2019-10-25

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019『橿原 今井エリア』

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019『橿原 今井エリア』

奈良県内の町家や空き家に現代アートを展示する『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』。ぷらす会場となった「橿原 今井エリア」を拝見してきました。立派な商家の建物にびっくりするようなインスタレーション作品があったり、天井板が崩壊した建物ではチェーンと菅原文太さん(の写真)が出迎えてくれたり。楽しかったです!


「古い建物×現代アート」の違和感が見所

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-00

今年で9年目を迎えたアートイベント『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』(TwitterFacebook)。

奈良県内の町家や空き家を活用し、現代アートを展示。イベント期間が終了した後には、会場となった建物がカフェや住居として生まれ変わるなど、地方で深刻な「空き家問題」の解消にも貢献しているイベントです。

“現代アート”と聞くと、難解なイメージがあって身構えてしまいがちですが、建築もアートも好きな私たちは、毎年とても楽しませてもらっています。落ち着いた建物に、突飛(?)としか思えないようなアート作品が展示されていたり、ギャップが面白いかったりもします。

2019年に「はならぁと ぷらす」が開催された「橿原 今井エリア」の模様をレポートします(※すでに会期終了)。エリア内の一部しか拝見できませんでしたが、十分楽しかったです!


駒繋にドードーに @今井まちづくりセンター

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-01
アートイベント『奈良・町家の芸術祭 はならぁと』ぷらす会場となった橿原市・今井町エリア。かつては「大和の金は今井に七分」と称されるほど繁栄しました。東西600m・南北310mにわたって室町時代からの建物が残り、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、風情ある町並みが続きます

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-02
こちらは、今井まちづくりセンターで展示された「坂野真子さん」の作品たちです。今井町のシンボル「駒繋」や、作家さんが思い入れがあるという絶滅鳥のドードーなど、静けさと不思議さが感じられる世界観の作品が並びました

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-03
今井町の蘇武橋にある榎を中心に、水の流れ、蓮の花などをイメージしたとか

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-04
中庭部分には、こんな吹き流し状の布が(奥にはヤタガラスの染め物)。小雨だったこの日はしっとりとしていて、滝の水音が聞こえるようでした。晴れた日や風が吹く日にはまた違った表情が見られるそうです


蝶番と襖の引き手 @今井まちや館

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-05
18世紀初期頃の町家で、江戸時代は金物屋だった建物「今井まちや館」では、3人組のアーティスト「RRR / アールさん」の作品が展示されました

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-06
展示のタイトルは「奏で御金物(かなでおんかなもの)」。こちらは掛け軸に映像作品を投影したもので、蝶番(ちょうつがい)」がモチーフになっています。これがかなりかっこよくて、自宅に欲しいくらいでした!

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-07
はしご段を上がったつし二階では、壁面に映像が。金属の鳥かご、そこから飛び出しそうな蝶番。虫籠窓から光が差し込む屋根裏部屋が不思議な空間に

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-08
建物の奥の縁側部分には、不思議なパーツが並びます

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-09
ズラリと並んでいるのは、金物屋だったこの建物で商われていた「襖の引き手」。列ごとに繋がれていて、機械制御でランダムに振動するようになっています

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-10
振動させることにより、襖の引き手に張った水の水面が揺れ、外の光がキラキラとリフレクトします。貴重な建物だけにあまり水量を増やすことができず、アーティストさんはやや不本意な気持ちもあったようですが、ついついクセになるユニークな展示でした!


編まれたチェーンと昭和住宅 @大橋家

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-11
空き家になっている住宅・大橋家では、「長門あゆみさん」による「chaining -路を辿る-」という展示が行われました。

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-12
不思議なオブジェとチェーン。建物自体は、おそらく昭和のもの。かつては駄菓子屋を営んていて、この展示が終了後に取り壊される予定だとか

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-13
ずっと無住が続いて、室内は荒れ果てています。いっぱいに広がるチェーンは、かつて交易の拠点として栄えた今井町がイメージされているとか。写真からは邪悪さが感じられるかもしれませんが、壁の古いカレンダーやペナント、本棚の古い百科事典などがあり、不思議なブレンド具合でした

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-14
室内の装飾自体がすごい。天井や壁面のライトが、こんなちょっとエロくてチープな感じです。昭和30年代くらいのものでしょうか

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-15
こちらの壁には、突然の文太!圧倒的な違和感を振りまいていました(笑)


花鹿と墓らしきもの @旧米谷家住宅

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-16
旧米谷家住宅の「新山浩+神戸市立科学技術高校」の皆さんの展示は、タイトルが「花鹿は黄昏に走りだす」です

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-17
天井の高い土間。かまどの裏に、木材を何枚も張り合わせた鹿と羊が。その足元には小さなお花畑があります

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-18
一方、お座敷には堂々とした山の絵が。橿原市で山が3つということで「大和三山」かと思いきや、ボランティアガイドさんが作家さんに何気なく聞いてみたところ、「これは墓です」という返答だったとか。意外でびっくりしました(笑)

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-19
小さめの作品も。展示方法がかっこいいですね


象、爆発する受胎告知 @今井景観支援センター

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-20
今井景観支援センターでは奈良教育大学絵画研究室×北海道教育大学油彩画研究室」の皆さんの作品が展示されました。さまざまなワークショップも開催されたそうです

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-22
入口部分に展示してあった「ひかり」という作品(作者名は失念)。象の体に文様が入り、鼻先には稲穂、ところどころから雀が顔を覗かせるなど、目を引かれる作品でした

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-21
座敷には学生さんたちの作品が展示されていたり、

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-23
蔵の前には、指導教員の狩野宏明さんの「爆発するマリア」という作品があったり。西洋絵画で繰り返し描かれてきた“受胎告知”をモチーフに、創造的で生命力をもった爆発を描いたのだとか。素敵です!

奈良・町家の芸術祭 はならぁと2019 @橿原今井エリア-24
かと思うと、こんなキノコの造形物があったり。時間の関係で橿原今井エリアでもほんの一部しか拝見できませんでしたが、十分楽しませていただきました!


■奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2019

HP: http://hanarart.jp/
Twitter: @HANARART
Facebook: https://www.facebook.com/hanarart


●はならぁと こあ【宇陀松山エリア】
・会期 :2019年10月18日(金)~20日(日)、10月25日(金)~27日(日)

●はならぁと ぷらす【橿原 今井エリア】
・会期:2019年10月19日(土)~27日(日)

●はならぁと ぷらす【橿原 八木エリア】
・会期:2019年9月27日(金)~29日(日)、10月4日(金)~6日(日)

●はならぁと あらうんど【奈良市柳生エリア】
・会期:2019年11月13日(水)~20日(水)

●はならぁと あらうんど【吉野町上市エリア】
・会期:2020年2月8日(土)~11日(火・祝)


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