
野外アート作品が並ぶ『室生山上公園芸術の森』@宇陀市
室生寺の近くにある、ユニークなオブジェが設置された『室生山上公園芸術の森』。地すべり対策のために整備された土地を公園化し、イスラエルの彫刻家「ダニ・カラヴァン氏」の大きな野外作品を展示しています。錆びた鉄やコンクリートを使用した作品は、ユニークでシュールで不可思議。とても楽しい公園ですので、ぜひお出かけください!
山間部の公園に現れる不思議なオブジェ
女人高野『室生寺』からほど近い場所に、ユニークなオブジェが設置された『室生山上公園芸術の森』という施設があります。2008年に一度行きましたが、とても不思議な雰囲気でした。
室生の山中のかなり奥まったところに、突然大きな公園が現れるのも不思議なものですが、じつはこの公園は、地すべり対策のために整備され、その土地を公園として整備したものです。過疎対策として村出身の彫刻家・井上武吉氏が計画した「森の回廊計画」をもとに、イスラエルの世界的な彫刻家「ダニ・カラヴァン氏」の大きな野外作品を展示しています。
自然豊かな室生の集落ですから、大きな公園やアート作品などがあれば、大きな違和感がありそうなものですが、カラヴァン氏の作品は、錆びさせた鉄やコンクリートなどを使用し、意外なほどしっくりきています。不思議な夢の中へ紛れ込んでしまったような印象すらありました。
とても写真映えする面白い被写体ですし、SNSなどに撮影した画像をアップすると、ちょっと注目を浴びるかもしれません。
また、すぐ近くに大きな『室生ひまわり畑』(紹介記事)もあります。見頃は7月下旬~8月中旬ごろですので、ぜひ合わせてご覧ください。
お子さんが観ても分かりやすく楽しめます
「室生山上公園芸術の森」は、室生寺の前を走る28号線の西側、細い山道を上がった先になります。
アクセスはよくありませんが、誰が観ても分かりやすいインパクトがありますし、作品の上に乗ったりもできますから、お子さんでも楽しく遊べるでしょう。所要時間は1時間ほどみておけばいいと思います。
不思議なくさび型!第1の湖「ピラミッドの島」
南駐車場「ビジターセンター」でチケットを買って入場すると、まず目に入ってくるのが「第1の湖(3つの島)」というエリアです。もとは水田だった形を活かし、湖に3つの島を浮かべた、神話的でありSF的である、不思議なエリアになっています
不思議なオブジェが浮かぶのが、第2の島「ピラミッドの島」。その背後の木が植えられた島が、第1の島「野鳥観測の島」。手前の円形ウッドデッキが第3の島「野外ステージの島」です
池にわたされた橋状のものをわたって「野外ステージの島」へ渡ります。美しくそろった木の流れと、手すりの錆びた風情がいいですね。その奥にはイベントができるスペースもあります
くさび状のオブジェが置かれた「ピラミッドの島」。周囲の緑との違和感がすごいですが、不思議としっくり収まっています
実際にオブジェの近くに行けますし、触ることもできます。金属部分は「コールテン鋼」という素材を使用。表面は茶褐色に錆びていますが、それ以上は進行しないため、耐久性は半永久的なのだとか
第2の湖には太陽の道が通る「太陽の塔」が
第2の湖に浮かぶ「太陽の塔(天文の塔)」。高さ8m×直径9m。脇のゲートの高さは6m。中央部分に階段があり、上に登れるようになっています
階段の逆側には、入口とスリットが。中に差し込む光が日時計の役割を果たすとか
このゲートは、奈良~伊勢へと重要な神社仏閣をつなぎ、古代の太陽信仰にも繋がるのでは……という説もある、北緯34度32分の「太陽の道(レイ・ライン)」を視覚化したものです。伊勢神宮・斎宮跡・三輪山・室生寺・長谷寺・箸墓古墳など、古代の重要な聖地がほぼ直線上に並んでおり、このゲートがその緯度を示しています
上にのぼって周囲を見晴らすこともできます。段差が大きいので注意が必要です
不思議な渦巻状の水路「螺旋の水路」
「螺旋の水路」という作品。第1の湖から流れてきた水は、この細い水路を通ります
このキンモクセイの木が流れ始め。ここを出た水は、渦巻状の方向へ流れていきます。水路に葉っぱを浮かべて流れる早さを競ったりできるとか
流れた水は、渦巻きの中へ吸い込まれていきます
まだお盆前だというのに、もう赤とんぼが飛んでいました!夏の室生は涼しくて過ごしやすいです
明と暗が切り替わる「螺旋の竹林」
こちらも螺旋モチーフの作品「螺旋の竹林」・遠目には何本かの竹が植えられているだけに見えますが、地下へ降りる螺旋状のスロープと階段になっています
スロープから階段へ。次第に薄暗くなり、明と暗、光と闇が切り替わる様が面白いですね
9月に燈火会イベント「龍王の燈まつり」が
「波形の土盛(つちもり)」。地面が波状にうねっています。両脇に植えてあるのは「ベニカナメモチ(レッドロビン)」という木だとか
波形の土盛の先にあるのが「弘法の七ツ井戸」という井戸です。歩道は井戸に近づくほど狭くなっていますが、井戸の方から振り返ると並木の線が平行に見えるそうです
公園の北側入口となる「施設棟」。無料休憩所になっています。自然の地形と角度を合わせて、周囲に溶け込むデザインに。建物内には明るい日差しが差し込みます
公園内の一部は、「棚田」として利用されていました。しかし、イノシシや鹿による食害がひどいようで、現在は空き地になっていました
天高くまっすぐ伸びる杉の木。爽やかな空に、涼やかな雲が流れていました
2014年9月6日(土)には、ここ室生山上公園芸術の森を会場として、美しいロウソクの灯りが灯る「龍王の燈まつり」(詳細)が行われます。不思議なアート作品と仄明かりが合わさって、ファンタジックな雰囲気になるんでしょうね!
■室生山上公園芸術の森
HP: http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/index.html
住所: 奈良県宇陀市室生区室生181
電話: 0745-93-4730
定休日: 火曜日
営業時間: 10:00 - 17:00(3月・11月・12月は16:00まで。1月・2月は休園)
観覧料: 大人 400円、高校生 200円、中学生以下は無料
駐車場: 無料
アクセス: 「室生口大野駅」からバスで15分、室生寺から徒歩20分
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