2013-07-30

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博

奈良国立博物館で開催中の特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』(~2013年9月16日まで)へ行ってきました。仏像の展示が充実している奈良博による仏像系の特別展ですから、とても期待していましたが、さすがの充実っぷりでした。仏像や仏画、曼荼羅などをまじえ、服・髪・色・素材などで分類して分かりやすく伝える、とても楽しい展示でした。


仏像の「かたち」に注目した、内容充実の特別展

奈良国立博物館で開催中の特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』(2013年7月20日(土)~9月16日(月祝))へ行ってきました。


 仏像には色々な種類がありますが、普通の人間とは異なる、どこか超越的なすがたをしています。たとえば、独特の髪形や服の形、顔や手がたくさんあるもの、そして優しい顔や厳しい顔、恐ろしい鬼のような形相の仏像もあります。体の色が金色であったり、衣服に華麗な文様があらわされていたり、豪華な台座にすわったきらびやかな仏像もあります。

 この展覧会は、絵画や彫刻であらわされた仏像の「かたち」に注目しながら、仏像のもつ意味や、魅力の源をたどっていくものです。展示では仏像のすがたや、部分の形、素材などの外見的なところから、仏像制作の由来、仏像のもつ霊験、さらには仏像をとりまく世界を紹介し、仏像とは何かを改めて考えていただくものです。

 本展を通じて、多くの方がより仏像に対して関心を高め、仏像にこめた先人たちの思いと、その芸術性の深さに思いをはせていただければ幸いです。


奈良博の本館「なら仏像館」からして貴重な仏像の宝庫ですが、所蔵品に加えて奈良周辺の貴重な仏さまや仏画などが集まった、見応えのある展示内容でした。さすがですね!


特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-01

奈良国立博物館で開催中の特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』(~2013年9月16日)。仏像の展示が充実してる奈良博の特別展ですから、これは期待しますよね。この日は金曜日でしたので、特に混雑するようなこともなく、のんびりと拝観できました

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-02
こんなビジュアルです。ちなみに、本館「なら仏像館」から特別展へ移動している仏さまが何体もありましたが、本館がスカスカになったりすることはありませんでした。いつもよりもやや迫力不足な感はありましたが、さすがは奈良博と思わせる充実ぶりでした


子嶋寺「両界曼荼羅」中宮寺「天寿国繍帳」も!

今回の特別展は、以下のような7つのパートに分かれており、テーマにそって仏像や仏画などが並んで展示されているのがユニークですね。


●第一章 みほとけのすがた(服・髪・顔・姿勢・太・大)

堂々とした体躯の奈良・元興寺「薬師如来立像」(国宝)など、普段から「なら仏像館」でお会いできる仏さまも何体も展示されていましたが、質量ともにこれだけの豪華な展示になるのはさすがですね。京都・浄瑠璃寺「馬頭観音菩薩立像」(重文)など、見事としか言いようがありません。

また、「服」のパートでは、衣装の着方の解説イラストがあったりするのもいいですね。色んな仏さまの衣装の着方を注目したくなりました。

「顔」のパートでは、個人的に大好きな奈良・金龍寺「菩薩立像」(重文)など、愛嬌のあるファニーフェイス系の仏さまや、頭が大きくややバランスの崩れかけた印象の「阿弥陀如来坐像」などが展示されていて、嬉しくなりますね!


●第二章 みほとけのしるし(釈迦・手・持物・色・光・座)

仏さまを見分ける手がかりとなる持物や手(印相)などが分かりやすく展示してあります。私のお気に入りは、奈良・橋本院「涅槃像」。室町時代に作られた釈迦入滅の像で、通常は右脇を下に横たわるのですが、仏師の技術がイマイチなのか、上半身だけ上向きに見えるのが面白いですね!

また、仏画の滋賀・西教寺「釈迦如来像」(重文)も印象的でした。仏鉢を手に前傾姿勢で歩く姿を描いているのですが、背後の巨大な光背まで、体に合わせて前傾しているんです!どことなく、十字架を背負ったイエスのよう。こんな表現があるのかと驚きました。

また、お寺でもお会いしていますが、京都・海住山寺「四天王立像」(重文)は必見ですね。像高40cm弱の小さな像ですが、鮮やかな色彩がそのまま残っています。あらゆる角度からじっくりと拝見できるのがいいですね。


●第三章 みほとけのからだ(木・玉眼・彫眼・石・銅・金・乾漆)

ここでの見どころは、まずは「伽藍神立像」でしょう。以前は「走り大黒」と呼ばれていたもので、最近では伽藍の守護神「感応使者などと考えられているとか。コロッとした太めの体で、風を受けながら軽やかに疾走しているのがいいですね。また、奈良・薬師寺「大津皇子坐像」(重文)もなかなかお会いできませんから、とても貴重でしょう。

この他、木・石・金など、素材による違いが解説されていますが、その中の「乾漆」パートで紹介されていた「力士立像」も迫力満点でした。奈良時代ごろの像で、全身は赤みが指していて、エラの張った顔に立派なお髭。左手を胸の前にあげて、いわゆる「アイーン」のポーズです!ひょうきん!


●第四章 みほとけのなかに(納入品)

仏像とその中に収められた「納入品」が合わせて展示してあります。「こんなものが入っていたのか!」という驚きがありますね。また、模造品ですが、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像が座る「心月輪及び蓮台」の展示もありました。通常の台座の蓮弁は、一段目と二段目が交互になっていますが、これは蓮の葉が上方向へ並ぶ珍しいものです。


●第五章 みほとけの霊験(清凉寺・善光寺・長谷寺・南円堂・春日社・矢田寺・大仏殿)

有名な「清涼寺」の釈迦如来像など、霊験を持った像はさまざまな形で写されて広がって行きました。そんなバリエーションが見られます。ここは仏画が面白くて、興福寺・南円堂の諸像を描いた「不空羂索観音菩薩像」や、奈良・矢田寺「矢田地蔵縁起」などがいいですね。展示点数はそれほど多くありませんが、じっくりと拝見したいコーナーでした。


●第六章 みほとけの住処(曼荼羅図、浄土図、中宮寺「天寿国繍帳」など)

ここは立派な仏画や曼荼羅がずらり!鎌倉時代の「当麻曼荼羅」、見事な「春日千体地蔵図」などに加えて、奈良・中宮寺「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」(国宝)も登場しています!

展示数は4点ですが、天寿国繍帳も含めて、すべて前期(~8月18日まで)の展示です。後期(8月20日~9月16日)は、京都・海住山寺「補陀落山浄土図」、重文「釈迦霊鷲山説法図」などが登場します。


●第七章 みほとけの宇宙(子嶋寺「両界曼荼羅」)

最期は、奈良・子嶋寺「両界曼荼羅」(国宝)です!大日如来を中心とする密教の宇宙観を描いたもので、胎蔵界(たいぞうかい)と金剛界(こんごうかい)の2種類が並びます。平安時代の作で、大きさは縦横3メートルほど。紺地・金銀泥で描いています。

ただし…、実は本物の曼荼羅が登場するのは後期(8月20日~9月16日)で、私が拝見したのは、2003年に復元模写されたものでした。残念な感はありますが、これはこれで見事なんですよね。細部までくっきりと美しく見えて、思わず見入ってしまいました。


特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-04

『みほとけのかたち ─仏像に会う─』の図録より。この図録は、以前までのものにありがちだった、「写真が前半、解説は後半」という読みづらいものではなく、写真と解説が同じページに掲載されているのがいいですね。読み物として十分に楽しめます

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-05
京都・浄瑠璃寺「馬頭観音菩薩立像」(重文)。全部で4面ありますが、図録ではもちろん、会場でもしっかりと拝見できました(後頭部の方は見づらいですが)。迫力あるお姿で、まさに美仏ですね!

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-06
奈良・子嶋寺「両界曼荼羅」の復元模写したもの。本物ではないのは残念ですが、さすがにくっきりと細部まで観察できます。めくるめく曼荼羅ワールドですね!


図録も読みやすくリーズナブル!頑張ってます

なお、今回の特別展「みほとけのかたち -仏像に会う-」の図録(@1,000円)は、奈良博の図録「なら仏像館 名品図録」(@1,000円)と、2冊セットで「1,500円」で販売されています(奈良国立博物館ミュージアムショップ 図録紹介)。

ページ数やテキスト文字数を削減していると思いますが、以前よりもお手頃価格で、そして格段に読みやすくなっていますので、この方向性はずっと続けて欲しいですね。読み物としてもとても面白いですから、ぜひ購入してみてください!


特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-03

特別展「みほとけのかたち -仏像に会う-」の図録(@1,000円)と、奈良博所蔵の仏像などを網羅した図録「なら仏像館 名品図録」(@1,000円)。いずれも比較的リーズナブルな図録ですが、特別展の期間中(~2013年9月16日まで)は2冊セットで「1,500円」です!釣られて購入してしまいました(笑)

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-07
図録「なら仏像館 名品図録」の1ページ。こちらも画像とテキストが同じページに掲載されています。編集の手間が増える・カラーページが増えるなど、コストアップの原因になりがちですが、この形のほうが圧倒的に読みやすいですから、これからも続けて欲しいですね

特別展『みほとけのかたち ─仏像に会う─』@奈良博-08
なら仏像館で特別公開中の、大阪・金剛寺「降三世明王坐像」(重文)。像高2メートルを超える巨像です。図録「なら仏像館 名品図録」には、ちょっとだけ角度を変えた2枚の写真が見開きで掲載されています。アップで見ても素敵ですね!



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■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp/index.html
住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
休館日: 月曜日(休日の場合は翌日休み)
開館時間: 9:30 - 17:00
観覧料: 平常展 大人500円、大学生250円、高校生以下は無料(特別展の料金はその都度決定)
駐車場: 周辺の有料駐車場を利用
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)


●特別展 みほとけのかたち ─仏像に会う─

HP: http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2013toku/mihotoke/mihotoke_index.html
会期: 2013年7月20日(土)~9月16日(月祝)
休館日: 毎月曜日(8月12日、9月16日は開館)
開館時間: 9:30 - 18:00
拝観料: 大人 1,000円、大学生・高校生 700円、中学生以下 無料

※『なら燈花会』期間のうち8月6日(火)~14日(水)、および毎週金曜日は「19時」閉館です

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