2015-12-07

春日若宮おん祭の始まりを告げる『大宿所祭』@大宿所

春日若宮おん祭の始まりを告げる『大宿所祭』@大宿所

1136年から途切れることなく続けられている、春日大社の摂社・若宮神社の祭礼『春日若宮おん祭』(12月15日~18日)。その始まりを告げるのは、15日の「大宿所祭(おおしゅくしょさい)」です。もちいどの商店街の真ん中の「大宿所」で催され、所作の美しい「御湯立」などが行われます。魚や雉やお供え「懸物」や、おん祭で使用される装束がずらりと並んでいたり、見るものすべてが美しかったです!

(※2014年12月15日に拝見したものです)


1136年から続く「春日若宮おん祭」

国重要無形民俗文化財『春日若宮おん祭(かすがわかみやおんまつり)』(Wikipedia)は、春日大社の摂社「若宮神社」の祭礼です。

若宮に祀られているのは「天押雲根命」(あまのおしくもねのみこと)。春日大社の第三殿「天児屋根命」、第四殿「比売神」の間に誕生した御子神で、1003年に姿を現されました。1135年、時の関白・藤原忠通が、現在の春日大社本殿の南側に神殿を造営し、翌年の1136年から例祭おん祭が始まります。それ以来、大和一国を挙げるお祭りとして、ずっと途切れること無く続けられています。

おん祭は、毎年12月15日の「大宿所詣」から始まり、17日をメインとして、18日の「奉納相撲・後宴能」で終わります(参考「おん祭り特集|奈良市観光協会」)。

12月17日の午前0時から、若宮神が若宮本殿からお旅所へ移る儀式「遷幸の儀(せんこうのぎ)」が催されます(紹介記事)。お旅所の若宮神のものに、時代装束を着た芸能集団が参じる「お渡り式」(紹介記事)が行われ、次々と伝統芸能を奉納。若宮神にたっぷり1日お楽しみいただいて、日付が変わる前にまた本殿へ戻る「還幸の儀」が行われます。


大宿所は大和士たちが精進潔斎する場所

春日若宮おん祭の始まりを告げる行事が、12月15日の「大宿所祭(おおしゅくしょさい)」です。

おん祭の中心となる「大和士(やまとざむらい)」らが身を清めるための祭で、もちいどの商店街の真ん中にあり、普段は立ち入れない「大宿所」(旧遍昭院趾)で行われます。

●13時から「大宿所詣(おおしゅくしょもうで)」。大和士たちが大宿所に入ります
●14時半・16時半・18時の3回、湯立巫女による「御湯立(みゆたて)」が行われます
●17時から御殿の中で「大宿所祭(おおしゅくしょさい)」が行われます

大宿所では、大和国内の諸大名から献じられた雉や兎のお供え「懸物」が並んでいたり、おん祭で使用される装束がずらりと並んでいたり、おん祭の名物料理「のっペ汁」の振る舞いがあったり。見るものすべてが珍しく、とても楽しかったです!


春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-01

近鉄奈良駅から近い「もちいどの商店街」の真ん中、普段はひっそりとしているエリアが「大宿所」です。880年近く続くお祭りが、商店街の一角から始まると考えるとすごいことですよね

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-02
大宿所の入口部分。私たちは16時ごろに到着しました。13時から「大宿所詣」が、14時半には1回目の「御湯立」が行われた後のため、比較的空いていました

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-03
大宿所の中央には「御湯立(みゆたて)」の準備がしてあります。お湯を使って邪を祓うというような意味合いのもの。3回それぞれに意味合いがあって、「15日午後2時半からは地元各商店街による大宿所詣行列の為に、午後4時半からは旧儀による大和士の為に、また午後6時からは一般参拝者の為に「御湯」が立てられる。」とのことです

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-04
大宿所には、おん祭で使用されるさまざまなものが間近で見られます。高貴な方が乗車する「唐車」のようなものもありました

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-05
お渡り式の時にも見られる、長い「野太刀」も並んでいます

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-06
こちらは、ずらりと吊るされた「懸物(かけもの)」たち。大和国内の諸大名から奉納された雉・兎・魚などが吊るされていましたが、現在は地元の方が献納しているそうです。当日は子供たちが囃す「センジョ(遍昭)行こう マンジョ(万衆)行こう センジョの道に何がある 尾のある鳥と尾のない鳥(兎)と センジョ行こう マンジョ行こう」という曲が聞こえてきますが、この懸物のことを歌っているのだとか

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-07
ちなみに、現在は雉(きじ)はフェイクのものが吊るされています(うさぎは吊るされていないはず)。鯛や鮭はどうやら本物を使用しているようです

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-08
御湯立には誰もが参列できますが、がん除け・ぼけ封じなどのご祈願もお願いできるそうです。こちらではお守りなどとともに、湯立巫女が腰に巻いている「サンバイコ」を授与していただけます。安産の霊験があるとされていますので、覚えておくといいですね

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-09
テントで振る舞われていた、おん祭の名物ともいえる「のっぺ汁」。上品なお味で本当に美味しかったです。12月の寒空の下で行われるため、体の隅々まで染み渡りました!

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-22
大宿所の広間には、おん祭の装束がずらりと並べられています!壮観ですね。左側の棚の上に並べられた、龍を描いた被り物などがおん祭ならでは。単なる時代行列ではない、歴史の重みを感じます。ちなみに、ガラス越しに室内を覗き込むため、夜のほうが見やすいです

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-23
お隣の部屋には鎧兜も。一番端の兜には、鹿の角がつけられています。あまり強そうなイメージはありませんが、春日さまの使いである鹿の神威を借りたのでしょうか。奈良っぽくていいですね!


所作も祝詞も美しい「御湯立」の儀式

御旅所祭で催される「御湯立(みゆたて)」は、独特の所作や祝詞があり、目にも耳にも美しく感じられます。やや長めの動画がアップされていましたので、時間がある方はぜひご覧ください。


【動画】春日若宮おん祭 御湯立神事

「伊勢は神明天照皇太神宮様の花の御湯(おんみゆ)なーり」 「左右左(さようさ)、左右左、左右左」 「南は蔵王権現様の花の御湯なーり」 「左右左、左右左、左右左」

こう言いながら、熊笹で湯を天にまくような所作を繰り返します。

この儀式を中心となる「湯立巫女」は、加奥満紀子(かおくみきこ)さん。おん祭の御湯立は、明治時代から途絶えてしまっており所作や祝詞が分からなくなっていました。それが大和郡山市若槻町の加奥家にほぼ同じ形で伝わっていることが判明。それ以来、加奥家が執り行っています。一族の中の娘を巫女(ソノイチ、ソネッタン)としてこれを伝え、現在では加奥満紀子さんのみがこれを継承しているそうです。

湯立神事は他の神社でも行われていますが、やはりそれぞれの所作があるのでしょう。興味深いですね。


春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-10

春日若宮おん祭の「御湯立(みゆたて)」は、14時半・16時半・18時の3回行われます。これは16時半からのもの。何重にも人垣ができていましたので、近くでご覧になりたい方は早めに準備しておくといいでしょう

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-11
湯立巫女の加奥満紀子さんが登場します。詳細は省きますが、祝詞をあげ、大釜に沸かした湯に酒を注いだり、お米を入れて清めたりします

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-12
御幣と鈴で清めたり……

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-13
熊笹に持ち替えて……

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-14
湯を天へ撒くように振ります。この時の祝詞が「左右左(さようさ)」。とても印象的で心地よく、ずっと耳に残ります。古くから伝わるものや言葉には、慰撫されるような背筋が伸びるような不思議な感覚がありますよね

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-15

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-16

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-17
参列者の頭上で鈴と笹を降り、みなを清めてくれます。低頭してありがたくいただきましょう


17時からは御殿の中での「大宿所祭」

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-18
17時から、御殿の中へ場所を移して「大宿所祭(おおしゅくしょさい)」がとり行われます。一般の参列者は入り口のすぐ近くから見学できます

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-19
祝詞が奏上され、神楽が奉納されます

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-20

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-21

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-24
日が落ちてどんどん寒くなっていきますので、暖かい格好でお出かけください!


奈良博「おん祭と春日信仰の美術」のぜひ!

春日若宮おん祭『大宿所祭』2014-25
春日若宮おん祭の期間に合わせて、奈良国立博物館では「特別陳列 おん祭と春日信仰の美術」が開催されています(2015年12月8日~2016年1月17日)。おん祭とはどうような歴史を持つのか、春日信仰とはどのようなものなのかなど、とても理解しやすくなりますので、できればおん祭の前にご覧になるといいでしょう


■春日若宮おん祭

HP: http://www.kasugataisha.or.jp/onmatsuri/
会期: 毎年12月15日~18日

※実際に拝見したのは「2014年12月15日」でした


■春日大社

HP: http://www.kasugataisha.or.jp/
住所: 奈良県奈良市春日野町160
電話: 0742-22-7788
主祭神: 武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神
創建: 768年
開門時間: 9:00 - 17:00(宝物殿・神苑)
入場料: 萬葉植物園 500円 など
駐車場: 有料駐車場あり
アクセス: 近鉄奈良線「奈良駅」から徒歩約25分。または、奈良交通バス「春日大社本殿行」で10~15分


■参考にさせていただきました

厳かに「御湯立」 - おん祭始まる | 総合 | 奈良新聞WEB
春日若宮おん祭 大宿所詣~御湯立|ドット模様のくつ底
春日若宮おん祭 - Wikipedia
おん祭り特集|奈良市観光協会


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