2010-05-30

古代のチーズを食べ比べ!『飛鳥の蘇』&『古代の蘇』

古代のチーズを食べ比べ!『飛鳥の蘇』&『古代の蘇』

奈良の名物として復活した「古代のチーズ」=「蘇(そ)」。蘇復活の元祖「西井牧場」さんの『飛鳥の蘇』と、「ラッテたかまつ」さんの『古代の蘇』の2種類を食べ比べてみました。意外なほどの味わいの違いに驚きました!


天平時代のチーズ「蘇(そ)」とは?

古代のチーズ「蘇(そ)」とは、7世紀末に作られた記録が残っているほどの歴史ある食べ物です。製法は、牛乳をゆっくりと煮詰めて固めたもので、乳酸菌で発酵させたりしないとてもシンプルな食べ物です(発酵させたものは「醍醐」と分類されるようです)。

庶民が口にできるようなものではなく、超高級食材として貴族の宴席で振舞われたり、薬のようなものとして食されたりしたのだとか。

その味を奈良の地元企業が現代に蘇らせたものが、奈良名物として定着してきています。今回は2社の商品を食べ比べてみました。


蘇を復活させた西井牧場さん@橿原市

橿原市にある、西井牧場さんの直営店『みるく工房飛鳥』さん。搾りたてのミルクを使ったソフトクリームや乳製品が店内でいただけますので、飛鳥の帰り道などによく利用しています。

この西井牧場さんでは、古代のチーズ「蘇(そ)」を現代に復活させた『飛鳥の蘇』という商品を販売しており、今でも「蘇」=「飛鳥の蘇」の印象があるほど。飛鳥の特産品として蘇の名前が挙げられるようになった最大の功労者ですね。

この日は、夕方近くにお邪魔したためかもしれませんが、店頭の冷蔵ケース内には蘇は並んでおらず、店員さんに聞いてみたらカウンター裏から持ってきてくれました。

『飛鳥の蘇』は、明日香村のお土産物屋さんでも手に入りますが、賞味期限が1週間と短いため、どこもそれほどの数は入荷していないようです。要冷蔵の食品ですので、あまり早い時間に購入するのも気がひけると思いますが、完売してしまう前に購入しておくのがベターでしょう。


古代のチーズ「蘇」食べ比べ-01

橿原市の明日香村との境近くにある『みるく工房飛鳥』さん。古代のチーズを再現した「飛鳥の蘇」を作っている西井牧場さんの直営店です。駐車場側から写しているので地味ですが、通りに面して大きな看板が掲げてあります

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-02
『みるく工房飛鳥』さんの店内。狭めですが、簡単な椅子も用意されています。乳製品がいただけるのはもちろん、パン付きのスープセット、薬膳カレーなどの食事メニューもあります

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-03
やっぱりソフトクリームが欲しくなりますね。バニラと大和茶とのミックス(@350円)です。甘さ控えめて美味。また、ソフトクリームメニューに「本生キャラメル(@450円)」というものもありました。こちらも美味しそう!

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-04
冷蔵ケースの中には、自社製のミルクを使った商品がズラリと並びます。「飛鳥の美留久」「飲むヨーグルト 飛鳥の酪」など、美味しそうですね。夕方だったためか、お目当ての「飛鳥の蘇」はケース内に見当たりませんでした。店員さんに確認したところ、レジの奥にしまってあったようでした


■みるく工房飛鳥

HP: http://www.asukamilk.com/
住所: 奈良県橿原市南浦町877
電話: 0744-22-5802
定休日: 無休
営業時間: 10:00 - 17:30
駐車場: 数台分あり

●過去の掲載記事
牧場直営の乳製品が食べられる『みるく工房飛鳥』


「古代の蘇」のラッテたかまつさん@葛城市

こちらは葛城市にある『ラッテたかまつ』さん。自家製ミルクを使った美味しい乳製品を食べさせてくれますので、これまでに何度もお邪魔しています。

ラッテたかまつさんでも『古代の蘇』という、オリジナル商品の販売をしています。こちらはやや後発ということもあり、お土産物屋さんではあまり見かける機会もありませんが、これから販売先も増えていくと思います。


ラッテたかまつ@葛城市-01

葛城市にある『ラッテ・たかまつ』さん。40年前にこの土地で酪農を始め、新鮮なミルクを使った様々な乳製品を製造・販売しています

ラッテたかまつ@葛城市-02
建物に入ってすぐにアイスのケースとレジがあります。アイスは30種類近くが並んでおり、広々したテラス席でいただくことができます

ラッテたかまつ@葛城市-08
蘇を使ったアイス「蘇最中あいす(@300円)」なども販売されています。8種類あり、とっても上品な和菓子のような味わいでした


■葛城高原 ラッテたかまつ

HP: http://www.latte-takamatsu.com
住所: 奈良県葛城市山口278-3
電話: 0745-62-3953
定休日: 火曜日(12月-3月は火・水曜)
営業時間: 10:00 - 17:00(12月-3月は16:00まで)
駐車場: 数台分あり

●過去の掲載記事
古代のチーズ入り『蘇最中あいす』@ラッテたかまつ


お値段・サイズ・見た目など大きく違います

今回は、西井牧場さんの『飛鳥の蘇』と、ラッテたかまつさんの『古代の蘇』を2つ並べて食べ比べしてみました。同じ「古代のチーズ」とはいえ、お値段・商品サイズ・賞味期限・見た目など、大きな違いがあります。まずはそれぞれのスペックから。


●飛鳥の蘇(西井生乳加工販売所)

・種類別 - 濃縮乳
・乳固形分 - 70%以上
・内容量 - 80g
・賞味期限 - 7日間
・お値段 - 1,000円(グラム当たり12.5円)


●古代の蘇(農事組合法人 ラッテたかまつ)

・種類別 - 濃縮乳
・乳固形分 - 70%以上
・内容量 - 50g
・品質保持期限 - 18日間
・お値段 - 700円(グラム当たり14.0円)


80gと50gと、大きさの違いに目が行きますが、グラム当たりに換算するとほぼ変わりません。古代の人たちが珍重したように、今でもなかなかの高級品であることが分かりますね(笑)


古代のチーズ「蘇」食べ比べ-05

左手が、蘇の本家といえる西井牧場さんの『飛鳥の蘇(80g・1,000円)』。右手が、後発のラッテたかまつさんの『古代の蘇(50g・700円)』。どちらもかなり小さめで、それなりの高級食品ですね

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-06
パッケージ裏面と、商品の案内

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-09
パッケージを開けてみたところ。80gの『飛鳥の蘇』と、50gの『古代の蘇』で、かなりのサイズの差を感じます

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-10
開封してみると、『飛鳥の蘇』はやや淡い茶色ですが、『古代の蘇』はもっと色合いが濃く、より煮詰めてある印象です


「正統派」と「現代風」という印象でした

2種類を切り分けて食べ比べてみると、味わいは大きく違います。

●飛鳥の蘇
舌触りはややザラッとしていて、ミルクの風味も穏やか。ほのかに甘みが感じられる程度で、現代のチーズと比べると格段にシンプルです。舌の上でゆっくりと溶かして、じっくりと味わいたいです。古代のレシピを再現した「正統派の蘇」と言えるのかもしれません。

●古代の蘇
濃縮度が高いのか、色合いも濃い茶色で、現代のチーズほどではないにしろ、甘みも旨みもはっきりしています。舌触りも滑らかで食べやすいですね。こちらは「蘇の改良版」という印象でしょうか。個人的には、こちらの方が美味しく感じられました。

ただし、このような違いが分かるのも、2種類を目の前に並べて同時に食べ比べたからで、普通にどちらかのみを食べたのでは、それほど違いは感じられなかったかもしれません。

いずれも、現代のチーズほどのインパクトはありませんが、じんわりと美味しい食べ物ですので、ぜひ奈良(特に飛鳥)にいらっしゃった方は一度お試しください。天平貴族の気分が味わえるかもしれませんよ!


古代のチーズ「蘇」食べ比べ-13

それぞれを小さくカットして、じっくりと味わってみました。こう見ると、色合いの違いは明らかで、まるでお味噌のように見えます(笑)

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-08
やや細かくてみづらいですが、西井牧場さんの『飛鳥の蘇』の説明文です。搾りたての生乳を7~8時間火にかけ、水分をとったものを型ワクにいれ整形したもので、もちろん添加物はいっさい使用されていません

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-11
『飛鳥の蘇』のアップ。舌触りはややザラッとしていて、ミルクの風味もとっても穏やかです。発酵食品である現代のチーズのような強い個性はなく、甘みもほのかに感じられる程度。でも、きっとこのほのかな甘みが古代の人々にはとても貴重なものだったんでしょうね

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-07
ラッテたかまつさんの『古代の蘇』の説明文。「牛乳だけを煮詰め、水分だけをとった自然食品です。添加物はいっさい使っておりません」とあります

古代のチーズ「蘇」食べ比べ-12
『古代の蘇』のアップ。色合いはキャラメルに近づいています。飛鳥の蘇と比べると、舌触りも滑らかになっていて、ミルクの旨みもやや強めに感じられます。現代人の味覚としては、こちらの方が食べやすく感じられるでしょう






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