
キーワードを集める『大和浪漫回廊』恋する万葉歌碑
『大和浪漫回廊~巨大古墳ミステリー・恋する大和路~』が開催されています。今年は、「古墳カード」を集める「巨大古墳ミステリー」(紹介記事)と同時に、万葉歌碑を巡って6つのキーワードを集める「恋する万葉歌碑」もありますので、こちらもぜひ参加してみてください。
好評だった『大和浪漫回廊』の第二弾です
2011年10月15日から、『大和浪漫回廊~巨大古墳ミステリー・恋する大和路~』という企画が開催されています(2012年3月27日まで)。
昨年も『大和浪漫回廊~万葉集・古墳を巡る~』というイベントとして、奈良県内のポイントを巡って「古墳カード」を集め、プレゼントがもらえるという企画がありました。
この古墳カードを集めるシステムはそのままで、今年は「恋する大和路」という、飛鳥と桜井・三輪の万葉歌碑を巡って6文字のキーワードを完成させる企画も加わっています。古墳めぐりの「巨大古墳ミステリー」とはエリアが重なっていますので、両方を同時に回ると応募できる「パーフェクト賞」を狙ってみてください!
『大和浪漫回廊』のポスター。今回は、200m級の古墳めぐり「巨大古墳ミステリー」と、万葉歌碑めぐり「恋する大和路」の2本柱です。それぞれ6箇所ずつ回るとコンプリートでできます
キャンペーン冊子の中の1ページ。巨大古墳ミステリー編は、「山の辺の道の古墳群」「馬見の古墳群」の2コースになっています。実際に古墳を巡り歩くと、そのコース上に古墳カードの配布場所に立ち寄れるようになっています。まずはこの冊子を手に入れるところからスタートしてください
「恋する大和路」企画からは、「飛鳥の万葉歌碑」「桜井・三輪の万葉歌碑」の2コースがあります。万葉歌碑を巡って歩き、そこで分かるキーワードを集めるだけとお手軽です。このコース内にも古墳カード配布場所が混ざっていますので、両方を同時に回ると応募できる「パーフェクト賞」を狙った方が効率的かもしれません
パンフレットの後ろ側には、古墳カードの配布場所を示した「奈良県の200m級巨大古墳ランキング ベスト20」というページと、万葉歌碑めぐり関連として「パワースポット・良縁祈願スポット」が掲載されています。キャンペーン用ではなく、ちゃんとした観光ガイドとしても使えますね
6ヶ所で各1文字のキーワードを集めます
『恋する万葉歌碑』企画では、「飛鳥の万葉歌碑」「桜井・三輪の万葉歌碑」の2コース、計6ヶ所の万葉歌碑をめぐり、6文字のキーワードを完成させます。キーワードを応募すれば、素敵な景品が当たります。とてもシンプルなルールですから、特に迷うこともないでしょう。
また、パンフレットには万葉歌碑めぐりをしながら立ち寄れる良縁祈願スポットなども掲載してありますので、そちらと一緒に歩いてみるのもいいかもしれません。
万葉歌は、分かりづらくて親しみのないものに感じられるかもしれませんが、意味を知ってみると意外と面白いものです。飛鳥や三輪の土地は、昔は日本の中心地だったのですから、万葉人の時代にはとても華やかだったのです!ただの石碑めぐりとしてではなく、その土地でその歌が詠まれた昔の風景を想像しながら歩いてみると、より楽しめると思います。
飛鳥の万葉歌碑「1番」欽明天皇陵付近
恋する万葉歌碑「飛鳥の万葉歌碑」の1番は、明日香村平田の「欽明天皇陵」の近くにあります(駐車場もあります)。隣接する「吉備姫皇女王墓」の中に、ユニークな表情の「猿石」たちがいますので、そちらと合わせてどうぞ
お目当ての万葉歌碑は、欽明天皇陵のお堀沿いの南側の道を歩いた先にあります。この写真では、車が停まっているすぐ先にあたります。遠目に見えるものではありませんが、周りに何もないので見つけやすいと思います
「さ檜隈(ひのくま) 檜隈川の瀬を速み 君が手取らば 言寄せむかも」という作者未詳の歌の歌碑。下の小さな部分に現代語訳も書いてありますし、パンフレットにも解説があります。今では檜隈川は目立ちませんが、その当時の様子を想像してみてください
このような万葉歌碑の近くに、小さく「チェックポイントキーワード」が書かれています。1ヶ所につき1文字。計6ヶ所を周ってキーワードを完成させます
君が手取らば 言寄せむかも
●所在 明日香村平田 欽明天皇陵 南側遊歩道沿い
●揮毫 犬養孝
「噂になると困るでしょう」と同時に、「もう噂になっても構わないでしょう」という意味も含まれた、微妙な乙女心を詠んだ恋歌だそうです。
飛鳥の万葉歌碑「2番」飛び石脇
「飛鳥の万葉歌碑」の2番は、明日香村の中でも奥まった「稲渕」地区にある、飛鳥川の飛び石です。石舞台古墳の脇の道を奥へと進んだ先にあります。こんな素朴な目印がありますので、下の細い道を進んでください
これが万葉歌に詠まれた「飛び石」。万葉人たちは、この飛び石を超えて妻のもとに通ったのです。その時代そのままとは思いませんが、今でもこうして遺されているのが飛鳥らしくていいですよね。清らかな水の流れを見ているだけでも落ち着きます
石橋のすぐ脇にたつ万葉歌碑。「明日香川 明日も渡たらむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも」
遠き心は 思ほえぬかも
●所在 明日香村稲渕 飛鳥川の石橋
●揮毫 犬養孝
明日香川を渡って女性のもとに足繁く会いに行く男性の気持ちを詠った歌。石を並べただけの石橋では、石と石との距離が遠いと不安になります。それを男女の心の距離と重ねているのだそうです。
飛鳥の万葉歌碑「3番」万葉文化館付近
「飛鳥の万葉歌碑」の3番は、明日香村小原の「万葉文化館」入口交差点のすぐ近くにあります。道路から一段下がった遊歩道のようなところにありますので、やや見つけづらいかもしれません。すぐ近くには万葉文化館があります(駐車場も無料です)。この辺りが万葉歌に詠まれた「小原の里」になります
「大原の この市柴(いつしば)の 何時しかと わが思ふ妹に 今夜(こよひ)逢えるかも」今回は作者未詳の歌が多いのですが、これは有名な「志貴皇子(しきのみこ)」が詠んだものです
わが思ふ妹に 今夜(こよひ)逢えるかも
●所在 明日香村小原 万葉文化館入口交差点
●揮毫 尾崎邑鵬
会いたい会いたいと思っていた女性についに会えた喜びを歌ったものです。「いつしば」と「いつしか」の音を重ねてあります。
桜井・三輪の万葉歌碑「1番」磯城嶋公園
桜井・三輪の万葉歌碑の1番は、欽明天皇の磯城島金刺宮跡地でもある「磯城嶋公園」です。海石榴市の近くに仏教伝来の碑が立つ「金屋河川敷公園」があるため混同しましたが、それよりも上流側。近くにビデオレンタルのゲオがあります。こんなところにこんな史跡があるなんて全く知りませんでした!
小さな公園に立つ万葉歌碑。「泊瀬川 早み早瀬を むすび上げて 飽かずや妹と 問ひし君はも」 目の前に初瀬川が流れているため、もちろん川の流れを詠んだ歌です
飽かずや妹と 問ひし君はも
●所在 桜井市外山 磯城嶋公園
●揮毫 辰巳利文
女性が昔の優しい思い出を回想している歌。初瀬川の水を両手ですくって飲ませてくれた…とは、万葉人はロマンチックですね!
桜井・三輪の万葉歌碑「2番」海石榴市
桜井・三輪の万葉歌碑の2番は、海石榴市観音の近くの道路沿いにあります。ここは男女の出会いの場となった歌垣(うたがき)が催された「海石榴市(つばいち)」の場所です。今ではひっそりとしていて、道幅も狭いので、運転には注意が必要です
有名な万葉歌「紫は ほのさすものぞ 海石榴市(つばいち)の 八十(やそ)のちまたに 逢える子や誰」
八十(やそ)のちまたに 逢える子や誰
●所在 桜井市金屋 海石榴市観音近く
●揮毫 今東光
海石榴市は古くからの交通の要所。ここで行われた歌垣の場で、異性に名前を尋ねています。この当時は「名前を聴く=求婚」という時代で、大規模な合コンの会場だったとも言えます。
桜井・三輪の万葉歌碑「3番」志貴御県坐神社
桜井・三輪の万葉歌碑の3番は、「志貴御県坐神社(しきのみあがたにいますじんじゃ)」にあります。それほど大きな神社ではありませんので、やや見つけづらいですが、天理教の大きな神殿と、喜多美術館の駐車場の間ですので、これらを目印にするといいでしょう
志貴御県坐神社の境内には、崇神天皇が営んだ「磯城瑞籬宮(しきみずかきのみや)」の跡地を示す石碑が立っています。大和にかかる枕詞「磯城島の」は、この宮の名前に由来すると考えられているというのですから、歴史的なスケールが違いますね!
志貴御県坐神社の境内の様子。規模は小さいですが、凛と張り詰めた空気が感じられました
ここに立つ万葉歌碑は「磯城島の 大和の国に 人二人 ありしと思はば 何か嘆かむ」。揮毫したのは、俳人の山口誓子さんです。ちなみに、向かって左手に見える青い看板は、桜井市が主催の「大和の古道紀行」キャンペーンのもの。一緒にこれも周ってみるといいかもしれません
ありしと思はば 何か嘆かむ
●所在 桜井市金屋 志貴御県坐神社
●揮毫 山口誓子
女性が「大和の国にはあなたのような素敵な人は他にはいない」と嘆く歌。こんな恋歌ですが、初句から「磯城島の 大和の国に」と続くと、荘厳というか大げさというか、スケールの大きさを感じますね!
■大和浪漫回廊~巨大古墳ミステリー・恋する大和路~
HP: http://yamato-romankairo2.com/index.html
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