2011-12-05

若草山などを借景にした名勝庭園『依水園』@奈良市

若草山などを借景にした名勝庭園『依水園』@奈良市

奈良公園からほど近い場所に広がる大規模な池泉回遊式庭園『名勝庭園 依水園(いすいえん)』。江戸時代と明治時代、2つの庭園から構成された日本庭園で、紅葉が美しい時期にも関わらず観光客の姿も少なく、のんびりとした時間を過ごせました。


奈良の豪商たちが作った大規模な日本庭園

名勝庭園『依水園』は、総面積四千坪におよぶ池泉回遊式庭園です。隣接する『吉城園(よしきえん)』(紹介記事)と同様、万葉集にも詠まれた吉城川の水を引き、前園・後園と、作庭時代の異なる二つの庭園から構成されています。



依水園は、江戸時代作の前園と明治時代作の後園の二つからなる庭園で、昭和50年(1975)に国の文化財として名勝に指定されました。前園はかつて春日、若草、御蓋山を一望した三秀亭中心の池庭で風情が漂います。また後園では氷心亭前からの東大寺南大門と春日山を借景したスケールの大きな眺めが圧巻です。加えて古寺の建物の礎石を庭石に、、挽臼を池の渡り石に用いるなどのアイデアを見せたり、流れや植物の扱いにも心を尽し安らぎの空間を生んでいます。一方入口内左手の芝生広場奥に建つ特徴的な姿の寧楽美術館では日本、朝鮮、中国の館蔵美術品を展示し美の世界へ誘います。

説明看板より


奈良の豪商たちが創り上げた大規模な庭園で、紅葉のシーズンということもあって、とても美しい風景が楽しめました。また、奈良の中心部にありながら観光客の姿も少なく、本当にのんびりとした時間を過ごせます。

ただし、併設されている「寧楽美術館」は、改修工事のため、2011年12月5日(月)~2012年4月30日(月)まで休館です。ちょうど休館の初日に当たってしまったも残念でしたし、それでいて美術館の料金を含む通常料金(大人650円)のままというのも、ちょっと残念でした(笑)


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名勝庭園『依水園(いすいえん)』の入口部分。奈良県庁からわずかに東のところにあり、すぐお隣には『吉城園(よしきえん)』という別の庭園があります。この日は紅葉のピーク後半くらいで、真っ赤な葉っぱが目に鮮やかでした

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入り口の案内看板。面積は約4,000坪。前園・後園、池の周りを回る2つの池泉回遊式庭園が組み合わさっています。敷地内には「寧楽美術館」という美術館も併設されています

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入ってすぐ右手には、お食事処「三秀亭」が。お庭を眺めながら、「麦とろ御膳(@1,800円)」「うなとろ御膳(@2,800円)」などのお食事がいただけます

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敷地内には、「寧楽(ねいらく)美術館」も併設されています(依水園と入園料は共通)。海運業で財を成した中村家の中国・朝鮮・日本の陶磁器や古美術品などのコレクションを展示しています。ただし、改修工事のため、2011年12月5日(月)~2012年4月30日(月)まで休館中でした…


前園は興福寺子院があった場所です

依水園の前園部分。お隣の吉城園と同様、古くは興福寺子院「摩尼珠院(まにしゅいん)」の別業があった場所とされています。江戸時代初期に、奈良の特産品として全国的に有名だった「奈良晒(麻布)」で財をなした清須美道清が別邸を設けて、庭を整えました。その中心となる建物は、黄蘗山の木庵禅師によって「三秀亭」と名付けられています。


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茶席「清秀庵」と凝った建築の「氷心亭」

前園と後園の間には、こぶりな茶席「清秀庵」が右手に見え、正面に「氷心亭」という建物があります。氷心亭は明治期の建築で、床の間には桂離宮の書院の一部を、建築材として新薬師寺の古材を用いるなど、とても凝った作りなのだとか。

飛び石の景色なども落ち着いていて素晴らしいですね。明治時代に後園が設けられた時のものだと思われますが、奈良には数少ないタイプの日本庭園でしょう。


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若草山・春日山・御蓋山を借景にした後園

依水園の後園は、明治時代に、奈良の富商・関藤次郎によって完成されたものです。敷地内に、池・小山・清流などを配した、規模の大きなもの。柳生堂、氷心亭など、目に入る建物もしっくりと馴染んでいます。

また、庭の遠景に、左から若草山・春日山・御蓋山が、その手前には東大寺・南大門の屋根が見えるなど、借景が素晴らしいですね。この日は御蓋山の上に月が見え、まさに安倍仲麿の「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 御蓋の山に 出でし月かも」の歌を連想させる光景が広がっていました。

また、建物の脇に何気なく置いてある蹲踞(つくばい)が、約400年前に大和郡山城主だった豊臣秀長が愛用したもの。さらに、足元にある礎石が東大寺・七重塔で使われていたものだったりと、驚くことばかり!この時代の豪商のやることはスケールが大きいですね!


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■名勝 依水園

HP: http://www.isuien.or.jp/
住所: 奈良県奈良市水門町74
電話: 0742-25-0781
入園料: 大人 650円、中高生 400円、小学生 250円
休園日: 火曜日・年末年始(4~5月、10月~11月は無休)
開園時間: 9:30 - 16:30
駐車場: 近隣に有料駐車場あり
アクセス: 近鉄奈良駅から徒歩10分

※併設されている「寧楽美術館」は、改修工事のため、2011年12月5日(月)~2012年4月30日(月)まで休館です。


■参考にさせていただきました!

依水園 - Wikipedia
依水園|春日野奈良観光


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