2012-10-09

古事記に登場する黄泉の国との境界『黄泉比良坂』@島根県

古事記に登場する黄泉の国との境界『黄泉比良坂』@島根県

古事記に生の國と死の國との境目として登場する、島根県東出雲町の『黄泉比良坂(よもつひらさか)』。先立った妻イザナミへ会うために黄泉の国へと向かったイザナミが、命からがら地上へたどり着いた場所です。不思議な雰囲気の感じられる、妖しげな場所でした。


古事記にも描かれた「黄泉比良坂」とは

黄泉の国への入り口とされる場所は、出雲や熊野など数カ所ありますが、島根県東出雲町の『黄泉比良坂(よもつひらさか)』(または『伊賦夜坂(いぶやざか)』)もその有力な候補地とされています。

これは古事記に登場する物語で、簡単に紹介しておきます。

妻イザナミに先立たれたイザナギは、亡き妻を連れ戻すために黄泉の国へと旅立ちます。しかし、イザナミはすでに黄泉の国の食べ物を口にしたためそのまま戻れず、「黄泉国の神に相談してくるので決して覗かないでください」と言い残します。長い時間がたち、待ちきれなくなったイザナギが中を覗くと、全身にウジがわき、8柱の雷神が体にまとわりついたイザナミの死体がありました。

恐ろしくなったイザナギは逃げ出すと、恥をかかされたイザナミは醜女とともに後を追います。現世と黄泉国との境に当たる「黄泉比良坂」で、イザナギが生えていた桃の実を投げて助かり、近くにあった巨岩で道を塞いでしまいます。その岩をはさみ、イザナミは「私はあなたの国の人々を一日千人絞め殺します」、イザナギは「私は一日に千五百の産屋を建てるだろう」と言い合いました。


太古の日本には黄泉路が存在し、黄泉比良坂(よもつひらさか)で、葦原中国とつながっているとされる。イザナギは死んだ妻・イザナミを追ってこの道を通り、根の堅州国(ねのかたすくに)に入ったという。

そこで変わり果てたイザナミの姿を目撃したイザナギが、黄泉の国から逃げ帰る場面が以下のように表現されている。

逃來猶追到黄泉比良坂之坂本時
(訳)逃げ来るを、猶ほ追ひて、黄泉比良坂の坂本に至りし時

口語訳では「(イザナギが)逃げるのを、(イザナミは)まだ追いかけて、(イザナギが)黄泉比良坂の坂本に着いたとき」となるが、この「坂本」は坂の下・坂の上り口を表している。それゆえに、イザナギは黄泉比良坂を駆け下りてきたということが示唆される。すなわち、黄泉の国は必ずしも葦原中国に対して地下にあるわけではないと分かる。 この時、追いすがる妻やその手下の黄泉の醜女(しこめ)達を退けるため、黄泉路をふさいだ大石を、道反の大神(ちがえしのおおかみ)といい、この世に残った黄泉路の半分(または黄泉比良坂の一部)が、伊賦夜坂(いぶやざか)とされる。


つまり、黄泉比良坂とは、黄泉の国への出入口であり、日本で初めての夫婦喧嘩が行われた場所とも言われたりするそうです。


黄泉の国との境界も、目の前に駐車場が

島根県東出雲町の「黄泉比良坂」比定地は、古社「揖夜神社」(いやじんじゃ)から徒歩15分ほど、山陰本線「揖屋駅」から徒歩20分ほどの静かな山間にあります。私たちはとあるガイドブックを読んで、揖夜神社の境内またはすぐ近くにあると思い込んでいたのですが、通りがかった地元の方に道を聞いてみると、意外と距離がありました。

幹線道路の9号線(山陰道)を逸れて、山道をほんの数分だけ登った行き止まりに、5台分程度の駐車スペースがあります。もうそこが黄泉比良坂の目の前ですので、車を利用すればすぐに行けてしまいます。


黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-01

島根県東出雲町の『黄泉比良坂』(または伊賦夜坂)。無料の駐車スペースがあり、そのすぐ目の前に黄泉比良坂と伝わる場所が見えます。あまりにも近くて驚くほどでした!

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-02
駐車場の隅にあった説明看板。「故に、其の謂はゆる黄泉比良坂は、今、出雲国の、伊賦夜坂と謂ふ」とあります。近くの揖夜神社が「黄泉の国と縁の深い社として重視された」ことや、女優の北川景子さん主演の映画『瞬』で、亡くなった恋人にもう一度会いたいと訪れる場所として、ここで撮影を行ったことなどが書かれていました


いくつかの岩が横に並んでいます

黄泉比良坂の手前には、2本の石柱の間に注連縄がわたされ、ここが特別な場所であることが伝わってきます。その姿は、いくつかの岩が横に並んだ、ある意味ではどこにでもありそうなものでした。黄泉の国との道をふさぐ巨岩を想像していると、やや拍子抜けかもしれません。

しかし、何で目の前のこの岩たちが黄泉比良坂とされ、大切に祀られてきたのかと考えると、かなり不思議ですし、背後には何かあったのかと勘ぐってしまいたくなりますね。決して心霊スポットのようなものではありませんが、妖しげな空気は漂っているように思いました。

神話の時代に、イザナギとイザナミが言い争った場所ですから、そんな姿を想像してみるのも面白いでしょう。


黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-03

駐車スペースの少し高いところを歩くと、目の前に注連縄が張られているのが見えます。すでに夕方だったため、やや妖しげな気配が漂っていました

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-04
ここから結界に入ります。注連縄を吊るす金属ワイヤーが見えているのがイマイチですが…

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-05
脇にあったやや読みづらい石碑。「黄泉の国の醜女達に追われ ここに逃れてきたイザナギ命は 桃の実をなげつけ退散させた 最後にイザナミ命水かが追いきたり 大岩をもちて塞ぎ 生の國と死の國の境となせり 千引の大岩なり これより西二百米に道祖神あり 追谷坂と呼ぶ急坂を下れば ●屋付谷に通ず 又東四百米に峠あり 夜見路超えとて 中意東馬場に通ずる古道あり ここの神を塞坐黄泉戸大神なり」

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-06
「神蹟 黄泉比良坂伊賦夜伝説地」と書かれた石碑もたっています

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-07
これが生の国と死の国との境界になる「黄泉比良坂」。古事記のストーリーから想像するような、洞穴を岩が塞いだりするものではなく、意味ありげにいくつかの岩が並びます。拍子抜けするどころか、何故これがあの伝説に結びついたのかと考えると、かえって空恐ろしくなりました

黄泉比良坂(伊賦夜坂)@島根県-08
横から眺めたところ。何かを防ぐように配置してあるようにも見えますね。なお、黄泉比良坂の岩の奥は、すぐに突き当って進めないようになっています



大きな地図で見る


■黄泉比良坂(伊賦夜坂)

HP: 参考サイト(山陰の旅・観光情報≪山陰のミステリアススポット≫)
住所: 島根県東出雲町揖屋
電話: 0852-52-6704(東出雲町企画商工課商工観光グループ)
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 山陰本線「揖屋駅」から徒歩約20分

※実際に島根県を回ったのは「2012年9月23日~25日」でした


■参考にさせていただきました!

黄泉比良坂(よもつひらさか)
黄泉比良坂
黄泉 - Wikipedia
出雲の坂-4「黄泉比良坂」: 坂道散歩










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