極上フレンチラーメン『フレンチ・レンジ』@奈良市杉ヶ町
京都で人気を博していた「フレンチラーメン」のお店が、店名も新たに『フレンチ・レンジ』としてオープンしました。コース仕立てでラーメンをいただくというのも異色ですし、味といいお店の雰囲気といいまさにフレンチです。「フレンチなのかラーメンなのか、深く考えるべからず。」とお店のパネルにありましたが、まさにこの言葉どおりですね!
追記
残念ながら、すでに閉店なさってます。
京都の人気店が、地元・奈良へ移転しました
2012年7月17日、奈良市杉ヶ町にオープンした『フレンチ・レンジ(FRENCH RANGE)』さん。フレンチとラーメンを融合させた、他にはない不思議な一杯がいただけるお店です。
こちらは、2011年8月に京都市中央区にオープンして話題となった『ふれんちラぁ麺ガスパール』さんが奈良へ移転、店名も変えて再出発を果たしたお店です。他のエリアの情報には疎い私でも、その名前を知っているほどの人気店でした。
お店の位置は「奈良市生涯学習センター」の近く、ラーメン好きな方には『麺人ばろむ庵』さんのすぐお隣と言った方が分かりやすいかもしれません。店前には特に目立った看板もなく、全くラーメン屋さんには見えません。以前は喫茶店だったスペースをほぼそのまま使用していて、店内に入ってすぐにおしゃれなソファーのウェイティングスペースがあり、客席はスキップフロア形式になっている、とても豪華な内装です。
実は、帰り際にスタッフの方(おそらくシェフの奥さま)と少しお話させていただいたのですが、シェフはもともと奈良の方で、奈良から京都のお店へ通っていたのがかなり大変だったのだとか。そこで、京都のお店を閉めて奈良で物件を探したところ、以前は喫茶店として営業していた今の場所が見つかり、内装もある程度そのまま引き継ぐ形で営業を開始なさったのだそうです。
理由はともあれ、奈良に個性的なお店が増えるのは嬉しい限りですね!
奈良市杉ヶ町のフレンチ『フレンチ・レンジ』さん。「奈良市生涯学習センター」のすぐお隣ですが、大きな看板などはありませんので、見落とさないようにお気をつけください。駐車場はありませんので、近くのコインパーキングを利用しましょう
店内へ入ったところ。これからラーメンを食べるとは思えないような、とにかくおしゃれな内装です。1階部分には、レジとウェイティングスペースとトイレがあり、客席は階段を上がった中2階に。入ってすぐにコートクローク(上着をかける場所)があるラーメン店なんて初めてです!
階段をあがったら、ソファー席とワインセラーにワイングラスが。この右手は長いオープンキッチンになっていて、その前を通って奥の席へつきます
帰り際に写した店内の様子。テーブル席やコの字型のソファー席など、とにかく品が良い内装です。普通のラーメン店は女性が入りづらいという声もありますが、かえって男性が怖気づくような雰囲気かもしれませんね
席には、こんな形でテーブルセッティングがされています。メニューは折りたたみになっていて、持ち帰れます。グラスにそそがれているのは、単なるお水ではなく、さっぱりとしたグレープフルーツのフレーバーティ。とことん凝ってますね
「フレンチラーメンの楽しみ方」とは?
フレンチ・レンジさんは、普通のラーメン店とは全く違うシステムです。入り口のパネルには、「フレンチラーメンの楽しみ方」として、このような文章が掲げられていました。
席についたら作り方など色々書いてあるメニューをじっくり読んで、お好みのラーメンをお選びください。味わいさっぱりのグレープフルーツのフレーバーティを、お水の代わりにご用意致します。
まずは前菜、ハムのムースとプチパンでスタート。フレンチラーメンはコース仕立て。ビールやワインにとても良く合います。ラーメンが運ばれてきても少々お待ち下さい。ラーメンそれぞれにさらにおいしくする仕上げがあります。
フレンチのテクニックでそのままでもおいしいスープ。黒こしょうや七味で自分のお好みのアクセントをつけてどうぞ。
食後はデザートとコーヒー。フレンチの定番デザートをご用意しております。
店内の「フレンチラーメンの楽しみ方」より
ラーメンメニューは、以下の4種類のみです(ラーメン2種類、つけ麺2種類)。
●ミネストローネ らあめん(フレンチワンタン麺)
●あさりの白ワイン蒸し らあめん(あさりダシ ネギラーメン)
●オニオンスープ らあめん(オニオンポタージュ チーズつけめん)
●スープ ド ポワソン らあめん(海老ダシ つけめん)
4つのメニューいずれも、基本のフルサイズが「980円」(ハーフサイズは750円)。また、全てに「付きだし(ハムのムースとプチパン)」と「締めごはん(メニューごとに違います)」がつきます。コース仕立てでラーメンを食べるのも不思議なものですが、なかなか面白い趣向ですね。
入り口のパネルやお品書きには、「フレンチなのかラーメンなのか、深く考えるべからず。」とあります。なぞかけでも何でもなく、食べてみるとこの言葉の意味がよく分かります
フレンチ・レンジさんのメニュー。麺メニューは4種類のみです。料理について事細かに説明してあり、読んでいるだけで楽しいですね。メニューをはっきりと印刷物に載せられるのは、今の味によほど自信がある証拠でしょう
フレンチ・レンジさんのドリンクとデザートメニュー。ここのラーメンであれば、ビールよりも「グラスワイン(@500円)」の方が合うかもしれませんね。またテーブルには、黒こしょうや黒七味が置いてありました。お好みでどうぞ
まずは、全てのメニューにつく「付きだし」から。ハムのムースとプチパンです。ハムのムースなんて初めて口にしましたが、ムース状になっていても、味わいはまさにハムそのもの!風味があって美味しいんです。和歌山では、ラーメンが登場する前に早ずしを食べたりしますが、それとは別の意味合いでしょう。メインの前にこういったものを軽くいただくのもいいですね
フレンチワンタン麺「ミネストローネらあめん」
この日、私は「ミネストローネ らあめん(@980円)」をいただきました。
●ミネストローネ らあめん
(フレンチワンタン麺)麺:平打ち太麺 150g/14番/国内産/外国産小麦
具:豚ミンチの水餃子、青ネギ
仕上げ:焦がしバターソース
締めごはん:ライスコロッケスープ:フォン・ド・ヴァライユ(鶏ガラスープ)に角切りのタマネギ、人参、キャベツの入った具沢山のスープに、ベーコン細切りをプラスして深みとコクを出し、最後にフレッシュトマト、アンチョビ、ニンニクのトマトソースを加えた、ミネストローネスープ。
メニューより
「フレンチワンタン麺」という説明からして想像しづらいですが、食べた印象は、圧倒的にフレンチですね!かなり酸味もきいていて、本格的なミネストローネスープでした。スープパスタに近いイメージですが、麺はちゃんとした中華麺なのが面白いですね。ラーメンは、中華料理として生まれて日本で独自に進化したものですが、さらに完全にフレンチと融合した…といった感じでしょうか。
フレンチ・レンジさんの「ミネストローネ らあめん(@980円)」。ラーメンがテーブルに運ばれてから、仕上げとして「焦がしバターソース」がかけられます。トマトもたっぷりで、上等なミネストローネスープです。豚ミンチのワンタンも只者ではありません。こちらもやや酸味があり、素材の良さが伝わってくるよう。すごいインパクトです!
使用している麺は、平打ちの太麺。モチモチとしっかりした中華麺で、フレンチ風のスープにも違和感なくマッチしています。でも、明らかにパスタとはまた違った食感ですから、面白いですね
タマネギが濃厚な「オニオンスープらあめん」
つけ麺メニューの「オニオンスープ らあめん(@980円)」は、仕上げに「シェリー酒ビネガーソース」を振りかけていただきます。
●オニオンスープ らあめん
(オニオンポタージュ チーズつけめん)麺:平打ち太麺 150g/14番/国内産/外国産小麦
具:豚バラ肉のコンフィ、温度タマゴ、カリカリベーコン、バゲット
仕上げ:シェリー酒ビネガーソース
締めごはん:牛ホホ肉のハヤシライススープ:160度のオーブンで皮ごと2時間30分ローストしたタマネギと、フォン・ド・ヴァライユ(鶏ガラスープ)と一緒にミキサーにかけてつくった、丼1杯にタマネギがまるごと1個分のエキスのつまったオニオンポタージュ。たっぷりパルメザンチーズと黒こしょうをきかせて。
メニューより
お料理のサブタイトルが「オニオンポタージュ チーズつけめん」ということで、こちらも洋食テイストがあふれてますね。丼1杯にタマネギまるごと1個分が入っているというのですから、とにかくオニオンの風味が濃厚。そのままでもとても美味しい極上スープです。つけ汁にパンが浮かせてあるのも驚きでした!
また、スープには温度卵(いわゆる温泉卵)が丸ごと入っていて、カリカリのベーコンも1本乗っています。パルメザンチーズもたっぷり、黒コショウもきいて、まるで上等な「カルボナーラ」をいただいているかのような印象でした!平打ち太麺ともよく絡んで、これは本当に美味しかったですね。全体的に茶色くて見た目の華やかさには欠けますが、オススメです!
こちらは「オニオンスープ らあめん(@980円)」。手前は、平打ち太麺。奥のつけ汁は何やらゴチャっとしてますが、これが絶品でした!
つけ汁は、タマネギのエキスが濃厚で、まさにオニオンポタージュですね。バゲットが浮かんでいるのも、面白いです。その他の具材は、豚バラ肉のコンフィ・温泉卵・ベーコンで、卵を溶かしてみるとまさにカルボナーラ風になって、また別の味わいに。すごいですね
強烈な海老ダシ!「スープドポワソンらあめん」
同じくつけ麺メニューの「スープ ド ポワソン らあめん(@980円)」は、サブタイトルが「海老ダシ つけめん」。具材は何も見当たらず、仕上げに「削り冷凍レモン」をかけていただくという、不思議な一品です。
●スープ ド ポワソン らあめん
(海老ダシ つけめん)麺:全粒粉入り細麺 190g/22番/国内産小麦
具:なし(トッピングに水餃子をご注文頂けます 3ヶ120円・5ヶ200円)
仕上げ:削り冷凍レモン
締めごはん:海老のクリームコロッケのっけごはんスープ:さかなのうらごしスープとジュ・ド・オマール(オマール海老のだし汁)、さらにフレッシュトマト、アンチョビ、ニンニクのトマトソースを加えた3つのスープが重なりあった深みのあるフレンチのエッセンスがいっぱいつまった濃厚スープ。
メニューより
このスープが、テーブルに運ばれてきた瞬間から、濃厚な海老の風味が漂います。エビの出汁に加えて、魚のうらごしスープ、トマトソースなどの酸味も加わり、旨みが複雑に絡み合っていました。手が込んでいるのが明確に伝わってきますね。
また、麺は「全粒粉入り細麺」を使用。エビの風味が豊かなつけ汁に、全粒粉の細麺をつけて食べると、どことなくお蕎麦をいただいているような気分になりますね。麺自体の風味も良く、振りかけたレモンが口内をさっぱりとさせて、絶妙なバランス感覚でした。
つけ麺メニューの「スープ ド ポワソン らあめん(@980円)」。スープがとにかく濃厚で、海老の風味があふれんばかり。しかし、決して単純ではなく複雑な旨みが感じられました。私は普段はほとんどフレンチを食べる機会はありませんが、これがすごいのは判りました!
パッと見はほとんどお蕎麦ですが、全粒粉の細い中華麺です。上に振りかかっているのはチーズっぽく見えて、「削り冷凍レモン」。この発想がすごいですね!スープの濃さを適度に中和してくれます
コースの最後に「締めごはん」もつきます
フレンチ・レンジさんのお料理には、それぞれ「締めごはん」がつきます。牛ホホ肉のハヤシライスや、海老のクリームコロッケのっけごはん、ライスコロッケなどの小さなもので、ここにラーメンスープをかけていただくのですが、これも印象が変わっていいですね!かなり贅沢な〆になりました。
さらに、きっとデザートも美味しいに違いないと、女性陣がそれぞれオーダーしていました。フレンチ・レンジさんのデザートメニューは、「クリームブリュレ」「マスカルポーネのアイスクリーム 熱々のエスプレッソをかけて」「チョコレートのムース オリーブオイルを添えて」(全て@350円)の3種類。2品をいただきましたが、どちらも本格的で文句なしでした!
フレンチ・レンジさんのお料理には、それぞれ「締めごはん」がつきます。手前から時計回りに、オニオンスープらあめんの「牛ホホ肉のハヤシライス」、スープドポワソンらあめんの「海老のクリームコロッケのっけごはん」、ミネストローネらあめんの「ライスコロッケ」。ここにラーメン・つけ麺のスープをかけていただきますので、うっかりスープを飲み干さないようにお気をつけください
スープをかけてみたところ。こうして味わうことで、また印象がガラリと変わって面白いですね。締めごはんをお替りしたいくらいでした!
食後のデザートは「クリームブリュレ(@350円)」「マスカルポーネのアイスクリーム 熱々のエスプレッソをかけて(@350円)」をいただきました。どちらも甘すぎたりせず、濃厚な大人味。食後にぜひ!
付きだしから、ラーメン、締めごはんと、素敵なコースを堪能できました。ボリュームもありますし、男性も女性も楽しめるラーメンですね。ただし、コースとして提供されるため、普通のラーメンのようにサッと食べてサッと帰ることはできません。この日はデザートまでいただいて1時間ほどでした
女性にオススメしたい個性派フレンチでした
この日は3名でお邪魔したので、それぞれを少しずついただきましたが、どれも独特で、他のお店では決して味わえない味でした。
全体的にコッテリとしているように見えますが、決してそんなことはありません。ただし、普通のラーメンとは全く系統が異なる味なので、ラーメンの口の日ではなく、洋食の口の日に食べた方がより楽しめるかもしれません。いわゆる「ラーメン好き」な方よりも、やはり女性にオススメしたいですね。
正直なところ、ラーメン好きな私としては、毎日のように連続で食べたいテイストのものではありません。しかし、満足したかどうかと聞かれれば、間違いなく「美味しくて満足した」と答えます。この日食べられなかった「あさりの白ワイン蒸し らあめん」を味わいに、また近々お邪魔したいと思います。
●あさりの白ワイン蒸し らあめん (あさりダシ ネギラーメン)麺:全粒粉入り細麺 130g/22番/国内産小麦
具:あさり、青ネギ
仕上げ:あさりの白ワイン蒸しソース、ニンニク風味
締めごはん:メンチカツののっけごはんスープ:タマネギとキャベツのスライスを、ゆっくり、じっくり弱火でソテーし、充分に甘みが出たところに、フォン・ド・ヴァライユ(鶏ガラスープ)を加えて煮込んだスープをベースに、さらにあさり、アンチョビとニンニクを白ワイン蒸しにしたソースを加えたスープ。2つのスープがおりなすハーモニー。
メニューより
なお、余談になりますが、この日は平日のお昼時にお邪魔したのですが、スタッフの方は5名近くもいらっしゃって、きめ細やかにサービスしてくださいました。まだオープンから1ヶ月も経っていないこともあり、研修期間のような意味合いもあるのかもしれません。しかし、コース仕立てでお料理を提供するということは、それだけ人手がかかります。とても980円のお料理を提供していたのでは割に合わないのでは…などと心配になってしまうくらいでした。
それほど目立つ立地でもありませんが、お隣の『麺人ばろむ庵』さんともども行く価値のあるお店だと思いますので、ぜひ足を伸ばしてみてください!
■フレンチ・レンジ(FRENCH RANGE)
HP: 参考サイト(食べログ)
住所: 奈良県奈良市杉ヶ町27-1
電話: 0742-26-6005
定休日: 金曜日
営業時間: 11:00-14:30、17:30-20:30
駐車場: 無し(近くのコインパーキングを利用)
アクセス: JR奈良駅から徒歩5分ほど
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