奈良博「お水取り展」と博物館系のチラシあれこれ
東大寺二月堂で催されている「修二会(お水取り)」に合わせて開催されている、奈良国立博物館の『特別展示 お水取り』を拝観してきました。ただの火祭りではない祈りの儀式の一端が理解できる、素晴らしい展示内容でした。その内容を簡単に、合わせて2013年春のお寺・博物館系のポスターたちもご紹介しておきます。
お水取りを深く理解できる内容でした
毎年この時期恒例となっている、奈良国立博物館の『特別展示 お水取り』を観てきました。
毎年3月、東大寺二月堂で約半月にわたって催される「修二会(お水取り)」に関する貴重な美術品や資料が展示してあるものです。私たちは初めて拝観したのですが、さすがの充実度ですね。
お水取りは単なる華やかな火祭りではなく、11人の練行衆(れんぎょうしゅう)が約1ヶ月にわたって祈り続ける行事です。天平勝宝4年(752)に実忠和尚が始められて以来、1262回目を迎える今年まで、一度も途切れずに続いてきています。
奈良に春を呼ぶ行事とされる東大寺二月堂の「お水取り」。正式には修二会(しゅにえ)といい、本尊・十一面観音に罪過を懺悔(さんげ)して除災招福を祈る、悔過(けか)という儀式が行われます。
「お水取り」は東大寺の実忠和尚(じっちゅうかしょう)が天平勝宝4年(752)に創始した十一面観音悔過の行法(ぎょうほう)に始まるとされます。それ以来、不退の行法として約1260年もの間、幾度かの危機を乗り越えながら、様々な人々によって支えられ、長い歴史を刻んできました。現在の修二会では、2月20日から月末までの前行(別火)、3月1日から15日までの本行を合わせ、約1ヶ月間にわたり様々な儀礼が行われます。
本展はその期間にあわせて開催される恒例の企画で、実際に用いられた法具、歴史と伝統を伝える絵画・文書・出土品などを御覧いただきます。
展示内容は、二月堂の秘仏ご本尊・十一面観音像の火災で焼け落ちた光背、二月堂を描いた曼荼羅、実際に使用された法具や衣装、修二会の際に読み上げられる過去帳や神名帳など。お水取りという法要の一端がリアルに伝わるようになっていました。1階部分では、二月堂内で行われる法要の様子を収めた映像が流されていますので、これはぜひご覧ください。ものすごい迫力ですよ!
お水取りを観に行かれる方は、特に必見ですね。華やかな大松明だけではなく、過酷ともいえる祈りの儀式である修二会について、より深く理解できると思います。
奈良国立博物館のこの時期の恒例の展示となる「特別展示 お水取り」。絵画あり、法具あり、書物ありと、あらゆる角度からお水取りについて解説してくれます
2013年のお水取り展のポスター。来迎しているのが東大寺二月堂のご本尊・十一面観音さまです。完全なる秘仏ですから、これから誰の目にも触れることはないでしょう。こうして描かれた姿を拝見できるだけでありがたいことです!
新館のエントランスホールには、お水取りで使用される「大松明」が展示してありました。ここは撮影禁止となっていることが多いのですが、お水取り展の間は記念撮影できるようになっています!
先端部分。かなり大きく作られていますので、これに火がついたら熱いですよね。二月堂へ参籠する練行衆たちの足元を照らすものなんですが、この大きさであれば清めの効果も高そうですよね
■奈良国立博物館「特別陳列 お水取り」
HP: http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2013toku/omizutori/2013omizutori_index.html
会期: 2013年2月9日(土)- 3月17日(日)
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
※「お水取り」参考サイト
お水取り|修二会|年中行事|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ
東大寺修二会(お水取り)について 2012 - Togetter
修二会 - Wikipedia
2013年春のお寺さん・博物館系ポスターなど
この春、奈良では特別御開帳なども行われています。博物館系のポスターなどと合わせて、簡単にご紹介しておきます。気になったものがあったら、ぜひ足を運んでみてください。
薬師寺では「東西両塔特別公開」を開催中です(2013年3月1日~20日)。現在、国宝・東塔は大規模な解体修理の真っ最中です。その現場を間近で見られるチャンスです!写真の写りはイマイチですが、このポスターはピンクを基調とした素敵なデザインですね。個人的に大好きです!
「東大寺ミュージアム」では、修理完成記念特別展『国宝・東大寺金堂鎮壇具のすべて』が始まりました(2013年3月1日~9月29日)。ちょっと渋めな印象ですが、「陽剣」「陰剣」の銘が発見された大刀など、「国家珍宝帳」に名前が見られるような貴重な宝物がズラリと並びます!国宝の日光菩薩立像・月光菩薩立像もおわしますので、私も必ず拝観したいと思います
東大寺では、「天皇殿特別拝観並びに東大寺本坊襖絵一般公開」も行われます(2013年4月10日~4月14日)。日本画家・小泉淳作画伯の「東大寺本坊襖絵四十面」、江戸時代の「聖武天皇坐像」、ご礼服一式などが拝見できます
大和文華館では、特別企画展「花の美、石の美、庭園の美」を開催中です(2013年2月23日~3月31日)。中国の文人たちからも珍重された、珍しい石や花などが展示されるとか。さすが面白い企画ですね
春日大社の宝物殿では、「春日権現験記 絵巻の中のファッションと暮らし」を開催中です(2013年1月17日~4月14日)。注目のテーマは「貴族のファッション、庶民のファッション、中世の食事と飲酒、眠りと夢、仕事と暮らしの楽しみ」などだとか
そして、奈良国立博物館でこの春開催される、當麻曼荼羅完成1250年記念 特別展「當麻寺」(2013年4月6日~6月2日)の新しいポスターも。メインビジュアルには當麻曼荼羅に加えて、あご髭をたくわえた四天王像も登場しています。當麻寺ファンとしては楽しみで仕方ありません!
こちらは京都国立博物館ですが、「[特別展覧会]狩野山楽・山雪」のポスターです(3月30日~5月12日)。京狩野の初代・山楽、二代・山雪の大回顧展というのですから、これは観ておきたい!二つ折りのチラシも豪華でカッコ良かったですので、ぜひ手に入れてください