2011-02-01

古い奈良が蘇る『奈良名勝全図』『奈良名勝漫遊三日の旅』

古い奈良が蘇る『奈良名勝全図』『奈良名勝漫遊三日の旅』

世の中には「古地図」がお好きな方は多く、NHKで放送されている「ブラタモリ」なども人気番組になっています。そこで、私も古地図ではありませんが、餅飯殿商店街の「絵図屋」さんで手に入れた、今から100年前の観光地図『奈良名勝全図』と、今から70年ほど前(1937年)の奈良の観光絵図を復刻した『奈良名勝漫遊三日の旅』を素材として、その昔の奈良の様子を偲んでみました。


100年前の奈良市内観光マップが楽しい!

もちいどの商店街にある、奈良のキャラクターグッズを販売するお店『絵図屋』さん(←アクセスすると音楽が流れますのでご注意ください!)。こことかこことか、これまでにも何度かご紹介してきました。

久々に店内へ入ってみると、何故かいきなり「奈良名勝全図」という古い観光地図が販売されていました。絵図屋の経営は「株式会社明新社」さんという印刷会社ですから、そこに眠っていたデータなのかもしれませんね。

このマップは、明治41年(1908年)に作られたもので、奈良市内の猿沢池・興福寺・東大寺・春日大社などを中心に、白毫寺や般若寺の辺りまでを描いています。今からほぼ100年前の奈良の姿が見られてワクワクします(笑)

もちろん、喜んで一枚購入してきましたが、横幅が45cmほどの大きさで、お値段はわずか「315円」というお手頃価格です!マニアな方はぜひお買い求めください!


奈良名勝全図@絵図屋-01

明治41年(1908年)に作られた「奈良名勝全図」。今から100年前の奈良の様子が分かります

奈良名勝全図@絵図屋-02
マップの向かって右下に、デカデカと大仏さんの姿が描かれています。今も昔も、奈良といえば大仏さまだったんでしょうね。欄外には「明治四十一年一月五日印刷(初版)」とあります

奈良名勝全図@絵図屋-03
東大寺の大仏殿周辺。この辺りは、今も100年前もそれほど変わっていませんね

奈良名勝全図@絵図屋-04
興福寺周辺。現在再建中の「金堂」の姿があります。調べてみたら、1908年当時は、やや小さめの建物が仮再建されていた頃でした。1871年に国に没収され警察署などとして使われた後、1883年に返還されたそうですから、その後の姿ですね。その向こう側に見えるのは、(おそらく)奈良県庁、武徳殿、郡役所、師範学校、奈良病院など。現在の県庁周辺とはだいぶ様子が違いますね

奈良名勝全図@絵図屋-05
猿沢池周辺の様子。菊水楼や奈良ホテルは、もちろんこの当時からあります。旅館では大佛館、吉田屋、飛鳥荘、枕流亭、かま庄、まつたけや、ますやなどの文字が見えます。奈良市役所もこの辺りにあったんですね

奈良名勝全図@絵図屋-06
春日大社周辺の様子。紀寺町や白毫寺村といった名前が見えますが、基本的にうっそうとした森のように描かれています。正確さは期待できない観光絵図ですから、そのまま比較はできませんが、この100年間でたくさんの民家が建ったんでしょうね


■ならクターショップ 絵図屋

HP: http://www.ezuya.jp
住所: 奈良県奈良市橋本町36番地
電話: 0742-23-3131
定休日: 不定休
営業時間: 10:00 - 19:00
駐車場: なし
アクセス: 近鉄「奈良駅」から徒歩4分


1937年の奈良の観光絵図も復刊されました

そして、全く別の場所ですが、1937年(昭和12年)の奈良の観光絵図『奈良名勝漫遊三日の旅』というものも復刻されています。

2010年10月の発売で、私はすぐに手に入れていたのですがご紹介が遅れてしまいました。戦前の奈良の観光名所を案内した名所ガイドなんですが、これが面白いんですよね。



 平城遷都1300年祭で盛り上がる奈良の観光地は、戦前はどんな様子だったのか。写真集の出版や画像処理などを行うデジタル夢工房(奈良市内侍原町)代表の豊田定男さん(70)が、1937(昭和12)年に発刊された観光絵図「奈良名勝漫遊三日の旅」を復刻した。登場する観光スポットに時代を感じたり、すでになかったり。「今と比較しながら歩いてみては」と勧めている。

 豊田さんは2年前、知人の画家の家で手のひらサイズの観光絵図を見つけた。黄ばみや染みで読みにくいところもあったが、東大寺の大仏や鹿苑(ろくえん)の鹿など今と変わらない奈良を描いていた。一方、一突き5銭の東大寺の鐘突き体験など今と違う光景や、猿沢池のほとりで毎年夏に開かれた「元検ビヤホール」や「あやめ池遊園地」など、すでになくなったものも描いていた。

 豊田さんは「きれいな形で見たい」と、パソコンに取り込んで画像修正を開始。画像を3倍ほどに引き伸ばし、黄ばみや染みを丁寧に取った。1年ほどで完成したものを友人に見せると好評で、京都市の発行者や発行所とは連絡が取れなかったため、2千部限定で自費出版した。

奈良名勝漫遊三日の旅|大和路を気ままに散歩(発行者さんのブログです)

復刻出版 70年前の奈良名勝漫遊3日の旅 | なら散策日記【鹿と亀と猫と犬の日々】(分かりやすくまとまった記事です)


奈良名勝漫遊三日の旅-01

昭和十二年発行の奈良の観光絵図を復刊した『奈良名勝漫遊三日の旅』。「古都奈良の昭和ロマンここに蘇る」とあるように、戦前の奈良の様子がいきいきと描かれています


今も昔も、奈良は意外と変わっていません

今から70年も前のことですから、人々の生活もピンと来ませんが、奈良のバス料金が一回あたり五銭。「帝室博物館、大佛殿、春日賓物館、興福寺金堂 各十銭、三月堂内陣 五十銭」という時代だったようです。

もちろん、今と全く違う点もありますが、基本的な部分は意外なほど変わっていないんですよね。あまりの変わらなさに、「さすが奈良!」と感心してしまうほどです(笑)

巻末の資料なども含めて全47ページあり、その中から何枚か印象に残ったページをご紹介しておきます。とても貴重な資料だと思いますので、興味のある方はぜひ探してみてください。


奈良名勝漫遊三日の旅-03

最初は奈良駅から。現在は「奈良市総合観光案内所」となっている旧JR奈良駅舎でしょう。ちなみに、駅舎の竣工が1934年、この観光案内が1937年です

奈良名勝漫遊三日の旅-04
猿沢池と采女神社、興福寺五重塔。この辺りはそれほど変わっていないような気もしますが、意外と着物姿の方が多いですね

奈良名勝漫遊三日の旅-05
鹿寄せの様子。ホルンではなく、ストレート型のラッパが使われています

奈良名勝漫遊三日の旅-06
東大寺の大鐘も、この当時は「一つき五銭」だったようです。今では考えられないですね

奈良名勝漫遊三日の旅-07
大仏さまはお変りなく。大仏殿の柱くぐりも当時からあったんですね

奈良名勝漫遊三日の旅-08
東大寺近くにあり、なら燈花会のメイン会場になる「春日野園地」の様子。戦前は「公会堂の西北にある面積八千百二十五坪の春日野大グランド」でした。プールまであります!

奈良名勝漫遊三日の旅-10
「奈良名物」のページ。張子の鹿、一刀彫、百万塔、あられ酒、奈良漬、奈良団扇、蚊帳、漆朱塗、筆墨。張子の鹿の素材がビニールになったくらいで、今とほぼ変わっていませんね

奈良名勝漫遊三日の旅-11
猿沢池の湖畔には、芸子さんつきの大衆向けビヤホールがありました


■奈良名勝漫遊三日の旅

・HP http://ameblo.jp/d-yumekobo/
・販売価格 1,000円
・販売店は、奈良国立博物館、啓林堂書店 6店舗、若草書店、豊住書店、奈良町情報館、まちや工房奈楽
・発行者さんから直接買い求めることもできます
 ( 0742-24-7009 または info@d-yumekobo.com )






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