詳しくはWikipediaで)の店舗で営業している大型デパートです。

この土地は、もとは奈良時代の権力者であった「長屋王(ながやおう)」の邸宅跡にあたり、建築中の1988年8月には、4万点にものぼる長屋王家木簡が発掘されました。しかし、奈良そごうの工事はそのまま進められ、1989年10月にオープン。貴重な奈良時代の遺構は失われてしまいました。



ここは、奈良時代(8世紀)の初めに、正二位左大臣であった長屋王の邸宅があった場所です。昭和61年(1986)から発掘調査が行われ、昭和63年(1988)に大量の木簡が出土し、長屋王の邸宅であることがわかりました。
長屋王の父は天武天皇の長男高市皇子(たけちのみこ)、母は天智天皇の娘御名部皇女(みなべのひめみこ)で、王の妻は元明天皇の娘吉備内親王(きびのないしんのう)でした。右大臣藤原不比等の死後、国政の中心人物となりましたが、神亀6年(729)に謀反の疑いにより自尽においこまれました。
長屋王の邸宅は平城宮の東南に隣接し、平城京左京三条二坊一・二・七・八坪の4坪分を占め、約6万平米もの広さがありました。内部は王の居住地区、王家の事務所地区、使用人居住地区など、数ブロックに塀で区画されていました。
長屋王の住居は面360平米の掘立柱建築で、天皇の住居である平城宮内裏正殿に準ずる広さがありました。長屋王の邸宅東部の井戸やごみ捨て穴からは、約4万点もの木簡が出土しました。これらの木簡は王家の事務書類で、王に仕えた人々と役所のこと、王家を支えた経済的基盤のこと、王家の豪華な食生活のこと、犬・馬・鶴を飼っていたこと等が記され、奈良時代の高級貴族の生活を理解する上で貴重な資料となっています。


長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-01

奈良市の「イトーヨーカドー奈良店」(旧奈良そごう)前。南側の369号線沿いには、ここが「長屋王邸跡」だったことを記す案内図があります

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-02

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-03

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-04

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-05

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-06
イトーヨーカドー奈良店を北側から見たところ。屋上部分にはそごう名物の円形回転レストラン跡があります。駐車場の片隅には、長屋王を祀る祠と柱跡があるそうですが、残念ながら見逃しました・・・

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-07
北東の角にも小さな案内図がありました

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-08
「長屋王家木簡の発掘」という説明図。ここから4万点にものぼる長屋王家木簡が発掘されたのが1988年8月。この説明図が作られたのが1989年9月、奈良そごうのオープンが1989年10月。今さらながら、何とか現場を保存できなかったのかと思ってしまいますね


祠・柱跡も残されていますので要チェック

なお、お店のスタッフの方にも確認してみましたが、店内に長屋王に関連した痕跡や展示などは一切無いとのことでした。

この日私たちは何の下調べもせずに行ったため、こんな案内図しか見つけられませんでしたが、駐車場の片隅には長屋王を祀った祠と柱跡があったり、すぐ近くには復元・整備された「平城京左京三条二坊宮跡庭園」という庭園があるそうです。

見逃してしまったので、また日を改めて行ってみたいと思います。


長屋王邸宅址(イトーヨーカドー奈良店内 ) - ペン太のとんでも歴史紀行
奈良、時々京都: 長屋王邸宅跡を探す
奈良歴史漫歩No.057 平城京左京3条2坊宮跡庭園


相輪付き「回転展望レストラン」が悲しい

また、旧奈良そごうの建物ですが、そごうの創業者である「十合伊兵衛」氏が橿原市十市町出身ということもあり、バブル期のそごうの中でも豪奢な建物となっていたそうです。今でも、天井の高いエントランスや、ガラス扉の鹿柄の取っ手、建物中央には6列のエスカレーターなど、バブル期の残り香が感じられます。

また、そごうの他店でも見られた「回転展望レストラン」は、現在はもう動いていません(知らない方もいるかもしれませんが、円形の部分全体が回転していてどの席でも美しい景色が楽しめるというのがウリでした)。仏殿の「相輪(そうりん)」のようなものが上についていて、奈良店オリジナルデザインかもしれませんね。

平城遷都1300年祭は終わってしまいましたが、大型双眼鏡が無料解放されていて、平城宮跡の大極殿もよく見えました。屋上自体は殺風景なものですが、時間があったら上がってみるといいですね。


長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-09

イトーヨーカドー奈良店のエントランス部分。バブル絶頂期にオープンした奈良そごうの建物を引き継いでいるため、天井も高くてとにかく豪華です。中央部にエスカレーターが6列ズラリと並んでいたり、現在の規模から考えると明らかにオーバースペックですね

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-10
エントランスのガラス扉の取っ手が鹿柄。奈良店だけの特注でしょう。この扉を開けると、すぐ目の前にフードコートの「はなまるうどん」があるあたりが、時代の移り変わりを感じます

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-11
屋上部分にある「回転展望レストラン」跡。平城遷都1300年祭の期間中には、展望台として無料開放されていたそうですが、今はもう入れなくなっていました。以前、そごうの別店舗で回転している状態で食事をしたことがありましたが、今の時代はもう回す必然性がありませんよね

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-12
少し離れて見てみると美しい造形ですね。てっぺんに仏殿の「相輪(そうりん)」のようなものが付けられていますが、これは奈良店だけのものでしょうか?

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-13
屋上の一角には、平城宮跡が見渡せる大型双眼鏡が無料解放されています。平城遷都1300年祭の後も継続して利用できるようですね

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-14
大型双眼鏡と、遠くに見える大極殿

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-15
双眼鏡からはこんな感じで見えました

長屋王邸跡(イトーヨーカドー)-16
大和盆地に日が差していました。寒かったですけど、デパートの屋上はいいものですね



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■イトーヨーカドー奈良店

HP: http://www.itoyokado.co.jp/blog/220/index.html
住所: 奈良県奈良市二条大路南1-3-1
電話: 0742-36-7111
営業時間: 9:00 - 21:00






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