時間が足りなくなる充実度!『宇陀松山エリア』@はならぁと2015
約200軒の伝統的な建物が並ぶ「宇陀松山エリア」。今年も『奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015』の会場となっています。一部に有料会場が登場するなど実験的な試みもあり、時間がまったく足りなくなるほどの充実度でした。食のイベント「大宇陀松山ばるウォーク」も同時開催されていますので、時間に余裕をもって足を運んでみてください!
『はならぁと』こあエリアには有料会場も
歴史的な町家・町並みを活用してアート作品を展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015』(Twitter・Facebook)。
ボランティアが中心の実行委員会が、県の補助や企業の協賛を受けて運営しており、2014年は約4.5万人が足を運ぶイベントに成長しました。これをきっかけとして、空き町家約30件が店舗や住居として再活用されるなど、街の活性化にも大きな役割を果たしています。
すでに「はならぁと ぷらす」の開催エリアとなった、五條新町(紹介記事)、生駒宝山寺参道(紹介記事)は会期終了。いずれもとても楽しい内容でした。
続いてメインとなる「はならぁと こあ」の宇陀松山(宇陀市)・八木札の辻・今井町(ともに橿原市)が開幕しました(2015年10月24日~11月3日)。
今年の「はならぁと こあ」開催エリアでは、一部に有料の会場が設けられています。とはいえ、「指定の缶バッチを購入すれば、こあ3エリアの有料会場すべて入れます」という程度です。無料会場だけでも十分楽しめますが、やはり見応えがありますので、最初に手に入れておくといいでしょう。
『奈良・町家の芸術祭 はならぁと2015』公式ガイドブックと缶バッジ(=入場フリーパス)。この缶バッジ(300円)があれば3エリアすべての有料キュレーター会場に入れます。公式ガイドブック(500円)を購入しても1個もらえますので、こちらがお得かも。イベント運営のための資金になるはずですので、ぜひ協力してあげてください
<バッチ提示>マレビトの宿る社 @マルカツ
宇陀松山エリアで開催されている、有料(缶バッチが必要)のキュレーター会場のひとつが「マレビトの宿る社 @マルカツ」です。
主屋は江戸時代末期のもので、茶葉の商店だったり、養蚕が行われていたとか。通り庭が伸びる歴史ある建物を舞台に、3組のアーティストさんたちが家と観客を巻き込みながら演劇作品を作り上げる、という企画です。
私たちは時間の関係で演劇は見られませんでしたが、家の内部は興味深く拝見しました。床や壁が抜けていたり、細い階段を上がったり、見知らぬ家を探検できるのはとても楽しかったです!なお、建物のあちこちに物語を綴った紙が置いてあるので、それを集めてまわると、最後に冊子にしてくれます。ちょっと斬新ですね。
有料エリアですので、写真少なめで一部だけご紹介しておきます。実際はかなり広いお家ですし、不思議な小物もたくさんあったので、見応えがありますよ!
<バッチ提示>MOMENTUM @旧四郷屋
宇陀松山エリアで開催されている、もう一つの有料キュレーター会場が「MOMENTUM @旧四郷屋」です。
こちらは、以前はお花屋さんで、少し前までここに人が住まわれていた建物に、何組かのアーティストさんの作品が展示されています。ロウケツ染め、台所でのイラストの展示、マルチメディアの実験的アート、古い家屋に違和感を生み出すオブジェなど、バラエティに富んだ不思議な空間になっていました。
ここも有料エリアですので、写真だけで手短にご紹介しておきます。
信貴奨さんの「鯉百態図」@千軒舎蔵
もちろん、無料で拝見できる会場も充実しています。時間が足りなくてすべての展示を見ることはできませんでしたが、いくつかの会場だけピックアップしてご紹介しておきます。
「松山地区まちづくりセンター 千軒舎」の蔵が会場に。ここは外観も内部も趣きのある日本家屋で、トイレなども借りられます。古い蔵の中を覗いてみると……
美しい鯉のオブジェがいっぱい!「信貴奨」さんの、鯉にさまざまな文様が描かれた「鯉百態図」という作品です。木の床の上でも、水の流れが感じられるようでした
熊鯛商店さんの「Life Ring 2015」
インフォメーションが設けられているのは、宇陀松山の城下町の入口だった「黒門」の前。グッズの販売、公式ガイドブックのスタンプラリーの押印などもここでできます
その近くにあるのが、この土地に移住してきたアーティスト「熊鯛商店」さん(公式・Twitter)の作品。ここでショップを開いていて、商品の販売もなさってます。作品展示されている蔵の手前で、こんな小さなオブジェが出迎えてくれました
展示スペースは蔵。その中に「Life Ring 2015」というタイトルの作品があります。素材はブロンズと漆。2階の床が一部抜けていて、不思議な世界観で結ばれていました。この雰囲気、いいですね!
小松原智史さんの「アキヤマ」
古い旧家「アキヤマ」を舞台に、強烈なインパクトのある「小松原智史」さんの作品が展示されていました。何らかの商店だった建物で、店舗スペースだった部分に作品が展示してあるので、そちらに気を取られていると……
前に停めてある車の中にも、こんな作品が!
広い店舗スペースの床を埋め尽くすように、そして建物の奥までスペースを潰していくように、みっちり描き込まれた作品が並べてあります
一部をアップで。公式サイトによると「私は自分の作品から意味性や物語性、メッセージ性が生まれないよう画面を無意味化させる為に絵を描いています。」とのこと。建物の内部はもう薄暗かったので、より迫力を増していました
奥に長い建物の、一番奥の和室ではアーティストさんが薄暗い中で作業をなさってました。これは畳に直接描いているところ。そんなパターンがあるのか!
楽しい「大宇陀松山ばるウォーク」も開催中
宇陀松山エリアでは、はならぁと開催期間に合わせてさまざまなイベントが開催されています。こちらは、宇陀松山城破城400年を記念して開催される『大宇陀松山ばるウォーク』のポスター(2015年11月5日まで)。1枚500円(5枚つづり2,500円)のチケットを購入し、飲食店や土産物店などの特別メニューをお得に味わえるものです
こちらは『酒蔵カフェ 久保本家酒造』さん(紹介記事)のばるメニュー。「利き酒セット(小)」「粕汁(豚汁)+柿の葉寿司」「ドリンク+ミニデザート」の3種類が用意してありました。美味しそう!この他のお店でも、地元の銘菓「きみごろも」や黒川本家さんの本葛ぜんざいがあったり、かなり魅力的な内容です。時間に余裕を無かったのが悔やまれます……
ダリアを使った「宇陀松山華小路」も見事!
さらに、10月24日・25日(石景庵は27日まで)の両日は、地面にダリアの花を敷き詰める『宇陀松山華小路』の特別バージョンが開催されていました。この写真の石景庵と、いつもは路地で行われますが、今年は春日神社の参道が会場となりました
石景庵の裏手部分に、こんな見事な文様が!宇陀市の特産品のダリアの球根を収穫する際に落としてしまう花の部分を活用したものです。緑の部分は杉の葉を使っています。見事!
今年会場になっていた「春日神社参道」の様子。何十メートルもダリアが美しく並べられています!小耳に挟んだ情報によると、30人くらいで作業して丸半日かかったとか。すごい迫力でした!
また、春日神社参道の灯篭には、はならぁとの「おかむらみち」さんの作品が見られます。薬草が貼ってある灯籠に、夜になると火が入って美しく灯されるのだとか。夜に拝見したいですね
■奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015
HP: http://hanarart.jp/
Twitter: @HANARART
Facebook: https://www.facebook.com/hanarart
・はならぁと ぷらす
会場: 五條新町、生駒宝山寺参道
会期: 2015年10月10日(土)~ 10月18日(日)
・はならぁと こあ
会場: 宇陀松山、八木札の辻、今井町
会期: 2015年10月24日(土)~ 11月3日(火祝)
■生駒宝山寺参道│奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2015
詳細: http://hanarart.jp/2015/uda
駐車場: 大宇陀道の駅 第二駐車場など(無料)
アクセス: 近鉄大阪線「榛原駅」から車で15分ほど
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