2015-02-24

やきもの初心者でも楽しめる『富本憲吉展』@奈良県立美術館

やきもの初心者でも楽しめる『富本憲吉展』@奈良県立美術館

奈良県立美術館で開催中の『富本憲吉展 ~華麗なる色絵・金銀彩~』(2015年3月15日まで)。安堵町生まれの人間国宝で「近代陶芸の巨匠」とまで呼ばれた方です。「やきものって分かりづらい」という方も多いと思いますが、初期の素朴な作品から色絵、シンプルな白磁、美しい「金銀彩」の作品など、ひと通り観られて楽しいです。細かい模様が本当に美しくて、知識なしで楽しめますよ!


安堵町出身、人間国宝の陶芸家「富本憲吉」

安堵町出身の陶芸家「富本憲吉」さん(Wikipedia)の作品を集めた企画展『富本憲吉展 ~華麗なる色絵・金銀彩~』が奈良県立美術館で開催中です(2015年3月15日まで)

1886年、安堵町生まれの富本さんは、近代陶芸の巨匠と呼ばれ、人間国宝にもなった方です。時代ごとに作風はさまざまですが、1936年、石川県の九谷焼の窯元・北出塔次郎のもとに滞在して色絵を研究して以降、華やかな色絵の作品などを発表していきました。

初期の作品から色絵、シンプルな白磁、美しい「金銀彩」の作品など、とても豪華な出展内容です。また、「ふるさと知事ネットワーク 美術館交流展示」と銘打たれており、石川県内で所蔵されている九谷焼の作品も多数展示されており、計110点が並びます。


富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-01

奈良県立美術館で開催中の『富本憲吉展 ~華麗なる色絵・金銀彩~』(2015年3月15日まで)。平日の夕方近くに行ってみたのですが、1時間半では時間が足りないくらい楽しめました!

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-02
入口部分にある大パネル

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-03
今回の企画展では、第1・第4・第6展示室では写真撮影が可能です。フラッシュは使用不可なのはもちろんですが、「作品のみの撮影は不可」という条件付きです。雰囲気だけでもカメラに収められるのは嬉しいですよね

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-04
第1展示室には、初期の作品が並んでいます。「65歳以上の方」「外国人観光客・留学生の方」などは、入館料が無料のため、海外からのお客さんの団体さんの姿も数多く見られました

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-05
これは第4展示室「充実する色絵磁器制作」のコーナー。ここの香炉とか飾筥(かざりばこ)など、美しさと可愛らしさに身悶えします(笑)

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-06
第6展示室では、和室を利用した作品展示も


模様にこだわり抜いた美。鮮やかで細密!

私たちも焼き物には特に詳しいわけではありませんが、富本さんの作品はバリエーションも豊富ですし、見ていて本当に飽きません。

素朴な焼き物から始まって、時代ごとに白磁・色絵磁器・金銀彩磁器など、次第に華やかさを増していく作品たちを、時代別に展示してあります。若いころの民藝作品らしいものも惹かれますが、後の時代の色絵や金銀などで、細かい文様を描いてある作品が素晴らしくて、いつも見惚れてしまいます。

今回の展示のキャプションで知ったことですが、富本さんはご著書の中で「どうにか新しい模様を作りたいと思って、小さい模様旅行をしたり、本を読んだりしてみました」とあり、模様を探すための旅までしていらっしゃったとか!ご本人はいいアイディアが浮かばずに苦しみ抜いていたようですが、ものすごく楽しそうですよね(笑)

菱型が連続する「菱文様」、テイカズラの花をモチーフにした「四弁花」、シダ植物の葉を描いた「羊歯文様」など、連続する模様が本当に美しいんですよね。それがきっちりと機械的に並ぶのではなく、手作業らしいラフさもあって、ますます愛おしくなります。

焼き物の初心者が見ても、魅力が伝わりやすい作品が多いですから、ぜひ足を運んでみてください!


富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-07

チラシのメインビジュアルに使用されている「色絵四弁花更紗模様六角飾筥」。安堵町の町花にもなった「テイカカズラ」の花がモチーフの文様が散りばめてあります。どの面にも隙間なく絵付けされていますが、決してくどい印象にはならず、軽やかなリズム感を感じます

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-08
鑑賞ガイド(400円)の表紙にも何パターンかの模様が掲載されています。中央の作品は「赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺」。菱型にシダの葉が連続する「羊歯文様」が鮮やかな作品です。金と銀、地の赤、わずかに見える白。色目も美しいですね。これも奈良県美の所蔵品です!

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-10
鑑賞ガイドより「色絵円に花模様飾筥」。ふたを閉じたら、茶色のエッジの効いた直線と、レトロな印象の円に囲まれた花。ふたを開けたら、びっちりと模様の連続!

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-11
同じく富本憲吉さんの作品「染付色絵菱文角箱(大)」。個人的にはこうした作品群が大好きです。もちろん、民藝調のもの、白磁の美しい作品、絵画を描くように色絵を描いた陶板など、いろんな作品が見られます。石川県から来ている北出塔次郎さん、三代徳田八十吉さんらの作品も素晴らしいですよ!

富本憲吉展~華麗なる色絵・金銀彩~ @奈良県立美術館-12
奈良県美では、4月から「特別展 奈良礼賛」が開催(2015年4月11日~5月24日)。「明治時代、岡倉天心やフェノロサによって再発見された奈良の美。奈良の宝物類に触発されて生み出された近代美術の名品を紹介します。」横山大観や菱田春草の作品が展示されるとか。最新情報は奈良県美「Facebookページ」をチェックしてください


<余談>富本憲吉さんの入門書にどうぞ


余談になりますが、富本憲吉さんの作品を知るには、『色とかたちが奏でる美 富本憲吉のやきもの (小学館アート・セレクション)』という本がとても参考になります(書評はこちら)。

奈良県内の図書館などで見つかると思いますので、ぜひ予習復習にどうぞ!



■富本憲吉展 ~華麗なる色絵・金銀彩~

HP: http://www.pref.nara.jp/37415.htm

会場: 奈良県立美術館(奈良県奈良市登大路町10-6)
会期 2015年1月17日(土)~ 3月15日(日)
休館日: 月曜日
開館時間: 9:00 - 17:00
観覧料: 一般 400円、大高生 250円、中小生 150円

※65歳以上の方、外国人観光客・留学生の方などは、無料で入館できます
※第1・第4・第6展示室は写真撮影が可能です。ただし、「フラッシュは使用しないこと」「作品のみの撮影は不可」という条件付きですのでお気をつけください
※イベント情報などは、奈良県立美術館「Facebookページ」から観られます


■参考にさせていただきました

富本憲吉 - Wikipedia
奈良が生んだ近代陶芸の巨匠!『富本憲吉展』奈良県立美術館 | 奈良県 | [たびねす] by Travel.jp
<奈良県立美術館> 企画展「富本憲吉展 華麗なる色絵・金銀彩」 - く~にゃん雑記帳


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