2017-04-15

『阿修羅~天平乾漆群像展』@興福寺仮講堂(奈良市)

『阿修羅~天平乾漆群像展』@興福寺仮講堂(奈良市)

奈良市・興福寺で開催中の『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展』。光明皇后が発願建立した西金堂の姿を再現するように、阿修羅像をふくむ八部衆など、25躯の仏像(と儀式用の楽器「華原磬」)がずらりと並ぶ様子は圧巻!「仏頭」が里帰りしている東金堂ともども、歴史を感じる素晴らしい展示でした!


「美を極めた仏たち、一堂に集う」

奈良市の中心部に位置する、法相宗の大本山『興福寺』。有名な国宝「阿修羅像」など、天平時代からの美しい仏像を多数お祀りしていることでも知られています。

こうした仏さまたちは、普段は「興福寺国宝館」に収蔵されていますが、耐震補強工事のため、2017年中は閉館しています。この機会に、諸像とお堂の空間の中で向き合えるように企画されたのが『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展』(前期は2017年3月15日~6月18日、後期は9月15日~11月19日)です。



本展は、耐震補強工事による1年間の国宝館休館の機会を捉え、西金堂内陣の宗教空間イメージを一部試みに視覚化するもので、天平の至宝・阿修羅像をはじめとする群像が醸し出す濃密な空間を体感していただき、以て現代興福寺が推進する「天平の文化空間の再構成」を大きく展望していただければ幸いです。

説明書きより


これと同様の企画は、2009年に『お堂でみる阿修羅』として開催されています。この当時は、日本全国が「阿修羅ブーム」のような状況で、長い行列ができたことでも話題になっていました。


お堂の中で興福寺の至宝とお会いできるのはそれ以来のこと、約7年半ぶりとなるので、期待してお詣りさせていただきましたが、やはり素晴らしいですね!圧巻でした!


興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-01

春の観光シーズンということもあって、興福寺の境内にもたくさんの参拝客の姿が見られました。いたるところに特別公開中の案内があり……

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-02
主役の阿修羅像の姿をどーんと登場させたポスターが目を引きます。「美を極めた仏たち、一堂に集う」のキャッチに偽りはありません。オールスターが集結します!

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-03
『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展』は、再建工事が進む「中金堂」(2018年落慶予定)の裏手になります。2009年の『お堂でみる阿修羅』のときは、まだほぼ更地でしたから感慨深いですね

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-04
特別公開の会場となる興福寺・仮講堂(以前は「仮金堂」と呼ばれていました)。この日は平日の午後遅めということもあり、行列などもありません。お堂内でもストレスになるような混み方ではなく、ゆったりと拝見することができました

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-07
余談ですが、興福寺・仮講堂の鬼瓦の前に「五芒星」のような瓦が取り付けられています。珍しいですね。南東の角、入場口側にありますので、ぜひ注目してみてください!


国宝19件、重文7件!豪華!

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-05
会場でいただける説明書き。表面には堂内での諸像の配置図に加え、「仮講堂」「阿弥陀如来坐像」「旧西金堂の天平彫刻」「八部衆像」について説明があります。裏面はお会いできる仏さまたちそれぞれの説明が掲載されています

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-06
ちょっとアップで。25躯の仏像、さらに中央には儀式用の楽器「華原磬(かげんけい)」も配されています。国宝が19件、重要文化財が7件という内容ですから、これがどれだけ豪華なことか!京都・東寺の「立体曼荼羅」に匹敵する迫力ですね

●興福寺・仮講堂は、1717年に中金堂が7回目の焼失をした後、100年も経った1819年、中金堂の北(講堂跡)に旧薬師寺金堂を移築して「仮金堂」として使っていた。中金堂の再建がなり、仮金堂としての役目が終わるため、これからは講堂として役目を果たす。

●仮講堂の御本尊は「阿弥陀如来坐像」(重文)。鎌倉時代初期(12世紀)の木造で、像高は225.7cm。興福寺の子院・観禅院大御堂の本尊として伝えられ、近年は国宝館に祀られていた。

●諸像の配置などは、かつてあった「西金堂」をイメージしたもの。西金堂は、母・橘三千代の1周忌供養のため、734年に光明皇后によって発願建立された。釈迦・両脇侍・十大弟子・八部衆・梵天・帝釈天・四天王像・華原磬などが祀られており、その後、何度も建物は消失するが、八部衆と十大弟子(そのうちの6体)と華原磬は焼失を免れている。鎌倉時代の金剛力士像、龍燈鬼像・天燈鬼像なども西金堂に祀られていた。


天平時代の祈りの空間が蘇ります

仮講堂のご本尊となる、大きな阿弥陀如来坐像を中心に、天平時代・鎌倉時代の美しく力強い諸像が立ち並ぶ姿は濃密で、圧巻でした!

国宝館でも間近で拝見できましたが、じっくりと観察できる代わりに、どうしても美術品と向かい合うような意識になりがちです。それに対し、お堂の中で(言い方は悪いですが)ごちゃごちゃっと群像として扱われると、本来の姿に戻ったような印象があります。

光明皇后が発願建立した西金堂では、ほぼここで拝見できるのに近い姿だったようです。当時はもっと彩色も鮮やかでより華やかだったことでしょう。庶民が間近で拝めるようなものではなかったはずですから、それが時を越えてこうして拝謁できることに感動しました!

また、それに加えて鎌倉時代に西金堂に祀られた金剛力士像、龍燈鬼像・天燈鬼像なども素晴らしいですね。国宝館などの会場でしか拝見したことがありませんでしたが、御本尊の両脇を護るような本来の位置に配されると、より活き活きと輝いているかのようでした。

天平時代の祈りの空間がここまで再現できるのは、興福寺だけでしょう。あらためてその凄さと、信仰の歴史の重みを実感できました。


「仏頭」の東金堂への里帰りも

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-08
『興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展』のチケットは、隣接する興福寺・東金堂(国宝)との共通拝観券になっています。726年、聖武天皇が叔母の元正太上天皇の病気全快を願って建立したお堂で、御本尊・薬師如来坐像を中心に、傑作とされる文殊菩薩像や維摩居士像、十二神将像などが祀られています

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-09
東金堂では『国宝仏頭 東金堂特別安置』(2017年1月7日~12月)として、かつて本尊として祀られていた「仏頭」が東金堂に戻られ、日光・月光菩薩と600年ぶりの再開を果たしています。とはいえ、三尊像の形式に戻ったわけではなく、仏頭のみ一番端の特別スペースに祀られています。

仏頭は、かつては山田寺の御本尊だった薬師如来坐像を、1187年に僧兵たちが興福寺に奪ってきたとされるものです。1411年の火災で体部は焼けてしまいますが、東金堂の御本尊の台座の下に納められ、1937年に再発見されるまで、長い間忘れ去られた存在となっていました。

そんな経緯を考えると、東金堂で仏頭が拝見できるというのは、とても感慨深いですね。文殊菩薩像と維摩居士像も素晴らしいお像ですので、じっくりとお詣りしてください!


奈良博では快慶展、東博では運慶展

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-10
奈良のランドマークとなっている、興福寺・五重塔はこの日も大人気でした

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-11
念願だった中金堂の落慶が平成30年(2018年)と近づき、それを知らせるポスターなども作られています

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展-12
今回の奈良での展示と、この秋、東京国立博物館で開催される特別展「運慶」(2017年9月26日~11月26日)を並べたポスター。現在、奈良国立博物館では特別展「快慶」が開催中ですし(2017年4月8日~6月4日)、仏像好きな者にとっては堪らない一年になりますね!



■興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展

会期: 前期 2017年3月15日~6月18日、後期 2017年9月15日~11月19日
拝観時間: 9:00 - 17:00
住所: 奈良市登大路町48
電話: 0742-22-7755
拝観料: 900円(東金堂と共通)

※実際にお詣りしたのは「2017年4月6日」でした。


■参考にさせていただきました

興福寺国宝特別公開2017 阿修羅 -天平乾漆群像展-|興福寺|奈良県観光 あをによし なら旅ネット
天平のにぎわい、いまに 奈良・興福寺で群像展:朝日新聞デジタル


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