2014-07-25

五大明王に快慶仏!特別展『国宝 醍醐寺のすべて』@奈良博

五大明王に快慶仏!特別展『国宝 醍醐寺のすべて』@奈良博

奈良国立博物館の特別展『特別展 国宝 醍醐寺のすべて ―密教のほとけと聖教―』(2014年7月19日~9月15日)を拝見してきました。世界遺産に登録されている密教寺院から、貴重な寺宝が一斉に奈良へとやって来ています!仏像・仏画・法具など、想像していた以上に興味深いものばかりでした。また、秋から「なら仏像館」が長期休館になりますので、ぜひ夏の間にご覧ください。


寺宝がずらり!まさに「醍醐寺のすべて」

奈良市の奈良国立博物館で開催中の特別展『特別展 国宝 醍醐寺のすべて ―密教のほとけと聖教―』(2014年7月19日(土)~9月15日(月祝))。

世界遺産にも登録されている京都の古刹『醍醐寺』。874年、空海の真言密教の流れをくむ「理源大師聖宝(りげんだいししょうぼう)」(Wikipedia)によって創建され、真言密教の信仰と実践の場として発展してきました。戦国時代には、豊臣秀吉の有名な花見「醍醐の花見」が行われています。

今回の特別展は、醍醐寺に守り伝えられてきた膨大な古文書や聖教のうち、約7万点が国宝に指定されたことを記念したものです。彫刻や絵画など、国宝62件・重要文化財85件を含む、醍醐寺の寺宝たち約190件が一挙に拝見できます!

ちなみに、醍醐寺は「西国三十三所巡礼」の第十一番札所でもあり、私たちも何度かお詣りしています。


壮大な伽藍や美しい仏像、巨大な五重塔など、何も知らずに醍醐寺をお詣りしても圧倒されるほどの迫力ですが、博物館でじっくりと対面すると、より深くまで知ることができるのがいいですね。

「醍醐寺のすべて」というタイトルは誇張でも何でもなく、驚くほどの寺宝がこぞって奈良博へご出陳なさっています。私たちはじっくりと見て回ったので、ほぼ3時間(!)近くもかかってしまいましたが、濃密でどこか怪しげな真言密教の世界に、頭がクラクラしました(笑)


特別展 国宝 醍醐寺のすべて@奈良国立博物館-01

奈良国立博物館の特別展『特別展 国宝 醍醐寺のすべて ―密教のほとけと聖教―』(2014年7月19日(土)~9月15日(月祝))。年間パスポートが切れそうだったので、この日慌てて行ってきました。平日だったため、混雑もなくのんびりと拝見できました

特別展 国宝 醍醐寺のすべて@奈良国立博物館-03
醍醐寺で毎年2月に行われる「五大力尊仁王会(ごだいりきそんにんのうえ)」に使用される鏡もちが展示してありました。巨大な鏡もちを持ち上げて五大明王に力を奉納する、1100年もの歴史がある行事だとか。ちなみに、男性は150kg、女性は90kgを持ち上げるそうです!


白描図像など、他では観られないものも

醍醐寺展は、以下のような7章構成になっています。

●第1章 醍醐寺のなりたち ―理源大師聖宝―
●第2章 密教寺院のすがた
●第3章 密教の祈り ―修法と本尊画像―
●第4章 白描図像の世界
●第5章 受け継がれる教え ―三宝院流の相承―
●第6章 醍醐寺と修験道
●第7章 繁栄の歴史 ―秀吉と「醍醐の花見」―

登場するキーワードに馴染みのないものが多くて、面倒くさそうに思われる方も多いでしょう。実際、私も会場で拝見するまでは、「修法?白描図像?三宝院流?」という状態でしたが、いずれも渋いながらも面白いんですよ。

まずは、公式サイトの「5つの醍醐味」「寺宝解説」のページをご覧ください。

私が調べたこと、メモしたことなどをまとめておきます(テキストだらけでスミマセン)


●醍醐寺と奈良。深い繋がりが感じられました。理源大師聖宝も東大寺で修行を積むなど、多くの僧侶が醍醐と南都を行き来してきました。鎌倉時代に東大寺復興に尽力した重源上人、西大寺を再興した叡尊上人も、若いころに醍醐寺で修行をしたそうです。さらには、吉野や大峯山で活動した修験者たち(当山派)は、醍醐寺三宝院門跡を棟梁とするなど、さまざまな繋がりがあります。

●優れた仏像が多数!京都・東寺に引けをとらないくらいの濃密さでした。

・五大堂に安置されている「五大明王」が初めて寺外でそろって公開。牛に乗った「大威徳明王像」のみが、平安時代のもので、他はほぼ江戸時代に製作されたもの。五体ずらりと並んだ姿は圧巻でした。中でも「軍荼利明王像」が見事!

・醍醐寺三宝院のご本尊であり、ポスターのメインにもなっている、大仏師・快慶作「弥勒菩薩坐像」(重文)。快慶最初期の作とのことですが、らしい美しさがあり、どこから観てもと端正でした。台座下に狛犬が入っているのも必見。同じく快慶の手による「不動明王坐像」(重文)も登場しています。立体的な火炎光背が格好良かった!

・上醍醐薬師堂のご本尊である、大きな「薬師如来及び両脇侍像」(国宝)、同じく開山堂のご本尊「理源大師坐像」(重文)など、諸堂立ち並ぶ大寺院とはいえ、各お堂のご本尊が一堂に介しているのがすごいですね。薬師如来像の展示では、ちゃんとお堂の中でお会いしているかのような雰囲気が作ってあって、それも良かったです。

●縦342.4cm×横331.2cmという巨大な画像「大元帥明王像」(重文)、二十臂(腕が20本)の「延命普賢菩薩図像」(重文)など、法会に使用された図像がすごいです。奈良・秋篠寺の秘仏・大元帥明王像も、腕が6本の憤怒の形相ですが、こちらでは腕が36本!さらにお顔が16面!密教的な多面多臂をあれだけ巨大に描いていても、まったく破綻がありません。愛染明王など、色んな仏画が観られたのも良かったです。

●14世紀、鎌倉時代~南北朝時代に描かれたという「北斗曼荼羅図」。黄道十二宮が描いてありますが(こんな時代からあったんですね!)、その絵がユニーク。パッと観て、現代の星座とはまったく違うものに観えるのが面白かったです。ショップにグッズも売ってました。

●「白描画図」とは、大雑把に言えば、各寺院などに遺された図像をスケッチしてまとめたもの(彩色なし)。これを手本に次の図像を描いたようです。これも想像以上に面白くて、たとえば「十二神将」では、立った姿などに加えて「騎獣図」というものもあります。これは十二神将がそれぞれの干支に乗った姿を描いたもの。牛や竜ならともかく、猿やウサギの背中に乗っていたりします!潰れちゃうよ(笑)

●後世に伝えるため、修法の配置図や手順を書き記した図や、「金堂九鈷杵」(重文)などの密教法具を集めたコーナーも、じっくり見ると面白いものでした。展示の最後には、俵屋宗達筆「舞楽図」(重文)なども登場するんですから豪華!色んな素晴らしい寺宝を楽しませていただけました!


特別展 国宝 醍醐寺のすべて@奈良国立博物館-02

醍醐寺展のメインビジュアルは、快慶作「弥勒菩薩坐像」(重文)。佇まいの端正さが伝わってきますね。下に五大堂「五大明王像」(重文)がそろって紹介されています。この方々がはるばる奈良へお越しくださるなんて、最初で最後かもしれません


「なら仏像館」は1年半も休館になります

奈良博の旧館にあたる「なら仏像館」。1894年の竣工から120年が経ち、建物も老朽化。先日の台風の際に浸水被害があったりしました。そこで、この秋から大規模な改修工事が始まり、長期休館となります。

館内に張り紙がありましたので、要点をまとめておきます。

●休館期間は「平成26年9月8日~平成28年3月(予定)」ほぼ1年半。
●この間、「青銅器館(坂本コレクション)」は無料で閲覧可
●9月17日~12月7日までは、奈良博の「庭園」と「仏教美術資料研究センター(関野ホール)」を無料特別公開。ただし、「第66回正倉院展」の会期中は除く(10月24日~11月12日)
●地下回廊では特別企画「正倉院展ポスター 昭和22-昭和63」を開催。ミュージアムショップ、レストランは通常どおり営業

「なら仏像館」は素晴らしい仏像の宝庫ですから、ぜひ醍醐寺展と合わせて、休館に入る前に観ておくといいですね。

個人的に悩んでいるのが、今年は1年間有効の「パスポート」を購入するかどうかです。これを持っていると色んな特典が受けられるのですが、その中でももっとも魅力的だったのが、「なら仏像館の「名品展」は何度でも観覧できる」というものでした。今年はどうしようか……。


特別展 国宝 醍醐寺のすべて@奈良国立博物館-04

なら仏像館は「平成26年9月8日~平成28年3月(予定)」の間、1年半の休館となります。その代わりとなる企画も楽しみですが、仏像好きな方は今のうちに拝観しておくといいでしょう



■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp/index.html
住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
休館日: 月曜日(休日の場合は翌日休み)
観覧料: 平常展 大人500円、大学生250円、高校生以下は無料(特別展の料金はその都度決定)
駐車場: 周辺の有料駐車場を利用
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)


●特別展 国宝 醍醐寺のすべて ―密教のほとけと聖教―

HP: http://daigoji.exhn.jp
会期: 2014年7月19日(土)~9月15日(月祝)
休館日: 毎月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)
開館時間: 9:30 - 18:00(なら燈花会期間中と毎金曜日は19時まで)
拝観料: 大人 1,500円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 500円


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