2011-03-06

東漢氏の大きな陵墓が崩落中『カンジョ古墳』@高取町

東漢氏の大きな陵墓が崩落中『カンジョ古墳』@高取町

高取町の飛鳥病院の近くを車で走っていたところ、遠目にも分かるほど墳丘が崩れてしまった古墳を見かけました。『カンジョ古墳(乾城古墳)』という古墳で、私は知らなかったのですが、石室天井の高さ「約5.3m」と石舞台古墳よりも高く、東漢氏の盟主クラスの人物の陵墓と考えられているのだそうです。


石舞台古墳を上回る天井の高さです

高取町にある「飛鳥病院」のすぐ近くにある『カンジョ古墳(乾城古墳)』。車での通りすがりにも、はっきりと墳丘が崩落している様子が見えたため、ちょっと立ち寄ってみました。


カンジョ古墳@高取町-01

高取町にある「カンジョ古墳(乾城古墳)」。この左手(西側)数十メートルの場所に「飛鳥病院」があります。この写真では分かりづらいですが、遠目にもはっきりと崩落している様子が見えました

カンジョ古墳@高取町-03

史跡 カンジョ古墳

貝吹山より南にのびる丘陵の先端に営まれた古墳で、すでに墳丘の北側と西側は大きく削られ、その原形や規模については明らかにしがたいが、径約二十m前後の円墳と推測される。埴輪などの外部施設は認められない。

埋葬施設としては、南に開口する両袖式の横穴式石室が営まれている。玄室は天井がきわめて高く、四壁とも比較的巨大な石材を四~五段積みにしており、持送りが顕著で天井は一石よりなる。玄室の長さ約五.七m、幅約三.六m、現状の高さ約四.六mであるが、玄室内には土砂の流入が著しく本来の高さは五m以上と推測される。

羨道の現存長は約三m、幅約一.五mで、高さは玄室より約三.五m低い。墳丘規模は大きくはないが、石室の天井がきわめて高く四壁の持送りが顕著で、このような特色は渡来系の有力氏族によって築かれた横穴式石室として注目される。出土遺構については何も知られていないが、横穴式石室の型式などから七世紀前半に築造されたものと想定される

平成十二年三月

案内看板より


説明にはこのようにありましたが、2008年の調査によって、石室天井の高さが「約5.3m」であることが分かり、蘇我馬子の墓とされる「石舞台古墳」よりも高いことが判明しています。このため、東漢氏の盟主クラスの陵墓であると考えられているのだそうです(当時の記事はこちら)。



墳丘の北側と西側が掘削されているため、原形や規模が不明だったが、調査の結果、一辺約36メートル前後の方墳と判明している。

埋葬施設として、両袖式の横穴式石室をもち、石室の天井が極めて高いことが、この古墳の特徴である。

床面に土砂が流入していたため、石室の正確な天井高が不明であったが、平成20年の再調査により、石室の高さ5.27メートルであることが判明した(平成20年8月5日高取町教育委員会発表)。石室の高さは、石舞台古墳(高さ4.8メートル)を上回り、奈良県内一と見られる。また、石室の幅は3.7メートル、長さ6メートルと判明した。

また、この調査により、石室の床面から、渡来人系の古墳で多く見られるミニチュア炊飯具の一部をはじめ、銀製指輪、玄室の中央部から棺台の一部と推定される高さ15センチメートルの盛り上がりや、木棺に使用される鉄釘が出土した。

石室や出土品の特徴から、6世紀末から7世紀前半頃の渡来系の有力氏族(東漢氏)の首長の墓とみられている。


墳丘の崩落ぶりが痛々しい状態でした

カンジョ古墳に近づいてみると、墳丘の土が崩れてしまって、緑色の土塁がむき出しになっています。裏手にまわってみても崩れているのは明らかで、痛々しい状態でした。いつからこの状態なのかは分かりませんが、これだけの規模の古墳がこんな状態なのは悲しいですね。早く修復して欲しいと思います。


カンジョ古墳@高取町-04

カンジョ古墳の前に行くと、土が崩れて、盛られた緑色の土塁がむき出しになっているのが分かります

カンジョ古墳@高取町-05
「墳丘崩落につき危険 立ち入り禁止」の表示があります

カンジョ古墳@高取町-06
もちろん中には入れませんので、高い天井を見ることはできませんが、石室内部には異常がなさそうです

カンジョ古墳@高取町-07
カンジョ古墳の裏手に回ってみました

カンジョ古墳@高取町-08
明らかに崩落しています。これだけの規模の古墳でも、やはりこんなことがあるんですね

カンジョ古墳@高取町-02
この周囲には、鑵子塚古墳や貝吹山城跡などがあるようです



大きな地図で見る


■カンジョ古墳(乾城古墳)

HP: 参考サイト(Wikipedia)
住所: 奈良県高市郡高取町与楽1160

※住所は「飛鳥病院」のもの。飛鳥病院から数十メートル東にあります


■参考にさせていただきました!

東漢氏の族長を埋葬したと思われる与楽カンジョ古墳
石舞台しのぐ天井の高さ 奈良・カンジョ古墳 - 47NEWS(よんななニュース)

※カンジョ古墳を訪れたのは「2011年3月5日」でした。






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ