2011-04-28

異能の絵師『没後150年 歌川国芳展』@大阪市立美術館

異能の絵師『没後150年 歌川国芳展』@大阪市立美術館

大阪市天王寺区の「大阪市立美術館」で開催されている『特別展 没後150年 歌川国芳展』へ行ってきました。幕末に異彩を放つ浮世絵を残した方の作品展ですが、ものすごい充実度で、4時間近くも楽しめました!


美術館はクラッシクな戦前の洋館です

大阪市天王寺区にある『大阪市立美術館』。私は初めて伺いましたが、天王寺動物園のすぐ近くにあるんですね。もとは住友家の土地で、都会の真ん中に広々とした公園が広がっていて、ちょっと不思議な感じです。

大阪市内には、クラシックな素晴らしい建物が数多く遺されていますが、大阪市立美術館もその一つです。1936年の建築で、左右対称の厳格なイメージの洋館に、屋根瓦が乗っています。

建物内部の写真撮影は不可(企画展の看板の撮影だけOKでした)ですが、シャンデリアが下がった吹き抜けの周りは、重厚な回廊になっています。図書館や博物館の建物らしい、ややいかめしい感じの建物ですね。

企画展示は1階で行われますが、2階は「常設展」があります。この日は「小さな工芸」「端午の節句―五月人形」などとともに、「観音菩薩に出会う旅― 西国三十三所 ア・ラ・カルト」という展示もありました。企画展が充実しているため見落としそうになりますが、ぜひ2階にも上がってみてください。


歌川国芳展@大阪市立美術館-01

大阪市の天王寺区にある「大阪市立美術館」。天王寺動物園のすぐ脇にあります。もとは住友家本邸があった場所を寄贈されたもので、1936年の開館。設計は伊藤正文氏と海上静一氏です。大阪にはこの時代の建物が数多く遺されていていいですね

歌川国芳展@大阪市立美術館-02
正面からみたところ。中央の窓枠の向こう側には、かすかにステンドグラスが見えていました。館内は、いい具合に古びていて、博物館や図書館の空気感がお好きな方にはたまらない雰囲気です

歌川国芳展@大阪市立美術館-04
正面から見上げたところ

歌川国芳展@大阪市立美術館-05
大阪市立美術館に併設されている「美術研究所」に入り口部分(立ち入りは出来ません)。ドアや街灯など、細部までレトロモダンです!


大阪を皮切りに東へ巡回していきます

大阪市立美術館のこの日の企画は、『特別展 没後150年 歌川国芳展』でした。幕末近くに活躍した異能の浮世絵師・歌川国芳の没後150年を記念した大きな企画展で、大阪を皮切りに、静岡・東京と回っていきます。

●大阪展 2011年4月12日 ~ 6月5日
●静岡展 2011年7月9日 ~ 8月21日
●東京展 2011年12月17日 ~ 2012年2月12日



歌川国芳(寛政9[1797]-文久1[1861])は、画想の豊かさ、斬新なデザイン力、奇想天外なアイデア、確実なデッサン力を持ち、浮世絵の枠にとどまらない広汎な魅力を持つ作品を多数生み出した絵師です。その作品は、浮世絵ファンのみならず、現代のデザイン関係者や若い世代の人々にも大いに注目されています。国際的にも高い評価を得ており、2009年にはロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで大英博物館所蔵品による「KUNIYOSHI」展が開催され、COOLな浮世絵として評判を呼び、この展観は2010年にはニューヨークでも開催されました。

国芳の魅力は、なんと言っても、その画想の自由さ、豊かさ、限りなく広がるイマジネーションの世界にあります。物語の夢と冒険とロマンの世界を具現化する手腕においては、国芳は他に並ぶ者のいない卓越した才能を示し、まさに、江戸のグラフィックデザイナーとも称すことができます。


没後150年 歌川国芳展」ホームページより


歌川国芳展@大阪市立美術館-03

大阪市立美術館のこの日の企画は、『特別展 没後150年 歌川国芳展』(2011年4月12日~6月5日まで)でした。歌川国芳は幕末の人気浮世絵師で、奇想天外な絵を多数描き、ユーモラスな戯画、数々の猫の絵などで知られる方です。正統派の素晴らしい浮世絵が多くて、見どころ十分!4時間近くも飽きること無く見続けてきました

歌川国芳展@大阪市立美術館-06
隈取をほどこした力士と和装の猫。歌川国芳は、浮世絵の世界の異端に属する方ですが、今見ても斬新です。公式サイトには「江戸のグラフィックデザイナー」とありましたが、まさにその通り。後々まで残るポップアートですね。(ちなみに、館内は全て撮影禁止ですが、この看板だけは撮影可とのことでした)


正統的な浮世絵も戯画を描いてもすごい!

歌川国芳の作品は、ネットでもたくさん見られますので、代表作の名前だけ挙げておきます。

・何人もの人間が集まって人の顔を形作った戯画『みかけハこハゐが とんだいゝ人だ』
・横長の大判サイズで大きく髑髏が描かれた『相馬の古内裏』
・大の猫好きが猫を描いた『其のまま地口 猫飼好五十三疋』

 (歌川国芳 - Google 画像検索結果


この他、人間世界の風物を、猫や金魚に置き換えて描いた作品などが有名なため、私はそのタイプの変化球ばかりを投げてきた方なのかと思っていました。しかし、展示されている作品は、力強い武者絵や役者絵、艶めかしい美人画、美しい名所絵など、正統的なものも多数あります。

これは、歌川国芳が45歳の頃、老中・水野忠邦の「天保の改革」によって、質素倹約・風紀粛清が奨励され、役者絵や美人画が禁止になったことが大きく影響しているのだそうです。当時から人気絵師だった国芳は、その命に従いながらも風刺を込めた作品を描き続け、お上からにらまれる反骨の人物だったのだとか。実力がしっかりしているからこそ、有名な戯画も描けたのでしょう。

その他の作品も驚くほどモダンなものも多く、いま見ても全く古さを感じさせません。正直なところ、もう少し全体的に剽げた(?)内容になるのかと思っていただけに、正統派の力強さに圧倒されました!

会場の出口には、かなり気合の入った大きなスペースでグッズが販売されていました。これから来年までかけて静岡・東京とまわることもあって、絵葉書・クリアファイル・パネル・マグネット・ストラップなど、ありとあらゆるグッズが揃っています。歌川国芳の作品は、普段持ち歩くにはどうか・・・というものも多いのですが、見ているだけでも楽しめると思いますので、ご期待ください!


歌川国芳展@大阪市立美術館-07

『特別展 没後150年 歌川国芳展』は、大阪の後は静岡・東京と巡回します。このため、グッズの種類も豊富で目移りするほどのアイテム数でした。『相馬の古内裏』『宮本武蔵の鯨退治』の横長絵葉書と、猫と吉野山を描いた定規兼しおり。クリアファイルとかもすごく良かったです!



大きな地図で見る


■大阪市立美術館

HP: http://www.osaka-art-museum.jp/
住所: 大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
電話: 06-6771-4874
休館日: 月曜日
開館時間: 9:30 - 17:00


■没後150年 歌川国芳展

HP: http://kuniyoshi.exhn.jp/
観覧料: 一般 1,300円 高大生 900円、中学生以下 無料
会期: 大阪展 2011年4月12日 ~ 6月5日

※大阪展は、前期 4月12日~5月8日、後期 5月10日~6月5日 で大幅に展示作品の入れ替えが行われます
※巡回予定 「静岡展 2011年7月9日 ~ 8月21日」、「東京展 2011年12月17日 ~ 2012年2月12日」


■参考にさせていただきました!
大阪市立美術館 - Wikipedia
レトロな建物を訪ねて : 大阪市立美術館
歌川国芳 - Wikipedia
歌川国芳 - Google 画像検索






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