美しい石垣が遺る巨大な山城跡『史跡 高取城跡』@高取町
高市郡高取町の『高取城跡』。幕末まで使用されていた日本最大規模の山城で、「日本100名城」にも選ばれています。天守などはありませんが、美しく積み上げられた石垣が山のいたるところに遺り、当時のスケールを実感できます。その姿はどこか「天空の城ラピュタ」のよう。楽しく散策できました!
「日本三大山城」「日本100名城」のひとつ
高市郡高取町の、国指定史跡『高取城跡』(Wikipedia)。
「高取山」(583.9m)の山頂に築かれており、「日本三大山城」のひとつに数えられています。また、奈良県から唯一「日本100名城」にも選ばれています。
南北朝時代の1332年、豪族・越智八郎によって築城。後に郡山城主・豊臣秀長の命を受け、1583年に本多氏が入城し、本丸に大小の天守閣を築くなど、近代的な城郭へと整備しました。1640年には譜代大名・植村家政が入城。1869年の版籍奉還まで14代に渡り居城しましたが、1873年に廃城となりました。
最初の城門から本丸までの高低差は390mあり、日本最大を誇ります。とても攻めづらい難攻不落の山城であり、幕末には、吉村寅太郎らの天誅組の軍勢(約千人)に攻められましたが、わずか200名ほどで撃退したとされています。
最近では、天空の城として、兵庫県朝来市「竹田城」(Wikipedia)が話題ですが、規模でいえば、高取城はそれをはるかに凌いでいます。
『史跡 高取城跡』の説明書き。山上に本来の城と家臣の屋敷地まで置いたため、とても広大に。平和な時代には山上での生活が不便なため、藩主らは山を下り、城郭と城下町が離れているという、珍しい形になったのだとか
掲示してあった「日本三大山城説明板」。奈良県高取町「大和高取城」、岐阜県恵那市「美濃岩村城」、岡山県高梁市「備中松山城」の3つなのだそうです
攻め落としづらい難攻不落の山城
高取城跡へのルートはいくつかありますが(駐車場などは後述)、規模の大きな山城のため、いたるところに石垣が残っていることに驚きます。崩れかかったものもありますが、どれも見事ですね。
戦国時代には守りやすさを重視して、こういった山城も多く築かれましたが、近世には生活に便利な平地へ城が移されることが増えます。高取城のように山城のままで、壮大な天守に小天守、石垣などが築かれたのは珍しいのだそうです。
敵が攻めづらいように、あえて道を何箇所も曲げてあるため、まったく先が見通せません。この石垣の上に城側の兵がいて行く手を阻んでくると考えると、お城を攻め落とすのも大変です。そんなことを考えながら歩くと臨場感がありますね!
駐車場からの道、駅からの道は「大手門(別名:御城門)」跡で合流します(本丸まで289m、壺阪山駅まで4,484m)。この石垣だけでも立派ですが、門があったらさらに雄壮な眺めだったでしょうね
「大手門」の説明。ニの門・壺坂口門・吉野口門の3箇所の道が、ここで合流。大手門がお城への唯一の入口だったそうです。こうした分かりやすい看板が何箇所も設置してあって親切です
大手門の位置から高取城を望んだところ。向かって右が古い写真、左がCGで復元したものです。明治20年頃まで建物が残っていたとか。現在は大きな木が育ってしまって、ほぼ見通せないようになっています
こんな石垣を横目に進みます
大手門を突破して先へ進むと、やや広い場所へ出ます。向こうに見える石垣が本丸かと思いきや、まだ櫓(やぐら)です。攻める側は大変ですね!
櫓跡は「天空の城ラピュタ」のよう!
二の丸の前に築かれた「太鼓櫓」「新櫓」という櫓の石垣。このエリアがとても美しいんです!
石垣で段差が作られていて、高い位置から敵と対峙できるようになっています
櫓跡へ登ってみたところ。ジブリ映画「天空の城ラピュタ」のよう!ベンチがあって休憩できるようになっているのもいいですね
石垣の隅っこまで行けます。囲いなどはありませんし、石垣が崩れないとも限りませんので、十分にお気をつけください
高くそびえる天守台の石垣。美しいです!
高取城の本丸が築かれていたエリアへ。この石垣は何メートルあるんでしょうか。かなり高いです
きっちりと美しくそろった石垣。石を平たくして積む「打込み接ぎ(うちこみはぎ)」という手法で、さらに長方形の短辺と長辺を交互に重ねる「算木積み(さんぎづみ)」という形式なのだそうです
周囲の石垣もしっかりと残っています。ちなみに、石垣の一部は後の時代に補修されていて、漆喰が付随した石が見つかっています。これは桜井市あたりの古墳で使用されていたものだとか。中性の大和国は石が不足していたと言いますから、古墳の石も貴重だったんでしょうね
本丸へと続く道も、かくかくと何回も折れ曲がっています
本丸があったエリア。説明書きには「本丸は大小二棟の天守閣と鉛櫓・煙硝櫓・多聞櫓(塁上に設けた細長い単層の櫓)と塀によって接続する。これを連立式形態といっている。」とのこと。山城でありながら、平城のような整然とした姿だったようです
本丸跡からの眺め。十津川や吉野の山々が見えます
高取城の石垣がそのまま遺されていて、ほとんどの場所へ立ち入りできます。城壁の隅っこから下を見下ろすこともできます。危険ですから、特にお子さんなどはご注意ください
アクセスは電車がベター。駐車場もあります
高取城へのアクセスは、徒歩でも車でも可能です。一応は城跡のすぐ近くに駐車場もありますので、簡単にご説明しておきます。
電車の場合 - 壺阪山駅から徒歩2時間ほど
近鉄吉野線「壺阪山駅」から徒歩2時間ほどのハイキングコースとなります。
駅から、歴史ある町並みが残る「土佐街道」を通って高取城跡へ。帰りは『壷阪寺』(紹介記事)方面から下るというコースなどが考えられます。それほど厳しい上りはありませんので、お気軽にどうぞ。
詳しくは、高取町観光ガイドさんの「高取城跡コース コースダイジェスト」のページをご参考になさってください。
車の場合(七ツ井戸の駐車場を利用)
壺阪山駅から細い山道を15分ほど上がり、突き当り部分の「七つ井戸」に、4台分ほどの無料駐車場があります。ただし、大きな車だと切り返しも難しいくらいの狭さですので、運転が苦手な方はくれぐれもお気をつけください。
高取城跡「七ツ井戸」の駐車場。道路の終点にある4台分ほどの狭いスペースで、大きな車だと切り返すのも難しいかも。仮設トイレが設置してあります
やや急な山道を上がっていくと、10分ほどで城跡へ到着します。道端に、おそらくお城の屋根に乗っていたであろう古い瓦などが散乱しています
七ツ井戸の駐車場からは、「太鼓櫓」「新櫓」の横あたりに出ます。次第に美しい石垣が見えてきて感動します!
車の場合(八幡神社付近の路肩)
七つ井戸の駐車場の300mほど下に、「八幡神社」の参道入口近くに、ちょっとした登山口のようなスペースがあります。この辺りは比較的道幅の広くなっていて、一応は路肩に車が停められるくらいのスペースはあります。
ただし、かなり急な坂の途中に停めることになるためお勧めはしません。高取幼稚園や児童公園の近くに観光用の無料駐車場がありますので、そちらを利用するのがベターでしょう。
ここから壺坂口門跡などを通り、「大手門」の辺りへ出てから本丸へ向かいます。本丸までの距離は550m。ここから15分もあれば登れるでしょう。
「八幡神社」の参道入口近く。舗装道路から未舗装へと切り替わるあたりです。この写真の背後のあたりはやや道幅が広めなので、路肩に停められないこともありません。ここにも仮設トイレが設置してあります
本丸までの道は、しっかりと整備されて歩きやすくなっています。15分~20分もあれば到達するでしょう
「壺坂口門跡」などを通って、「大手門」のあたりへ出ます
城マニアじゃなくても楽しめます!
巨大な山城の石垣がほぼそのまま残っていて、高取城跡は本当に見応えのある場所です。
大人気の観光スポットとなっている竹田城と比べると、「木が大きく育ってしまっている」「近くから城を見下ろせる場所がない」などのは点で、観光地的にはやや劣るかもしれませんが、お城のスケール感を自由に体感できるのはいいですね。
私たちもまだ全コースは経験していませんが、壺阪山駅から山道を歩くと、城攻めをした兵の気分が味わえるでしょう。どこから攻めるか、どうやって守るかなどを妄想しながら、ハイキングがてら歩いてみてください!
■史跡 高取城跡
HP: 参考サイト(高取町観光ガイド)
住所: 奈良県高市郡高取町高取
駐車場: 数台分あり
アクセス: 近鉄吉野線「壺阪山駅」から徒歩2時間ほど
※7月・8月ごろはマムシなどが出没するそうです。出来ればこの時期は外しましょう
※実際に現地に行ったのは「2014年4月27日」でした
■参考にさせていただきました
高取城■高取町観光ガイド
高取城 - Wikipedia
ポスト竹田城の最有力候補!?山上に築かれた戦国の巨大城砦跡 ~高取城(奈良県高取町) | 奈良県 | [たびねす] by Travel.jp
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