2013-06-01

幻の「五新線」の遺構『五新鉄道 高架橋跡』@五條市

幻の「五新線」の遺構『五新鉄道 高架橋跡』@五條市

その昔、建設途中で計画が中止となった「五新鉄道」という鉄道路線がありました。その起点だった五條市には、今から半世紀も前に作られた『五新鉄道 高架橋跡』が、今でも残されています。使用されること無く打ち棄てられた美しいアーチ橋の様子を色んな角度から見学して来ました!


幻の「五新鉄道」(五新線)とは?

五條市の国道24号線をまたぐようにして、不思議な「高架橋」が残っています。これはその昔、建設途中のまま中断してしまった「五新線」(Wikipedia)の遺構です。


明治末期、五條市から十津川をつたい新宮市までを結ぶ「五新鉄道」の建設熱が高まりました。昭和12年(1937)から着工され、吉野川横断の橋脚、生子トンネルの貫通まで至りましたが、太平洋戦争が始まり資材不足等の理由で、工事は中断されました。戦後、工事が再開され、昭和34年(1959)に五條-城戸間の路盤工事が完成し、軌道敷設等の工事を残すのみとなりましたが、経済社会情勢等の変化によって、五新鉄道の夢は叶うことなく中断されました。

 現在、跡地の一部は路線バス専用道や、宇宙のなぞを解明する研究所「大阪大学コスモ観測所」として利用されています。(後略)


林業が盛んだった時代に計画された、五條市から十津川村を経由し、和歌山県の新宮市を結ぶ鉄道路線が「五新鉄道」(五新線)です。戦争によって工事が中断しましたが、1957年に工事が再開され、2年後に五条駅から西吉野村までの路線が完成しました。その後、工事は凍結され、一部区間はバス専用道路などとして利用されています(Wikipedia)。

鉄道路線として計画されながら、結局は一度の電車が走ることがなく、断片的に遺構が遺っているという点が珍しく、鉄道ファンの間では有名な路線のようです。五新線の遺構をめぐった方の詳しい情報がいくつも見つかりますので、ぜひこちらもご参照ください。

五條市街 - 五新線跡をさがして
旧国鉄五新線(阪本線)を訪ねて【第一部】-奈良県五條市の山間に続く夢の跡-: いそしず の ライナーノート
幻の鉄道  五新鉄道を行く!!

奈良の風景を美しく切り取る映像作家・河瀬直美さんの傑作『萌の朱雀』(女優・尾野真千子さんのデビュー作)は、まさにこの五新線のトンネル工事が行われた当時の家族の姿を描いたものです。静かに張り詰めた空気感が伝わってくる傑作ですから、興味のある方はぜひ!


五條新町を急に高架橋跡が横切っています

この日、私たちは古い町並みがそのまま残り、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている『五條新町』の散策に来ていました。

五條新町通りとその界隈には、17世紀の初頭~18世紀にかけて建てられた町家が集中していますが、それをまたぐように五新鉄道の高架橋が横切っています(このページにマップがあります)。これはインパクトありますね!

私たちは鉄道の知識はまったくありませんが、生活の中にすっかりと溶け込んでしまった(廃墟的な)近代化遺産の姿は、見ているだけで物悲しくも興味深いものです。高架橋跡にそって歩いてみました。


五新鉄道 高架橋跡@五條市-01

古い街並みが残る「五條新町」を横切るようにして現れる『五新鉄道 高架橋跡』。もう半世紀もここにあります。橋の上に雑草が生えているのが見えますね

五新鉄道 高架橋跡@五條市-02
橋脚部分にある説明文「幻の五新鉄道」。1959年には五條市から新宮市の間の路盤工事が完成し、軌道敷設などの工事を残すのみとなりましたが、その段階で工事は中断されました

五新鉄道 高架橋跡@五條市-04
吉野川の手前で高架橋はばっさりと途切れています(24号線をまたぐ部分も同様です)。何とも切ない雰囲気ですね

五新鉄道 高架橋跡@五條市-05
高架橋跡に沿って細い道があります。この区間だけなら100メートルほどでしょうか。すぐ近くに民家が建っていますから、ご迷惑にならないように散策しましょう

五新鉄道 高架橋跡@五條市-06

五新鉄道 高架橋跡@五條市-07

五新鉄道 高架橋跡@五條市-08

五新鉄道 高架橋跡@五條市-09

五新鉄道 高架橋跡@五條市-10
24号線側もこんな風に途切れます。道路の間際ですから、車で走っていても見えます


高架橋の上部は雑草が。不思議な光景です

24号線を挟んで北側にも、五新鉄道の高架橋跡は続いています。ここは上にちょっとしたスペースがあり、橋脚の上の様子が少しだけ見えるようになっています。側道側が一段高くなっていて、コンクリートの突起で中央の路線部分と仕切られているのが分かります。こんな土のないところでも雑草が生い茂っていて、植物たちの生命力の強さに驚きますね!

この近くにも民家がありますので、見学に行く方は、近隣の方のご迷惑にならないように注意しましょう。


五新鉄道 高架橋跡@五條市-11

24号線の北側にも、五新鉄道の高架橋跡が続いています。よく考えると不思議な構造物なんですが、意識しないと通りすぎてしまいますね

五新鉄道 高架橋跡@五條市-12
五新鉄道の路線とクロスするように、東西へ走るJR和歌山線の踏切

五新鉄道 高架橋跡@五條市-13
その近くに、先ほどの高架橋跡の路面を見られる場所があります。フェンスがありますので、そこから先は立入禁止。手前から眺めるだけにしましょう

五新鉄道 高架橋跡@五條市-14
草が生い茂っていてよく見えませんが……。向かって右手の大きな建物は「リバーサイドホテル」さんです

五新鉄道 高架橋跡@五條市-16
角度を変えてみると、側道と中央の路線部分に区切られているのが分かります

五新鉄道 高架橋跡@五條市-17
雑草が茂ったまま、何に使用されることもなく、ずっとこのまま残っていくんでしょうね

五新鉄道 高架橋跡@五條市-18
リバーサイドホテルさん屋上の『洋食レストラン菜・NOOK』さんからは、五新鉄道の高架橋跡はこう見えるそうです。不思議な景色ですね!(友人のコミュニティライター 西久保さんから写真をお借りしました)



大きな地図で見る


■五新鉄道 高架橋跡

HP: http://www.city.gojo.lg.jp/www/contents/1197617489975/
駐車場: 五條新町エリアに何箇所か無料駐車場あり(このページを参照のこと
アクセス: JR和歌山線「五条駅」から10分ほど

※実際に拝見したのは「2013年5月18日」でした


■参考にさせていただきました

五新線 - Wikipedia
五條市街 - 五新線跡をさがして
旧国鉄五新線(阪本線)を訪ねて【第一部】-奈良県五條市の山間に続く夢の跡-: いそしず の ライナーノート
幻の鉄道  五新鉄道を行く!!






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