もっと知りたい雪舟―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
画聖・雪舟の歩みと作品をおさらい。山口を拠点に中国へ渡ったり、意外と波瀾万丈です!
室町時代の禅僧画家・雪舟(Wikipedia)。現存する6点が国宝に指定されているほど、抜群の知名度を誇る偉人です。しかし、画集などで雪舟の作品は何点も観たことがありましたし、足の指を使って涙でネズミの絵を描いたという逸話も聞いていましたが、その生涯について、ほぼ知りませんでした。
本書の章立ては以下のようになります。
●雪舟誕生 ●不遇の京都時代 ●山口での雪舟 ●中国への旅 ●帰国後の雪舟 ●山口の老大家 ●雪舟死す
備中に生まれ、京都へ出るも不遇をかこち、周防の大内氏のもとへ身を寄せます。大内氏の家臣のような扱いとなり、肖像画を手がけたり、僧侶・文人としての立場を活かして外交や情報収集などにも携わったとか。さらには、指令により明へ渡り、その風景を描いて持ち帰ったりなど、特定の大名に仕える絵師として、独特の動きをしています。
これがちょうど応仁の乱の頃。中国からの文化を上手く取り入れ、それでも雪舟らしい筆致を失わずに、さまざまなテイストの作品を残してきました。
水墨画の「四季山水図」「秋冬山水図」などは圧巻ですし、何枚もの絵を継いだ下絵だと考えられる「天橋立図」なども有名です。鶴の姿がユニークな彩色画「四季花鳥図屏風」、そして達磨への弟子入りを願う慧可(えか)が、自らの左手を切り落とした「慧可断臂図」など、有名な作品が並びます。
この本を読んだだけではまだ把握できませんが、後の時代の絵師たちに大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
私は美術には詳しくないため、東京美術「アート・ビギナーズ・コレクション」シリーズで基本的なことからおさらいしているのですが、雪舟ほど有名な画家のことはスルーしていたようで(先に雪村を読んだのに……)、自分で驚くほど雪舟の経歴などを知りませんでした。改めて、時代別に整理して読み直したいと思います。