2015-10-11

歴史ある民家もアート会場に!『五條新町エリア』@はならぁと2015

歴史ある民家もアート会場に!『五條新町エリア』@はならぁと2015

歴史的な町家・町並みにアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015』が今年も始まりました。約1kmにわたって江戸~明治時代の商家が立ち並らぶ「五條新町エリア」を拝見してきました。不思議な現代アートが、伝統的な町家と組み合わさった違和感がいいですね。普段は非公開で中に入れない「中家住宅」「栗山家住宅」なども会場のため、少しだけ中へ入れるのも嬉しいポイントです!


今年も『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』開幕!

歴史的な町家・町並みを活用してアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015』(TwitterFacebook)。

ボランティアが中心の実行委員会が、県の補助や企業の協賛を受けて運営しており、2014年は約4.5万人が足を運ぶイベントに成長しました。これをきっかけとして、空き町家約30件が店舗や住居として再活用されるなど、街の活性化にも大きな役割を果たしています。

私たちも特に好きなイベントで、普段は立ち入れない建物が公開されたり、奇抜な展示に驚いたり、風情ある町並みを歩いてみたりと、難しいことを考えずにのんびりと会場を回っています。

●はならぁと ぷらす
会場: 五條新町、生駒宝山寺参道
会期: 2015年10月10日(土)~ 10月18日(日)

●はならぁと こあ
会場: 宇陀松山、八木札の辻、今井町
会期: 2015年10月24日(土)~ 11月3日(火祝)

五條新町エリア @はならぁと2015-00
第5回目を迎えた『奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015』のポスター。現代アートというと小難しいもののように思えますが、歴史ある通りや古民家で見ると、不思議な楽しさがあります。ほぼ無料で拝見できますし(※一部有料のものもあります)、気軽に楽しめるイベントです


「五條新町」は歩いて楽しい町並みです

この日は、「はならぁと ぷらす」(※各地域が主導して開催するサテライトエリア)となっている、五條市の『五條新町』エリアを拝見してきました。

この町並みには、約1kmにわたって江戸~明治時代の商家が立ち並び、「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されている趣きのある通りです。吉野川に沿うようにのびていて、細い路地に紛れ込むと、タイムスリップしたかのような不思議な気分になれて、ぜひゆっくり歩いて欲しい場所です。


五條新町エリア @はならぁと2015-34

五條新町を通る「新町通り」。「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、17世紀の初頭~18世紀に建てられた町家が集中していて、江戸から明治大正、そして昭和戦後まで、約4世紀にわたる民家の移り変わりが見られます。通り自体は約1kmほどですから、散策してもそれほど時間はかかりません

五條新町エリア @はならぁと2015-35
手作りのお餅のお店『一ツ橋餅店』さんのあたり(いつも早い時間に売り切れます)。吉野川へ出る路地、民家の中をすり抜けるような路地など、知らない方向へ進んでみても楽しく道草できます

五條新町エリア @はならぁと2015-36
五條新町の外れには、電車が一度も走ること無く建設中止となった「五新線」(Wikipedia)の遺構があります(紹介記事)。江戸時代の商家から、昭和の鉄道遺構まで見られる振り幅の大きさが楽しいですね!


河瀬和世さんの「理」@まちなみ伝承館

五條新町エリア @はならぁと2015-02
時間の関係ですべては見られませんでしたが、「はならぁと ぷらす」五條新町エリアで見てきたものを簡単にご紹介していきます。通りの中にある「まちなみ伝承館」(紹介記事)での展示から

五條新町エリア @はならぁと2015-03
アーティスト河瀬和世さんの「理(ことわり)」という一連の作品ひとつ。中央には和紙が長く敷かれ、その上には小さな球体。ふすまに移った奇妙な映像(これは山内啓司さんの作品)などで、水の流れを表しています。奥に長い日本建築の特徴を活かした作品で、自然と流れの先へと誘われていきます

五條新町エリア @はならぁと2015-04
作品の途中の部分から。見る位置によって外からの灯りの入り方が変わって、まったく違った印象を受けます。古い建物の薄暗さがいいですね。解説文にはこうありました。「記紀の時代から続く五條と吉野川。町家の内外に自然界が自らの意思を持って成した水の径を表現します」

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五條新町エリア @はならぁと2015-06


河瀬和世さんの「理」@山本本家

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清酒松の友と柿ワインが人気の、創業300年を超える老舗の造り酒屋「山本本家」さん。いかにも風格のある建物ですが、ここの土間部分も会場として利用されていました

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ここの展示も「まちなみ伝承館」と同じく、河瀬和世さんの「理(ことわり)」です。和紙を使って水の流れを表現する方法は共通していますが、小石や杉玉(※酒屋さんの軒先に吊るすもの)を利用するなど、かなり不思議なアプローチですね。これだけたくさんの三輪の杉玉が吊るされている光景は初めて見ました!

五條新町エリア @はならぁと2015-21

五條新町エリア @はならぁと2015-22


河瀬和世さんの「理」@中家住宅

五條新町エリア @はならぁと2015-23
国道168号線を挟んだ位置に建つ「中家住宅」。1704年の建築で、火事の延焼などを防ぐため、2階部分の窓がすべて塗り込められているのが特徴です。現在も住民の方が住まわれているため、通常は非公開。入り口の土間部分を使用して作品が展示されています

五條新町エリア @はならぁと2015-24
こちらも河瀬和世さんの「理(ことわり)」のシリーズです。広い土間と小上がりがあり、天井から足の長い和紙と、細かくちぎった和紙が吊るされています。光の加減や、ちょっと吹き込んだ風によってもゆらゆらと揺れる様子が不思議でした。全体を通して流れを感じます

五條新町エリア @はならぁと2015-25
小上がりの部分。中心の柱のようなものの周りに、湧き水があふれ出るかのような表現も。その背後の二段重ねの古い家具は、どうやら古い食器棚のようなもののようだとか。普段は決して入ることができない建物だけに、興味津々で眺め回します(笑)

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杉本洋さん「水/WATER」@栗山家住宅

五條新町エリア @はならぁと2015-27
中家住宅の斜向かいの位置にある「栗山家住宅」。江戸時代初期(1607年)の建築物で、建築年代のわかる民家としては日本最古。国の重要文化財に登録されています。こちらも現在もお住まいのお家ですから、もちろん通常は非公開。はならぁとの期間中だけ、土間部分で作品展示を許可してくださいました。ここに入れるだけでちょっとした感動です!

五條新町エリア @はならぁと2015-29
栗本家住宅の広い土間部分を使って、日本画家の杉本洋さんの作品「水/WATER」が展示されています。1999年から唐招提寺の「梵網会」(うちわまき)の団扇絵や、東大寺二月堂の修二会(お水取り)の行法用紙手なども制作なさっている方だとか。墨絵の連作で水の流れを表現しています

五條新町エリア @はならぁと2015-30
建物に入ってすぐの静かな水面から、中央に向かうに従って轟々と音を立てて落ちる激しい流れに。建物の雰囲気とも絶妙に合っていますね

五條新町エリア @はならぁと2015-31
作品の中の一枚

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これの対面するように、金屏風の中の川も展示してありました。ここの流れも決して緩やかではありませんが、周りの荒々しく迫力のある絵に囲まれると、ここだけ箱庭に切り取ったかのよう。不思議な対比でした


山内啓司さんの映像作品 @まちや館

五條新町エリア @はならぁと2015-11
五條新町の「まちや館」(紹介記事)。通りの中ほどにあり、はならぁとの公式ガイドブックなどもここで購入できます。まずここから散策を始めるといいかもしれません

五條新町エリア @はならぁと2015-13
土間から2階部分を見上げてみると、「まちや伝承館」でも投影されていた、アーティスト山内啓司さんの作品「縄文から現代に伝わる心のかたち」が見られます。古い家屋に投影すると、いま流行りの妖怪のようですね!祝日など、夕方の時間帯からは古民家の外壁の白壁に映像を映し出す試みもあったとか

五條新町エリア @はならぁと2015-14
まちや館の急な階段を上がっていくと、2階は真っ暗になっています。足元に注意が必要ですが、急階段や薄暗さがお子さんたちには面白いらしく、キャッキャいいながら登り降りしてました(笑)

五條新町エリア @はならぁと2015-15
真っ暗な室内で、天井から吊るされた紙に不思議な映像が投影されていきます。縄文時代から現代までのさまざまな不思議な文様が移り変わっていき、トリップしそうです!

五條新町エリア @はならぁと2015-16

五條新町エリア @はならぁと2015-17


加藤良次さん「赤根色の影」@新町橋、神田橋

五條新町エリア @はならぁと2015-07
まちや伝承館などの脇の橋を使った、加藤良次さんの「赤根色の影」という作品。新町橋と神田橋(五新線の高架跡の近く)の2ヶ所に作品があります。橋の下へ降りてみると、はちまき状の赤い布が下がっていて、その向こうには赤い紐が川をまたがるように何重にも張り巡らされています。赤い紐は橋の上からでも見えますが、橋の下がこんな状態になっていることは通行人は気づきません。ちょっとした違和感が面白いですね

五條新町エリア @はならぁと2015-08
この作品の下流部分。水門があって、吉野川へつながっています。大きな川のすぐそばですから、私のような川と縁遠く育った者にとっては、こんな風景だけでもどこかしら不思議に見えてしまいます

五條新町エリア @はならぁと2015-10
こちらは神田橋付近のもの。「見慣れた風景に赤根色を挿し込む。赤根色の影は曖昧になりかけた記憶を呼び覚ます。」とのこと


■奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015

HP: http://hanarart.jp/
Twitter: @HANARART
Facebook: https://www.facebook.com/hanarart

・はならぁと ぷらす
会場: 五條新町、生駒宝山寺参道
会期: 2015年10月10日(土)~ 10月18日(日)

・はならぁと こあ
会場: 宇陀松山、八木札の辻、今井町
会期: 2015年10月24日(土)~ 11月3日(火祝)


■五條新町│奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015

詳細: http://hanarart.jp/2015/gojo
駐車場: 大川橋下駐車場(無料)
アクセス: JR五条駅から徒歩約10分


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