元遊郭建築『旧山中楼』取り壊し前の一般公開 @大和郡山市
大和郡山市の洞泉寺町の、かつては遊郭だった建物4軒の取り壊しが決定しました。所有者さんのご厚意で、その1軒「旧山中楼」が一般公開されましたので、拝見してきました。長い間、一般の住居として使用されてきただけに「古い昭和的なお宅」といった印象でした。簡単にご紹介しておきます。
貴重な建築物が最後の一般公開に
大和郡山市の洞泉寺町には、かつて10軒以上もの「遊郭(ゆうかく)」が存在しました。その建物はいくつか現存しており、そのうちの1軒である登録有形文化財「旧川本家住宅」は「町家物語館」として生まれ変わり、一般公開されています。
「旧川本家住宅」を筆頭に、木造3階建ての独特な建物が立ち並ぶ光景はとても印象的でしたが、残念ながら4軒の取り壊しが決定。所有者さんのご厚意で、急きょそのうちの1軒「旧山中楼」の一般公開が行われました(2020年3月1、2日)。
※参考記事:「大和郡山の歴史の一コマ」遊郭建築に別れ 取り壊し決定「旧山中楼」公開 - 毎日新聞
私たちもその内部を拝見してきましたので、簡単にご紹介しておきます。
旧遊郭建築が立ち並ぶ、大和郡山市洞泉寺町。写真の右手など4軒が取り壊しとなります。路地の正面に見えるのが、元遊郭だった「旧川本家住宅」(登録有形文化財)を改修した「町家物語館」です
路地を逆から見たところ。手前のサイドがトタン張りになっている建物が、この日公開された「旧山中楼」です。木造3階建てという、現在では許可されないであろう建築です
玄関を入ってすぐ。独特の建具が目を引きます
その脇には「山中楼」の文字が入った鏡がそのまま遺されていました
玄関脇の居間。長い間、一般の住居として使用されていたため、ぱっと見は普通の古い民家にしか見えません
居間を奥側から
中庭側(小さな祠が祀られています)を見ると、すでにビニールで覆われていました。年代物の建具やすりガラス、廊下の高欄などどれも味があります!
建物の奥から玄関方面を見たところ。中庭に面した渡り廊下のようになっています。風情はありますが、雨風も当たりますし寒い冬などは大変だったでしょうね
こちらはキッチンの様子。昭和の台所という雰囲気です
浴室も昭和的な作りでした
懐かしい計器類など。貴重な遊郭建築ですが、全体的に老朽化が進んでいて、これを修理・保存するのはなかなか難しいという印象でした。最後に一般公開をしてくださって感謝です!
Twitterにはこんな投稿も
市役所の方?とオーナーさんが立ち話していたのですが、オーナーさん側からは市役所へ旧遊郭群をなんとか活用出来ないものか相談していたそう(修繕してくれたら年100万(!)で貸したるとか云々…)人口10万に満たない市の財政ではかなり難しいようですね…せめて状態の良い山中楼だけでも民宿とか… pic.twitter.com/M6g2F8NE7o
— makes no sense (@onmusiconlife) March 2, 2020
遊郭建築は「町家物語館」で見られます
山中楼とともに取り壊される旧遊郭建築。こちらはさらに内部の傷みが激しいそうです。お寺の鐘楼のような(または収容所の見張り台のような)3階部分に入ってみたかった!
また、この一帯にはまだ2軒の旧遊郭建築が現存しており、住居として使用されていますので、外観を眺めることはできます。遊郭建築に興味をお持ちの方は、ぜひ旧川本家住宅「町家物語館」(拝観無料!)へお越しください!
■参考にさせていただきました
・「大和郡山の歴史の一コマ」遊郭建築に別れ 取り壊し決定「旧山中楼」公開 - 毎日新聞
・消えた遊郭・赤線跡をゆく番外編-洞泉寺遊郭山中楼
・消えた遊郭・赤線跡をゆく-大和郡山 洞泉寺遊郭
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