元興寺創建1300年記念『国宝禅室 屋根裏探検』参加しました
奈良市の世界遺産寺院『元興寺』で開催中の「国宝禅室 屋根裏探検」。普段は非公開の国宝建築「禅室」の、屋根裏に上って探検できるという贅沢な企画で、建築好きな私には夢のような時間でした。
屋根の表面に「行基葺き」の瓦が使われているだけではなく、建物内部にも飛鳥時代の古材が使われているんですね。感動しました!
国宝建築物の屋根裏にのぼれます!
元興寺が飛鳥から平城京へと移ってきて、2018年で1300年の節目を迎えます。これを記念して、2010年の「平城遷都1300年」に実施して以来、8年ぶりに「世界遺産元興寺 国宝禅室 屋根裏探検」が開催されています。
※【前期】2018年6月16日(土)~7月16日(月・祝)
※【後期】2018年10月13日(土)~11月11日(日)
普段は非公開の国宝建築「禅室」の中に入れるどころか、ヘルメットを着用して屋根裏に上がり、懐中電灯を片手に建築部材などを詳しく拝見できる貴重な機会です。ワクワクしながら行ってきました!
ならまちの世界遺産寺院『元興寺(がんごうじ)』。593年に飛鳥に創建された、日本最初の本格寺院「法興寺」が、平城京へ移ったものが「元興寺」に、飛鳥の地に残ったものが「飛鳥寺」となりました。2018年は平城京へ移って1300年の節目の年にあたり、さまざまな催しが企画されています
現在の元興寺は、本堂の「極楽堂」(曼荼羅堂。向かって右)と「禅室」が主な堂塔となります。もちろん、いずれも国宝に指定されています。後に大きく改造されていますが、飛鳥の法興寺からも一部の建築は移築されたと考えられています
ちなみに、こちらは2016年に開催されたイベントの時の画像です(詳しくはこちら)。「行基葺き(ぎょうきぶき)」と呼ばれる方法で葺かれた瓦を間近に拝見できるもので、禅室に今なお使われる飛鳥時代や奈良時代に焼かれた瓦を見て感激しました!
そして、こちらが今回の「世界遺産元興寺 国宝禅室 屋根裏探検」のチラシです。国宝建築物の屋根裏に入れるなんて機会は滅多にありません。私は平城遷都1300年祭のときに参加しそびれていたので、この日を待ちわびていました!
飛鳥~鎌倉時代まで。歴史が詰まっています
国宝「禅室」の内部は、普段は非公開です。受付でヘルメットと懐中電灯を貸り、奥(西側)の第三室のところに組まれた仮設階段から屋根裏へと上がります。ちなみに、屋根裏探検は事前予約制ですが、空きがある場合は当日でも受け付けてもらえます
仮設階段を上がったところ。屋根裏の真ん中に仮設の通路がまっすぐ伸びています。今回用に新たに組んだものではなく、平城遷都1300年のときに組んでそのままにしてあったようです
ボランティアガイドさんのご説明を聞きながら進みます。まず真上に「昭和修理 上棟時の墨書」とあり、上を見てみると、
昭和25年(1950年)の墨書があります。いただいた資料によると、昭和18年(戦時中の1943年!)に禅室と極楽堂などの解体修理が行われたとか。敗戦や戦後の混乱もあって、7年間もかかったのかもしれません
屋根裏には、古い建築資材やこんなお厨子なども遺されています。貴重な建築部材をとっておく必要もあり、物置としての利用されたのでしょう
梁が低いので腰を折りながら進みます。注意していても何度も頭をぶつけましたので、ヘルメットのあごひもをしっかり締めておきましょう(笑)
奈良時代の材を使った「大梁(おおばり)」なども目の前に。ずっと屋根裏にあったためか、あまり古さを感じさせません
第一室の東側(極楽堂の側)の壁面。鎌倉時代の「蟇股(かえるまた)」や、上面に面取り(笹繰)がしてある、貴重な奈良時代の「肘木(ひじき)」などが見られます
鎌倉時代の「上虹梁(かみこうりょう)」と「板蟇股(いたかえるまた)」など。飛鳥時代から白鳳・奈良・平安・鎌倉時代まで、さまざまな時代の材が使われていて、何度も修理を繰り返してきた歴史を感じさせます
土壁の一角にさっと描かれた一羽の鶴。昭和の大修理の際に、コテの先端を使って描かれたらしいとのことです。この他にも、表面がデコボコに削られた材などもあり、職人さんの存在がリアルに感じられました
梁の裏側にこっそりと描かれた、1機の飛行機と、その下に富士山らしき山。鏡で反射させると見えます。昭和の戦時中に描かれたもので、飛行機は零式の水上艇だとか。見事なものですが、こういう遊び心は現代では許されないんでしょうね(笑)
屋根裏探検は、トータル30分ほどです。禅室の広間を使って、元興寺に伝わる古材の展示なども行われています
かつての禅室の様子を再現した模型。今とはだいぶ様式が変わっていることがわかります。模型の屋根裏をライトで照らしてみたりすると、「いまここを歩いてきたんだ!」と感動しますよ!
屋根裏探検に参加すると、わかりやすいパンフレットもいただけます。帰ってからゆっくり復習できて嬉しいですね
浮図田のハルシャギクとキキョウも見頃
また、この時期の元興寺では、石仏や石塔が田んぼのように並ぶ「浮図田(ふとでん)」に、黄色いハルシャギクと、青いキキョウが咲き誇ります。とても風情ある光景ですので、ぜひご覧ください!
■元興寺
HP: https://gangoji-tera.or.jp/
住所: 奈良県奈良市中院町11
電話: 0742-23-1377
宗派: 真言律宗
本尊: 智光曼荼羅(重要文化財)
創建: 593年
開基: 蘇我馬子
拝観料: 大人500円、中高校生300円、小学生100円
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 無料駐車場あり(拝観者のみ)
アクセス: JR奈良駅から徒歩20分、近鉄奈良駅から徒歩10分
■特別公開 世界遺産・元興寺 国宝禅室「屋根裏探検」
【前期】2018年6月16日(土)~7月16日(月・祝)
【後期】2018年10月13日(土)~11月11日(日)
料金:1,000円(元興寺拝観料は別途必要)
問合せ先:0742-22-3900(奈良市観光センター)
※事前予約制です。空きがある場合は当日直接行っても受け付けていただけます。
※実際に拝見したのは「2018年6月28日」でした。
■参考にさせていただきました
飛鳥時代の古材を間近に 奈良・元興寺の国宝・禅室で「屋根裏探検」 来月16日から - 産経WEST
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