
シュールな芸術公園『室生山上公園芸術の森』
11月の3連休の中日、義父たちとともに室生方面へ出かけてきました(残念ながら、まだ紅葉には少し早かった・・・)。そのついでに、2006年3月の竣工の、アーティスティックな公園『室生山上公園芸術の森』へ立ち寄りました。
それほど期待して行ったワケではありませんでしたが、意外と良かったです!シュール系のアートが好きな方にはオススメですね。
「地すべり対策」+「アート作品」
『室生山上公園芸術の森』は、室生寺から車で5分ほど細い道を上ったところにあります。つまり正真正銘の「山奥」ですから、まさかそんなところに公園を作るなんて思いもよらないような場所にあるのです。
「こんなところに公園なんて、税金の無駄遣いだろ?」と思いながら説明書きを読んでみると、実はこの公園、元は田んぼだったところを、この一帯の「地すべり」対策のために整備されたのだそうです。必然性があって工事したところに、せっかくだからアート作品を設置して活用しよう、ということになったようなんです。
「公共事業とアートの合体」ですね。
そのデザインを監修したのが、著名な彫刻家「ダニ・カラヴァン氏」。都市や砂漠までも作品に取り入れるという、スケールの大きな野外作品を得意としている方で、室生の地を16回も訪問して、この公園のイメージを膨らませていったのだとか。
室生寺から車で5分ほど山奥へ入ったところにある『室生山上公園芸術の森』。駐車場から受付の辺りもガランとしていて、一見どんな施設なのかよく分からないかもしれません
貼り出してあった説明書。元は地すべり対策として整備する必要があった土地に、彫刻家「ダニ・カラヴァン」にデザイン監修を依頼し、彼の作品も展示しています。公園とし公共事業と芸術が一体となった、ちょっと変わった施設です
近隣のマップ。室生寺から歩いて20分ほどの距離にあります。東海自然歩道も近くにあるため、公園内を通り抜けしたいというハイカーの方もいましたが、しっかり料金を徴収されていました。ちなみに、仏隆寺まではかなりの距離があるので、健脚向けだそうです
南駐車場側のビジターセンターのエントランス。何もない空間ですが、デザインされた建物は面白いですね
シュールですが、意外と違和感ナシ!
私たちは南駐車場側から入場したため、真っ先に見えてきたのは「第1湖」でした。ここの中心は「ピラミッドの島」。キレイに手入れされた林をバックに、茶色の巨大なオブジェが立つ姿は、かなりシュールですね。
その先には、同じ素材で作られた「天文の塔」という、ややいびつな塔も立っていて、コチラもかなり面白いものでした。
その形だけ見ると、周囲の山林の風景から浮いてしまいそうなものですが、決してそんなことはありません。両塔は木材に錆びた鉄板を張って作ってあるようで、その色合いからか、意外なほどしっくりと馴染んでいるのです。お寺などを見るときにも、あまり色鮮やかなものだとちょっと落ち着かない気がするのと一緒で、錆びた鉄の色合いは自然に溶け込むのかもしれませんね。
また、公園内は隅々までしっかりと手入れされていて、背景に見える杉林から、公園脇の石段まで、本当に美しく保たれています。渋い和の雰囲気を感じさせる地形の中に、異形の塔がある姿は、かなり面白いものでした。
シュール系なアートがお好きな方なら、きっと気にいる風景でしょう。私がそのタイプですので、かなり楽しめました!
鬱蒼とし木々の間から、ピラミッド型の巨大オブジェが見えてきます。これは「第一の湖」で、中央に見えるのが「ピラミッドの島」。自然の中に人工物が置かれていて、不思議な眺めですね
ピラミッドの島に繋がる「ステージの島」。この池は、地すべり対策集水池として作られたもので、元は水田だったとか。背景にある杉林までしっかりと整備されていて、とても美しいですね
第2湖にある「天文の塔」。この塔の上に上ることもできます。全体に金属を錆びさせるという手法が用いられているためか、これだけ異形の塔でありながら、それほど周囲から浮いた印象は受けません
太陽の塔と太陽のゲート。ゲートの中央部分が分かれていますが、これは北緯34度32分の軸線に合わせた「太陽の道」。古代から、大和と伊勢を結ぶラインで、この線上に重要な古墳や寺社が配されてきたのだそうです
地すべり対策ということもあり、そこかしこに美しい石組みが見られます。細部までしっかりと管理されていて、日本庭園のような美も感じました
他にも「らせん系」の作品なども
この二つの塔以外には、コンクリートで作られた「螺旋の水路」と、階段状になっている「らせんの竹林」などがあります。広々とした敷地ですし、塔に上ったり、階段を下りたりもできますので、子供さんなどが喜びそうですね。
ただし、観覧料が「400円」というのは、公園としてはやや高い感じがするかも・・・。
ちなみに、1月・2月の2ヶ月間は完全にクローズしてしまうそうですので、お気をつけください!
「螺旋の水路」の渦まき部分。GoogleEarthの航空写真で見たら面白いかと思ったのですが、山奥過ぎてズーム画像がありませんでした(笑)
「螺旋の水路」の逆側。あまりにシュールな光景すぎて、カメラも斜めになってしまったようです!
こちらも渦まき系の「らせんの竹林」。地下に降りられるようになっていて、別の出口から出てこれます。陰影を楽しむものらしく、子供が喜びそうですね
「棚田の再現」と名付けられた一角。ここだけは以前のまま、棚田をそのまま残しているそうです。季節外れためか、それほど面白いものでは・・・
入場チケット(写りが悪くてスミマセン)。3パターン用意されていて、どのデザインもとってもシュールですね!
■室生山上公園芸術の森
HP: http://www.city.uda.nara.jp/sanzyoukouen/index.html
住所: 奈良県宇陀市室生区室生181
電話: 0745-93-4730
定休日: 火曜日
営業時間: 10:00 - 17:00(3月・11月・12月は10:00-16:00。1月・2月は休園)
観覧料: 400円(高校生200円。中学生以下は無料)
駐車場: あり
アクセス: 「室生口大野駅」からバスで15分、室生寺から徒歩20分