2008-02-11

宗教都市「天理市」の建築物見学

天理教の建築物

天理方面に来ていたこの日、以前からずっと行きたいと思っていた、天理市内の「天理教施設の見学ツアー」を開催してみました。

生粋の奈良県民の方にはもう当然のことなのかもしれませんが、他の地域で生まれ育った私にとっては、日本唯一の「宗教都市」天理市の姿が、今でも不思議で堪りません。天理市内にはよくお邪魔しているのですが、この日はもっと時間を掛けて、気になっていた建築物などをじっくりと撮影することにしたのです。



■宗教都市「天理市」建築物ツアー
宗教都市「天理市」の建築物見学天理教の巨大な「神殿」へ行ってみました


奈良に来て驚いたこととは・・・

私が奈良県にたびたび訪れるようになってから、すでに5年近くが経っています。非関西圏から奈良県へとやって来たため、これまで何も知らずにいて驚いたことがいくつもありました。今ではだいぶ慣れてきていますが、それでもその衝撃ははっきりと覚えている、そんなことがいくつもあったのです。

そのベスト3を挙げてみると、、、、


◆第3位 : 有名な古墳や天皇陵に、誰もが見向きもしないこと(今なら理解できます!)
◆第2位 : 相方の実家のお雑煮(お餅を味噌汁から引っ張り出して、きな粉につけて食べる!意外と美味しくて驚き(笑)!)


それよりも何よりも驚いたのが、、、、

◆第1位 : 天理市のアレやコレや!日本にこんな宗教都市があったなんて信じられない!

関西の人にとっては、「PLの塔」みたいに(アレもなかなか異形ですが)、ある程度は常識的なことなのかもしれません。しかし、私にとっての天理とは、「高校野球の強豪校の宗教系の天理高校があるところ」というレベルでした。そんな予備知識しか持たない人間が天理市へ行った時の驚きといったら、かなりのものでした。

Wikipediaなどにも「天理市は日本では唯一の宗教名が地方自治体名になっている宗教都市である」という記述があるほど。しかも、それは決して納税などの経済的な結びつきだけではなく、天理市民の生活の中にしっかりと天理教が根付いていることが見て取れる、正真正銘の「宗教都市」なのです。


「千と千尋・・・」の湯屋風の建物は?

天理市内を少し車で走っていると、とにかく建築物が目立つのです。その全ては天理教関連の施設で、町中の至るところにあるのです。建物のスタイルはどれもほぼ一緒で、ちょっと反った屋根、赤い窓枠、神社風の手すり、巨大な煙突など、とても特徴的です。一見したところ、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に登場する、八百万の神々がやってくる湯屋「油屋」の建物を連想させるような作りになっています。

大きめの建築物はほぼこの様式に統一されています。天理教が運営する病院(天理よろづ相談所「憩の家」)もそうですし、日本全国から聖地である天理市に里帰り(おぢばがえり)してきた信者さんたちが宿泊する施設(母屋(もや))も、大きめのものはこの形です。

外見からはどのような施設なのかは区別がつかないため、同じような巨大な建物が市内に点在するという、ちょっと不思議な光景が見られるのです。

天理教の建築物-01
天理教関連の建築の典型的なもの。これは天理教が運営する病院(天理よろづ相談所「憩の家」)に隣接する「詰所」。このような施設が市内の至るところに見られます

天理教の建築物-02
神社風の手すりに、赤い窓枠と白いカーテン。こんな部屋が並ぶ姿は壮観!その迫力に眩暈すら感じてしまうほどです

天理教の建築物-03
どこの施設にも煙突があり、三角の屋根との組み合わせで、どことなくジブリ映画「千と千尋の・・・」の湯屋のような印象があります

天理教の建築物-04
天理教関連施設を別角度から。表側の階段の造形もなかなかですね

天理教の建築物-05
天理教運営の病院(天理よろづ相談所「憩の家」)を裏側から見たところ。両翼が広がったコの字型になっていて、圧巻な光景です

天理教の建築物-06
天理教の教会本部の向かいにある「天理参考館」からの眺め。向かって左手が病院の建物で、その右手前は「天理プール」


小型建築にも独特の天理教様式が

また、これよりも小規模な建築物には、ちょっと屋根が反ったようなスタイルの和風屋根を持つものや、まるでユースホステルのようなものなどがあります。

その多くは信者さんの宿泊施設(詰所(つめしょ))なんですが、その数がとんでもなく多いのです。全て地域ごと(大きな市や小さな県ごと、さらにブラジルなど海外の信者さん専用のものも!)に用意されていて、その総数は不明です。しかし、私も「第108詰所」まで見たことがありますので、間違いなくそれ以上の数があるのでしょう。

ちなみに、夏に信者さんたちが天理市へ帰ってくる行事を「こどもおぢばがえり」というらしいのですが(子供たちの合宿がメインで、親たちも付き添う)、2006年には30万人を超える人数が参加したのだそうです。天理市の総人口が7万人を少し越えるくらいのものですから、この数がどれだけ大きいものか想像できると思います。

こんな一時の人口急増に備えるため、天理市内の各所には詰所が建てられ、天理市内で大きめの建物を見たら、まずは天理教の関連施設だと思って間違いない、というような状況になっているのです。

天理教の建築物-07
地方からやってきた信者さんたちの宿泊施設「詰所」。これは少し豪華なものですが、ユースホステルのような簡素な施設も多数あります

天理教の建築物-08
スポーツの強豪校としても有名な「天理高校」の建物。もちろんこれも天理教的な建築様式で、全く学校には見えません

天理教の建築物-09
寺社でいう「水煙(すいえん)」のような突起がシンボルの「天理市役所」。これだけ変わった市役所も他では見られないでしょうね


生活に宗教が密着した宗教都市

天理教と市民生活が密接に結びついていることは、少し街を歩いてみるだけで実感できます。

天理教の関連施設に行くまでもなく、市内には黒い天理教の法被(はっぴ)を着た人が沢山歩いています。この感覚は、他の地域で生まれ育った人には伝わりにくいと思いますが、本当に皆さん、普通に法被を着て歩いているんですよ(笑)。法被姿でジャスコでお買い物したり、ハンバーガーを食べたりしてますし、女子高生が法被姿で彼氏と並んで歩いていたりしています。決して特別な光景ではないのです。

ここでは宗教に帰依しているということは、決して隠しだてしたりするような事柄ではなく、本当に普通のことなんですね。四国のお遍路さんなどとは全く違う、本当に生活に密着した宗教の姿が見られます。

天理市内-01
天理市内の案内看板。天理教関連施設が集中している一帯です。ちなみに、この近くの郵便局の名前は「天理親里館郵便局」。宗教都市ならではですね

天理市内-02
偶然ですが、信者さんたちのお勤めの姿が見られました。天理教の旗を掲げた方の後ろから、独特の歌を歌いながら行進しています。参加者はみな若く、現在も生きた宗教であることが分かるようです

天理市内-03
天理高校前の看板。<立教百七十一年 春の学生おぢばがえり 式典「真柱様お言葉」直属アワー 後夜祭>と書いてあるのですが、どのような内容なのでしょうか・・・

天理市内-04
天理市内の商店街。<陽気ぐらしのキーワード「感謝、慎み、たすけあい」>、これは天理教の教えのキャッチフレーズのようなもの

天理市内-05
天理教の法被(はっぴ)を着て歩いている人も多数。ここでは全く珍しい姿ではありませんし、誰もが自然とそうしているようです


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■画像の一覧は【Flickr】でどうぞ。



大きな地図で見る


天理よろづ相談所病院
住所: 奈良県天理市三島町200
電話: 0743-63-5611

※天理教建築の代表的な施設ということで、病院の住所を掲載しておきます

※なお、私は決して天理教に入信しているワケではありません。また、宗教に否定的な意見を持つ者でもありません。日常生活の中に信仰が深く根ざしている生活には憧れすらありますが、ある特定の宗教に深く帰依してしまうと、趣味の神社仏閣巡りもやりにくくなってしまいますので、今のまま「緩めの仏教徒」というポジションをキープしていきたいと思っています。


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