2013-07-26

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり

標高約800メートルの山間の村『野迫川村(のせがわむら)』へ行って来ました。地域の大きなイベント「平維盛の大祭」の前日という最悪のタイミングでしたが、維盛ゆかりの塚へお詣りしたり、素晴らしい泉質の温泉へ入ったり、地元の方のお宅の涼しい縁側でコーヒーのご接待をいただいたり、満喫してきました!


標高約800メートル。人口500人未満の村です

人口500人未満と、奈良県内でもっとも人口が少なく、標高約800メートルの高地にある山間の村「野迫川村(のせがわむら)」(Wikipedia)。

個人的な話になりますが、私はこんなブログを何年も続けていますので、奈良県内の色んなところへ行ってきましたが、この野迫川村だけはこれまで一度も立ち入ったことがありませんでした。現在、奈良県には「12市15町12村」、計39の市町村がありますが、この日、野迫川村へ行ったことで、ようやくすべて立ち寄ったことになります。

これまで野迫川村へ行く機会がなかったのは、その立地のためです。奈良県五條市と和歌山県高野町の間に位置し、幅の狭い山道を通る場所も多いため、何かのついでに通るようなものでもありません。そこで、今回は野迫川村を目的地として、高野山を素通りしてまで目指してみました(笑)

ただし、この日はたいした下調べもせず、思いつきで出かけてしまったのですが、この翌日には野迫川村でもっとも大きなお祭り「平維盛の大祭」が催されるため、村中がその準備でバタバタしているという、最悪なタイミングでお邪魔してしまいました……。その分だけやや騒々しい感はありましたが、それでものんびりとした村でしたね。


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-24

2013年の「平維盛の大祭」のポスター。山間で3000発もの花火が打ち上げられ、音がこだましてとても迫力があるのだとか。人口480人ほどの小さな村に、この日ばかりは人口の数倍もの観光客が押し寄せる、大きなお祭りなのだそうです。私たちはうっかりその前日に行ってしまったものですから、どことなく場違いでした(笑)


野迫川村の観光名所・特産品あれこれ

野迫川村の観光や特産品について、「野迫川村Facebookページ」を拝見すると、以下のような情報が見つかります。

【観光】立里荒神社・伯母子岳(世界遺産熊野参詣道小辺路)・奥高野野迫川温泉・平維盛歴史の里・野川弁財天・鶴姫公園

【特産】あまご・わさび・しいたけ・凍りとうふ

なお、標高約800メートルの高所にあるため、夏は避暑地となり、冬は雪深いため「奈良県の北海道」と呼ばれているのだとか!この日も外界は真夏の暑さでしたが、野迫川村の空気はとても涼やかで、汗一つかきませんでした。

この日は日帰りだったため、駆け足で村内を移動した程度で詳しく見て回れませんでしたが、野迫川村の観光スポットに関しては、奈良のアルファブロガー鉄田さんの「野迫川村観光名所 ぶらり旅」の記事に詳細にまとめられていますので、ぜひご覧ください!


美貌の貴公子が隠れ住んだ『平維盛歴史の里』

野迫川村には、平清盛の孫・平維盛(これもり)が最期を遂げた場所であるという伝承が残されており、『平維盛歴史の里』という施設があります。


平 維盛(たいら の これもり)は、平安時代末期の平家一門の武将。平清盛の嫡孫で、平重盛の嫡男。

平氏一門の嫡流であり、美貌の貴公子として宮廷にある時には光源氏の再来と称された。治承・寿永の乱において大将軍として出陣するが、富士川の戦い・倶利伽羅峠の戦いの二大決戦で壊滅的な敗北を喫する。父の早世もあって一門の中では孤立気味であり、平氏一門が都を落ちたのちに戦線を離脱、那智の沖で入水自殺した。

平家の嫡流であり、一門きってのイケメンとして知られていますが、大事な合戦で大敗を喫するなど、武将としての能力は疑問視されている方ですね。那智で入水自殺したとありますが、これは源氏の平家狩りから身を守るための狂言で、実は熊野山地へ逃げおおせて、野迫川村で最期を迎えたという伝承があるそうです。

維盛塚の近くにあった「平維盛塚由来記」には、以下のように説明されていました。

一の谷の合戦の敗れた平家は、平維盛は熊野水軍の援軍を求めるため、現在の和歌山県田辺市へ向かった。援軍は断られるが、この地で姫を娶り、源氏の追討から匿われた。1189年に源頼朝の命で平家狩りが行われ、奥熊野へ逃れる。1216年、京へ向かう途中で野迫川村へ到着。この地に30余年とどまり、1219年、61歳で没す。

歴史のロマンを感じますが、翌日の「平維盛の大祭」の会場となるため、舞台設営の方が多数いらっしゃったり、資料館は閉まっていたりと、とてものんびり拝見できる状態ではありませんでした…。また日を改めて行きたいと思います!


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-01

『平維盛歴史の里』にある丘。この頂上に「維盛塚」があります。

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維盛塚。「小松三位左中将 平維盛」とあります。春になるとすぐ脇に植えられた桜が咲いて、とても美しいのだとか

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現地にあった「平維盛塚由来記」。源氏の追手を逃れた維盛が、この地に30年以上とどまり、61歳で亡くなったことが記してあります

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-04
丘の頂上からの眺め。資料館などがありますが、お祭り準備のためかこの日は閉鎖されていました

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立派なステージが作られていました。お祭りの当日はさぞ賑やかだったでしょうね。この日はお会いした方全員から「明日いらっしゃれば良かったのに!」と言われつづけました(笑)


日本三大荒神社の一つ『立里荒神社』

また、野迫川村といえば、「日本三大荒神社」の一つとされる『立里荒神社(たてりこうじんじゃ)』はお詣りしておきたいですね。

立里荒神社は、高野山を開山する際に弘法大師空海が勧請した歴史あるお社で、竃(かまど)の神さまとして、料理人や旅館業の方々から篤く信仰されています。また、長い石段にそって奉納された鳥居がずらりと連なっている光景は見事ですから、ぜひご覧ください!


荒神社(立里荒神社)@野迫川村-10

『立里荒神社』の石段部分。鳥居が並ぶ光景というと、やはり京都・伏見稲荷大社が有名ですが、あちらは赤で、こちらはシンプルな木の風合いですから、だいぶ雰囲気が違いますね。高野山の奥社らしい、厳しく引き締まった雰囲気が感じられます


強アルカリ性のぬるぬるのお湯『ホテルのせ川』

奥高野 野迫川温泉の『ホテルのせ川』さんで日帰り入浴してきました。

ここのお湯は、「PH10.4」という強アルカリ性で、ぬるぬると肌に絡みつくような泉質です。浴室はそれほど広くなく、通常の温泉とぬるめの源泉のみですが、これを交互に入っていたらいつまででも楽しめますね。窓から川の流れも見られますし、とてもいいお風呂でした。

また、ホテルには「お食事処 伯母子亭」という、宿泊者以外も利用できる食堂があります。特産のアマゴを使った「アマゴ定食(@1,500円)」や、うどんなどの軽食もいただけるそうです。野迫川村には飲食施設はあまりありませんので、覚えておくといいですね。


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-06

ホテルのせ川』さんの建物。建物に向かって右手の入り口が宿泊者用、左手が日帰り入浴などの方用です

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-07
左手の「ふるさと山の交流館」と書いてある入り口をくぐると、日帰り入浴の受付とお食事処があります。浴場は2階の奥。それほど広くはありませんが、とてもいいお湯でした!


■ホテル のせ川

HP: http://www.hotel-nosegawa.jp/
住所: 奈良県吉野郡野迫川村北今西426
電話: 0747-38-0011
入浴料: 大人600円、小学生300円


季節の変わり目には「雲海」も見られます

また、野迫川村の観光マップを見ると、何箇所か「雲海景勝地」という場所があります。雲海とは、山々の間を雲が広がる様子を見晴らすこと。標高の高い野迫川村は、雲海を見るのに最適な環境が揃っているのだとか。

この日は薄曇りでしたが、雲海は季節の変わり目(9月末~11月中旬、6月初め~7月)の早朝に発生しやすい(参考サイト)そうですので、狙ってみるといいですね。

その他、北国をイメージする「白樺」の林があったり、ホタル生息地やキャンプ場、アマゴの養殖池があったりと、自然がいっぱいですね。夏の避暑地としてぜひ!


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-11

野迫川村には、何箇所か視界が開ける「雲海景勝地」とされる場所があります。場所によって見え方は違うと思いますが、こうした山々の間を雲が埋め尽くす幽玄な光景が広がるとか!ぜひ観てみたいですね

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-12
雲海を見るには早朝が狙い目です。いつかぜひ観てみたいですね!

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-13
北国や高原のイメージの木「白樺」の林もあります。空気が冷涼なんですね。野迫川村では、冬になると「樹氷」が見られるとか!

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-08
野迫川村でアウトドアスポーツやキャンプが楽しめる『アドベンチャーランド』。キャンプや川遊び、さらに4WDジープの体験走行や川下りツアーまで楽しめるとか!ホームページが懐かし系でいい雰囲気です(笑)

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-09
アマゴの養殖池。この辺りにたくさん見られました。私も数回しか食べたことがありませんが、アマゴは川魚の中でも肉厚で濃厚で、本当に美味しいんですよね!ぜひ体験して欲しいグルメです

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-10
きれいな川には「ホタル生息地」の看板がありました。のどかな川辺はいいですね。川の中に足を浸したら気持ちよさそうです!

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-14
2011年の「紀伊半島大水害」の傷跡はまだ残っています。道路などは完全に修復されていますので、通行に支障はありません


縁側でコーヒーのお接待をいただきました

こんな感じで、野迫川村をうろうろした私たちですが、実は地元の方のどっしりとした民家へ偶然招いていただいて、縁側で美味しいコーヒーをいただいたのが、一番の思い出になりました!

その民家は、ここのお母さんが生まれ育った建物で、いかにも日本の田舎の建物らしいどっしりとしたものです。村全体で過疎化が進んでいるため、その集落も人気がなくなってきているそうですが、お祭りの前日ともなると、よそへ引っ越した方々も里帰りしてきて、とても賑やかになるのだそうです。そう考えると、野迫川村の「平維盛の大祭」は、この地域のひと足早いお盆のような役割も果たしているんですね。

こんな古い民家を拝見する機会はあまりありませんので、不躾にもじろじろと建物を拝見しましたが、とても面白いんですよね。軒を伸ばすために、寺院建築でよく見られる組物のようなものが作られていたり、釘の代わりに木材で止めてあったり、興味は尽きませんでした。

お母さんから、昔の野迫川村の話や、災害の時に一人で援助物資を持って来た話、大祭の時には賑やかになる話など、色んな楽しいお話を伺えました。本当にありがとうございました!


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-15

渋い渋い民家。築60年以上であることは確実で、建築士さんから「まだまだ大丈夫」と診断されているそうです

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-16
縁側から玄関側。河瀨直美さんの映画に登場しそうな雰囲気ですよね!

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-17
軒を先へ伸ばすために、こんな作りになっています。長い竹をぶら下げて、ここに洗濯物や野菜などを干したのかもしれませんね

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-18
角の部分。まだまだしっかりしていそうですね

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この縁側に座らせていただきました。風が涼やかで心地いいんですよね。前の夜、下界ではアイスノンで頭を冷やさないと眠れないくらいの熱帯夜でしたが、そんな熱気とは無縁のようです

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-20
赤いお盆にお水。この後、インスタントコーヒー嫌いなお母さんが、ちゃんと美味しいコーヒーを淹れてくれました。見ず知らずの私たちに、本当にありがとうございました!

平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-21
『平維盛歴史の里』の近くの民家。どこのご家庭も当然のように薪が積んであります。さすがですね!


野川弁財天や山葵など、見どころいっぱいです

なお、この日は立ち寄れませんでしがた、野迫川村で行ってみたいところは、他にもいくつかありました。

●弘法大師が彫ったと伝わるご本尊「大弁財天女像」を祀り、「野川の弁天さん」として親しまれる金運の神さま『野川弁財天』。

●高野豆腐の産地だった歴史を伝える『高野豆腐伝承館』。高野山に近く気候があったため、1860年から高野豆腐造りが始まりましたが、昭和初期に機械製造におされて今は作られていないのだとか。パネル展示や豆腐作り体験などができるそうです。

●世界遺産「熊野参詣道小辺路」に登録されている「伯母子岳(おばこだけ)」への登り口があります

●実はこの日は、野迫川村の特産品「わさび」を購入しようと思っていたのですが、時期が合わなかったこと、そして水害の際にわさび畑も被害にあってしまったことなどから、手に入りませんでした。いつか必ず食したいと思います!


平維盛や温泉、素敵な縁側など!『野迫川村』めぐり-22

高野山から車で30分ほどで野迫川村へ到着します。ぜひ合わせてどうぞ!



大きな地図で見る


■野迫川村

HP: http://www.vill.nosegawa.nara.jp/
住所: 奈良県吉野郡野迫川村北股84(野迫川村役場)
電話: 0747-37-2101
アクセス: 南海「高野山駅」から車で35分ほど

Facebook: https://www.facebook.com/nosegawa.vill


■参考にさせていただきました

野迫川村 - Wikipedia
野迫川村観光名所 ぶらり旅 - tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」


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